市民の皆さんから、「せっかく地デジ対応テレビを購入しても、放送が映らないじゃないか」といった声が多く寄せられます。

市内には、テレビ中継局が24カ所ありますが、現在地上デジタル放送の電波を発射している中継局は一関局(束稲山)と室根局(室根山)の2カ所です。

これまで市内中継局のデジタル化について、放送事業者と協議を進めてきました。

その結果、市は整備費の支援や地域イントラネットの光ケーブルを活用することで、中継局の開局を推進しています。

共同アンテナで電波を受信する共同受信施設組合にも整備費を支援し、順調に改修整備が進められています。

テレビのデジタル化に向けた市の取り組みを紹介します。

●テレビ放送を変える理由は

電波の有効利用
地上アナログ放送は、画面のちらつきや雑音などが起きやすく、また、放送を行うために多くの電波を必要とします。

これに対して、地上デジタル放送は、情報の圧縮などが簡単にできるため、高画質、高音質の番組を視聴できます。

少ない電波で放送することができるため、限りある電波を有効に使うことにつながります。

放送サービスの高度化
アナログ放送では、画面のざらつきなどがありながらも何とか映っていたものが、デジタル放送では、「映る」か「映らない」かのどちらかになります。
また、地上デジタル放送の特徴の一つとして、携帯電話などでテレビを見ることができる「ワンセグ」サービスが利用できます。ワンセグは、緊急災害時に電話が混み合ってつながらない状況でも確実に情報を受信できるため、重要な情報端末となります。¥
情報化の恩恵をすべての人に

テレビは全国のほとんどの世帯に普及しています。

国では、そのテレビをデジタル化することによって、年齢・性別問わず、その恩恵を受けられる社会を目指しているのです。

従来のテレビ放送だけでなく、リモコン操作で、ニュースなどさまざまな情報を文字で簡単に得ることが可能になります。

●テレビ中継局の整備

市内には現在、24カ所のアナログ中継局があります。
一関市は、県内2番目の面積を有するため他市に比べて中継局が多く存在し、その中継局は、放送事業者(NHK盛岡放送局および民放4社)が事業主体となって設置されているものがほとんどです。
現在、市内の中継局で地上デジタル放送の電波を発射しているのは、一関局(束稲山)と室根局(室根山)の二つの中継局となっています。
待ちわびた中継局の開局
放送事業者では、現在のアナログ中継局を順次、地上デジタル放送対応に切り替えていますが、多くの費用がかかることから、なかなか整備が進んできませんでした。

市はこれまで、放送事業者と中継局施設のデジタル化整備の推進について協議を進めてきました。

その結果、地域イントラネットの光ケーブルを活用し、中継局間でテレビ信号を送受信するネットワークの構築を行うことにしました。

このことにより、放送事業者の負担が軽減され、中継局の整備が順調に進んでいます。

現在あるアナログ中継局のうち、既に一関局と室根局が開局しています。

残りの中継局については、3月の一関上大桑、一関小山、大東京津畑、大東丑石、大東前畑の開局を皮切りに、今年12月までに開局を予定しています。

開局される中継局は、すべての放送が映ることになります。

NHKしか放送されていなかった中継局は廃止されますが、その地域には、ギャップフィラー(小型の送信機)などで現在のアナログ放送の視聴可能エリアをカバーします。

※地域イントラネット…市が18年に市内公共施設182カ所を光ケーブルで結んだネットワーク化事業

※ギャップフィラー…難視聴対策用の小規模な無線装置

●共同受信施設組合への支援

多くの中継局がありながらも、本市は山間部が多く、どうしても難視聴地域が発生しています。

こういった地域では、共同でアンテナを設置し、ケーブルで各世帯へつなぐ共同受信施設を設置し、管理してきました。
現在、市内には54の組合があり、デジタル化に対応していない施設は改修が必要となります。
改修にあたっては、国からの補助金の活用のほか、市でも支援を行っています。

また、地域イントラネットの光ケーブルの活用を希望する場合には、相談に応じています。

今後中継局が整備される地域では、中継局の開局後の状況を見ながら整備することをお勧めします。

【市の支援】
1.既存の共同受信施設をデジタル改修する組合にその設備費を助成
2.新たに共同受信施設を新設する組合にその設備費を助成

●どうしても映らない場合は?

それでもなお、テレビが映らない世帯が発生する可能性があります。その場合は、次の方法で対応します。
1.高性能アンテナを設置して受信できる場合、その設備費を助成

地上アナログ放送を受信できたが、地上デジタル放送は受信できない地区(新たな難視聴地区)で、裏山などに高性能アンテナを設置することにより、電波を受信できる場合は、設備費を助成します。

2.地デジ難視対策衛星放送

地上アナログ放送が終了するまでに地上デジタル放送の電波が届かない地区に居住している人に、暫定的に衛星放送を利用し地上デジタル放送の番組を送信します。

利用料などの負担はありませんが、地上デジタル放送とは、画質や利用できるサービスに違いがあります。

実施期間は平成27年3月末までに限定されています。
市は、デジタル放送への円滑な移行のため放送事業者が行う中継局整備や共同受信組合などに対して支援を行っていきます。
また、個別の受信状況の調査や集合住宅の共同受信施設のデジタル化相談などは、デジサポ岩手が中心となって対応します。
国県市はもとより、関係機関が連携しながら、テレビ放送のデジタル化に対応していきます。

地上デジタル放送関係問い合わせ先

相談内容 問い合わせ先
受信障害などの相談
受信状況の調査
集合住宅の共同受信施設のデジタル化
総務省テレビ受信者支援センター デジサポ岩手
電話019-903-0101【受付時間】平日9:00~21:00(土・日・祝日は9:00~18:00)
簡易チューナーの無償給付
生活保護などの公的扶助を受けている世帯や障がい者がいる世帯への支援
総務省地デジチューナー支援実施センター
電話0570-033840、IP電話などナビダイヤルがつながらいない人は電話044-969-5425【受付時間】平日9:00~21:00(土・日・祝日は9:00~18:00)
共同受信施設へのNHKの助成 NHK自主共聴制度窓口
電話0120-406677【受付時間】平日9:30~17:30
ケーブルテレビ 一関ケーブルネットワーク 
電話21-1256
デジタル放送受信に関する設置、接続、操作方法 デジタル110番 全国電機商業組合連合会「家電困りごと相談センター」
電話0570-010186【受付時間】平日9:00~17:00
その他(共同受信施設への助成制度についてなど) 市役所本庁企画調整課 
電話21-8633【受付時間】平日8:30~17:15

●地上デジタル放送を見るためには

地上デジタル対応テレビを設置する
 
用意する機器の一例
地上デジタル対応テレビを設置した場合は、アンテナを中継局に向け、チャンネルを設定すると見ることができます。
アナログテレビにはデジタル受信機を用意
今使っているアナログテレビを活用する場合は、機種によって対応方法が異なります。テレビ1台ごとに地上デジタルチューナーまたはチューナー内蔵の録画機器への接続が必要です。

●よくある質問Q&A

Q地上デジタル放送の一部のチャンネルだけが映りません。
A既にUHFアンテナが正しく設置されているにもかかわらず映らない場合は、電波の信号受信が弱い可能性があります。
 この場合は、
1.アンテナを調整するか、高感度のものに交換する
2.増幅器(ブースター)を追加する
などの対処方法が考えられます。
 各世帯の状況により、対処方法はさまざまです。デジタル110番や電気店などにご相談ください。
Qケーブルテレビでもデジタル放送は視聴できますか? 
A既に一関のケーブルテレビ局でも地上デジタル放送を流しており、ケーブルテレビのサービスエリアでは、視聴可能です。詳しくは、一関ケーブルネットワークにお問い合わせください。
Q現在、マンションやアパート、貸家に住んでいますが、どうすれば地上デジタル放送が見れますか? 
A集合住宅などで地上デジタル放送を視聴するためには、共同アンテナなどのデジタル化対応が必要となる場合があります。現在、どのような対応状況になっているか、施設の管理会社、オーナー、大家さんにお問い合わせください。

●地上デジタル放送波受信確認ポイント

アンテナは受信可能な中継局の方向に向いていますか?
 

地上デジタル放送の電波はUHFが使用されます。

現在の個別受信しているお宅のほとんどは、UHFアンテナがすでに設置されています。

あとは、▽自宅のアンテナが受信可能な中継局の方向を向いているかどうか▽デジタルテレビやデジタルチューナーの「アンテナレベル」(テレビ放送の受信状態を表すレベル)を上げること―などがポイントです。
1.アンテナ方向を調整する

 

アンテナ方向を調整する

アンテナの方向を上下左右に微調整すると、アンテナレベルの数値が徐々に変化します。

数値を確認しながらアンテナレベルが最大になるよう微調整してみてください。
二人いれば一人に数値を確認してもらいながら行えるので、作業もはかどります。

2.ブースターを使用する

 

ブースターを設置する

一つのアンテナから複数のテレビへ分配する場合は、受信した信号のレベルが低下しデジタルテレビなどで認識しにくくなります。
その場合、ブースターを設置すると受信した信号のレベルが上がります。ブースターは分配器の前に設置します。アンテナに近い位置(信号の品質が良い位置)ほど効果が得られます。

3.アンテナを交換する

受信感度の高いアンテナに交換することで、受信した信号の品質を高めます。
送信所から遠い場所では、飛んでくる電波が弱まっていますが、受信感度の高いアンテナで効率よく電波を集めれば「アンテナレベル」が上がります。

4.設置場所を変更する

大きな建物などの影になるような位置では、 受信が困難な場合があります。
送信所の方向に建物などがあると、電波が遮られてしまいます。できるだけ見通しの良い位置に設置してください。


 

(広報いちのせき 平成22年4月1日号)