人と人、地域と地域が結び合い 未来輝く いちのせき

総合計画基本構想案が斎藤会長から浅井市長に答申されました        

 一関市総合計画審議会(斎藤初美会長、委員25人)は4月25日、新市のまちづくりの総合施策を定める総合計画について、「人と人、地域と地域が結び合い 未来輝く いちのせき」を市の将来像とする基本構想案を浅井市長に答申しました。市では答申を受けて、同案を市議会6月定例会に提案することとしています。

3カ月間に及ぶ慎重審議

 同審議会は、本年1月19日に浅井市長の諮問を受けスタート。地域の状況などを直接視察するタウンウォッチングや、昨年12月の市民アンケートの結果なども踏まえながら基本構想案作成の協議を重ね、同日の第5回審議会で平成18年度から27年度までの10年間を計画年度とする基本構想案を決定しました。答申には▽答申の最大限の尊重と、社会経済情勢の変化に留意した柔軟性の確保▽市の各種指針づくりとの十分な整合▽適切な役割分担と効果的・効率的な行財政運営による着実な推進の意見が加えられ、斎藤会長から浅井市長へ手渡されました。

基本構想案の概要

 同案は▽総合計画とは▽市のすがた▽市民の意識▽時代の潮流の4章からなる「序論」と「基本構想」で構成。
 「基本構想」では、まちの主役である市民一人ひとりが生き生きと輝き、一丸となって活力と魅力あるまちづくりに取り組むことで、みんなが笑顔の絶えない幸せな暮らしができる地域社会の形成を目指し、市の将来像を「人と人、地域と地域が結び合い 未来輝く いちのせき」とし、▽「人」が輝く協働▽「一体感」の醸成で新たな創造▽「活力」ある賑(にぎ)わいのまちづくりを基本的な考え方として示しました。そして、将来像実現のための5つの基本方向と地域のエリア別振興目標(下段をご覧ください)を掲げるとともに、構想の推進に向けた▽市民主体の地域づくり活動の促進▽市民と行政の協働によるまちづくりの推進▽行政体制の充実と健全な財政運営▽広域連携の推進を定めています。
 答申を受けて、市では基本構想案を地域協議会の協議を経て6月定例市議会に提案します。可決された場合、基本構想として正式に決定されることとなります。
 同審議会では基本構想の決定を受けて、本年10月から11月をめどに、これに基づく基本的な施策プログラムを定める前期基本計画(平成22年度まで)の策定に当たることとなっています。

タウンウォッチングで担当者から説明を受ける委員の皆さん(2月17日、東山公民館にて)


7地域協議会 基本構想案を協議

 5月9日から12日にかけて各地域協議会で平成18年度第1回協議会が行われ、総合計画基本構想案について協議されました。
 各協議会では、同案について活発な質疑が交わされ、その結果、

  • 基本計画策定にあたっては、力点を置く分野の優先順位を決め、若い世代をどのように生かしていくかを考えながらなどを念頭に進めてほしい(一関地域)
  • 「田園と定住ゾーン」に関連し、地域の特性を生かして小さな畑付きの住宅地を開発するなどの施策が必要ではないか(花泉地域)
  • 基本計画の策定への市民参加などについてより具体的な検討を行い、市民と行政の協働によるまちづくりの推進体制を明らかにしてほしい(大東地域)
  • 一関市の岩手県内ならびに宮城県北を含めた地方における将来像、役割、目指す位置などを掲げてほしい(千厩地域)
  • 広域連携や道州制への移行などへの配慮を。少子化問題への具体的な対策を基本計画に反映させてほしい(東山地域)
  • 新一関市の目玉となるような構想を盛り込むべき(室根地域)
  • バランスのとれた地域振興が求められ、その考えを基本・実施計画に反映されたい(川崎地域)

などの意見を市長に報告しました。

構想案に対して活発な意見が出された東山地域協議会

 

 

一関市総合計画 5つの基本方向

1.地域資源を生み育て賑わいと活力あふれるまちづくり

 地域の特性や資源を生かした独創性のある産業を展開しながら、将来にわたって持続的に成長する経済基盤の確立を図るとともに、一人ひとりが夢と希望を持って意欲的に働くことができる多様な雇用の場を創出し、若者の地域定着と、一人ひとりが暮らしの豊かさを実感することができる、活気に満ちた魅力あるまちづくりを目指します。
 あわせて、豊かな自然や歴史的遺産、伝統芸能や特色ある文化などを生かした観光の振興を図るなど、交流人口を増大し、賑わいと活力あるまちづくりを目指します。

2.みんなで支え合い共に創る安全・安心のまちづくり

 市民の誰もが健康で心豊かに自立した生活を送るために、人のやさしさやぬくもりによって、共に支え合う地域社会を構築するとともに、今の生活や将来に不安を感じることなく、安心して生活を営めるまちづくりを目指します。
 さらに、水害や地震などの自然災害や大規模事故等から市民を保護する防災・危機管理システムの構築など、災害に 強い都市機能の整備を推進するとともに、市民、地域、行政が一体となった、安全・安心のまちづくりを目指します。

3.人を育み文化を創造する生きがいのあるまちづくり

 まちづくりの基本は人づくりという観点に立ち、市民一人ひとりが夢と希望をもち、一関市民としての心のゆとりや豊かさが感じられる一関の文化を創造していきます。
 特にも、感動、夢、自信といった心の豊かさは、人間が生き生きと輝いているための源であることから、将来を担う子どもたちが、心豊かな人間に成長できる教育環境の整備を進めます。
  また、私たち一人ひとりが自分のライフスタイルにあわせて、学び、楽しみ、個性や能力を発揮することができる環境づくりを進めるとともに、多様な主体が一体となって人材を育むまちづくりを目指します。

4.人と情報が活発に行き交うふれあいと連携のまちづくり

 まちづくりにおける交流活動は、地域に新しい風を呼び込み、それが刺激となってまちづくり活動の活性化をもたらすことから、地域内外との交流連携活動を促進するとともに、市民活動や経済活動の活性化を図るため、人やもの、情報の交流のための基盤整備を促進します。

 また、地域内外のさまざまな人々との交流連携を促進する市民活動をより活発化させ、市民一人ひとりが人とのつながりを感じるまちづくりを目指します。

5.水と緑を守り育み自然と共生するまちづくり

 豊かな自然は市民の心の支えであり誇りでもあることから、この貴重なふるさとの財産を確実に次世代へ引き継ぐとともに、自然環境との調和に配意した、快適で住みよい生活環境の整備に努めます。
 さらに、省資源、省エネルギーを促進するとともに、資源が循環する社会の構築にみんなで取り組み、地球環境に優しいまちづくりを目指します。

地域のエリア別振興目標(ゾーニング)

 一関地域には市全域、さらには岩手県南、宮城県北をけん引する広域拠点を、花泉・大東・千厩・東山・室根・川崎地域には地域コミュニティの核となる地域拠点の形成を進め、拠点間相互と周辺地域との結びつきを深めるネットワークの構築を進めます。また、地域の特性と地域間のバランスに配慮しながらゾーニングによる適切な機能の分担・配置を行います。

市街地ゾーン

 商工業施設、広域医療や高等教育機関などの都市機能が集積している地域については、豊かさと快適さを兼ね備えた賑わいと活力を創出する市街地エリアとして、市街化の課題に的確に対処しながら、秩序ある計画的な整備を進めます。

水と緑の定住ゾーン

 北上川の東側、砂鉄川の流域に広がる地域については、水と緑に囲まれた、活気と安らぎを兼ね備えた定住を促進するエリアとして、農工商が一体となった産業を振興し、恵まれた水辺や森林の環境、豊富な地域資源を生かした交流活動の展開を図るとともに、快適で豊かな生活環境の整備を進めます。

定住と交流ゾーン

 国道284号に沿って広がる平野部や周囲のゆるやかな丘陵地については、水と緑の豊かな自然との調和による快適さと安らぎを兼ね備えた定住を促進するエリアとして、農工商の一体的な振興と、地域資源を生かした交流活動の展開を図り、住み心地の良い生活環境の整備を進めます。

田園の定住ゾーン

 金流川の流域に広がる平野部や周囲のゆるやかな丘陵地については、田園の景観に囲まれながら、便利さと安らぎを兼ね備えた定住を促進するエリアとして、地域資源を生かした交流活動の展開を図るとともに、大地の恵みと温暖な気候を生かした産業を振興し、豊かな自然と調和した快適な生活環境の整備を進めます。

自然共生ゾーン

 栗駒山とその裾野に広がる地域については、人と自然とが共生するエリアとして、貴重な自然環境の保全と快適な生活環境を確保するとともに、自然景勝地や温泉、滞在型観光施設などを生かした人々の憩いの場、健康づくりや癒しの場として活用を図ります。

地域のエリア別振興目標

(広報いちのせき 平成18年6月1日号)