指令センターの概要


高機能消防指令センター


参考:旧通信指令室(平成7〜22年)

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1. 表示盤

指令センターの正面に配置されている表示盤は、65型液晶ディスプレイ5面で構成されており、通常は向かって左側から「多目的情報表示盤」「車両運用表示盤1」「車両運用表示盤2」「支援情報表示盤」「災害情報表示盤」が配置されています。
写真では、左側から「駆込通報電話カメラ」「車両運用表示1」「車両運用表示2」「救急車両表示」「進行中事案表示」が投影されています。

これらの表示は「映像制御装置(マトリックススイッチャー)」を経由して投影することで、各々の表示位置を任意に入れ替えることが可能ですので、災害状況や着座状況に応じてはもちろん、万が一いずれかの表示盤が故障した場合にも自由自在に表示位置を変更することが可能です。

また、指令センターがある3F 事務室フロアにもモニターが設置されており、そこには災害情報表示盤と同じ情報(進行中事案表示)がリアルタイムに表示されています。

インタラクティブスクリーンボード
指令センターに設置しているインタラクティブスクリーンボードは、「警防作戦指揮盤」として活用しています。映像制御装置とワイヤレスでリンクされており、各種映像ソースを短焦点プロジェクターでホワイトボード上に映し出し、その投影映像上に電子ペンやホワイトボードマーカーで様々な情報を書き込むことができます。

2. 映像制御装置

各種表示盤へ投影する映像ソースを選択・切り替えするための装置です。装置はタッチスクリーン式の操作モニタ、プレビュー用モニタ、録画装置用モニタで構成されています。

3. 指令台・指揮台・無線統制台

指令センターの根幹となる装置です。1座席は4画面で構成されており、左側から「支援情報表示装置」「自動出動指定装置」「地図等検索装置1(住宅地図)」「地図等検索装置2(道路地図)」の表示画面になっています。これらの座席は指令台2座席、指令台と同等の機能を有した指揮台1座席及び無線統制台1座席の計4座席あり、通報が多数入電するなどした場合は、それぞれの座席が2画面構成に自動遷移し、2画面8座席の「輻輳モード」で事案受付することが可能です。

2画面または3画面構成の指令台が主流の中、情報表示量やオペレーションを重視した4画面構成の指令台は全国的にも珍しいと言えます。

各画面は全て23インチワイドタッチスクリーン式となっており、タッチスクリーンのほか、キーボード、マウスによる操作・入力が可能になっています。特にマウスについては、「4WAYマルチマウスオペレーション」を採用しており、1つのマウスで4画面を制御・操作することが可能です。

手元には、主に119番回線や指令回線、無線などを操作するためのコムボード(ハードキー)と12インチLCD(タッチスクリーン式)が置かれています。

これらの台には、多様化する災害通報に的確に対応するため、特殊な通報者や過去に同一地点で発生した災害事案の履歴などを、通報受信段階でポップアップ警告や一覧表示する機能が具備されています。

指揮台の他台管理機能
指揮台の支援情報表示画面で他の指令台3台の操作状況を表示・確認することができ、必要に応じて指揮台から割込操作をして支援することが可能です。

デジタイザ
各指令台に配置されているデジタイザは、電子ペンで記入した災害受付メモを全指令台で共有できます。他台に着座している指令管制員が、事案受付している指令管制員を支援する際に共有メモを参照します。

4. 地図等検索装置

指令台の地図等検索装置は2画面で構成されており、それぞれで住宅地図・道路地図が検索・表示できるほか、航空写真、3D建物地図、高速道路管轄図、高速道路地図も表示させることができます。

また、一関市消防本部管内の西部、岩手県・秋田県・宮城県の3県にまたがる栗駒山の山岳地図も搭載しており、山岳事故等が発生した際の場所特定に役立てています。

冬期モード

毎年、同時期(主として冬期)に通行止となる区間情報を保持し、簡易な操作で通行止設定することが可能です。また、冬期間は凍結路面や積雪、通行止区間を考慮し、夏期とは異なった到着予想時間を自動計算し最先着隊を選定するようになっています。

ルート探索代理操作機能

指令センターから特定車両の車両運用端末装置(AVM-NAVI)に対し、通信機能を利用して目的地設定とルート探索を代理で指示することが可能です。遠隔地の医療機関へ転院搬送する際などに活用しています。

5. 指令制御装置

119番回線、指令回線、専用線、内線、局線、無線、放送回線などを集約し制御している装置です。119番受付から指令、出場隊との無線通信などを制御します。この指令制御装置はフルデジタル制御が可能なIP制御方式を採用し、LAN(Local Area Network)による全面的ネットワーク化と二重化を実現しています。

また、指令制御装置は中枢の装置であるため、内部二重化されていると同時に非常用指令設備を同一筐体内に納め、万が一の障害時にも自動的に切り替わり、通常時と変わらない運用が可能になっています。

一関市消防本部管内には24局の交換局があり、旧指令施設では各交換局から1回線ずつしか119番通報が入らなかったため、同じタイミングで別事案の通報があるような場合や同一地域から次々に通報があるような場合は最初の1本目以外の通報は先の通報が終わるまで繋がりませんでしたが、現在は各交換局から2回線ずつの119番通報が入るようになったため、旧指令施設よりも話中になる割合が低くなりました。

6. 無線通信台

災害発生時のスムーズなオペレーションを目的に、無線統制台のすぐ脇に無線管制を行うための専用台「無線通信台」を設置しています。

7. いちのせきメール・アプリ・ホームページ・消防テレフォンサービス連動

「いまのサイレンは?」「火災はどの辺で発生しているの?」などといった市民からのニーズに応えるため、一関市消防本部ではいちのせきメール、アプリ(インフォカナル)、ホームページや消防テレフォンサービスで“消防出場情報”を提供しています。これらの情報は指令台で管理している事案情報と連動し、自動又は簡易な操作で提供できるようになっています。

8. 位置情報通知システム(統合型)

このシステムは、NTT東日本加入電話、携帯電話、IP電話からの119番通報時、迅速に通報場所を特定することができるものです。

特に携帯電話加入者が増加したことで、屋外からの通報や観光客など“土地勘のない方”からの通報が増加傾向にあり、通報位置の迅速な特定が課題とされていましたが、「位置情報通知システム(統合型)」を利用することで、音声通話による聞き取りにあわせて通報者の位置情報が通信事業者を経由して消防側へ送られ、指令台のディスプレイの地図上に表示させることができます。

システムの詳細及び注意事項は下記のとおりです。

(1)対象となる電話
  • NTT東日本 加入電話(※一関市及び平泉町に限ります。)
  • 携帯電話(NTTドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイル 各社の「第3世代」以降の機種)
  • IP電話(NTTひかり電話,KDDI,ソフトバンク)
(2)通知される通報者情報

○119番通報時に、音声通話と同時に位置情報が通知されないもの

  • NTT東日本:電話番号,住所,加入者氏名

※消防本部指令センターで緊急に位置情報が必要であると判断したときには、強制的に情報を取得することができます。

○119番通報時に、音声通話と同時に位置情報が通知されるもの

  • 携帯電話:電話番号,位置情報(緯度・経度)
  • IP電話:電話番号,住所,加入者氏名

※「184」を付加するなど、発信者番号非通知の場合は位置情報は通知されません。ただし、この場合でも消防本部指令センターで緊急に位置情報が必要であると判断したときには、強制的に情報を取得することができます。

(3)注意事項

携帯電話の位置情報の精度については、携帯電話の機種や電波の受信状況、GPS機能の有無等の条件により、通知される位置情報に誤差が生じ、通報場所の正確な位置を特定できないことがありますので、119番通報する際は、予め住所や目標物(橋・バス停・交差点・コンビニなど)を確認してから通報するように、ご協力をお願いします。

また、消防本部指令センターでは正確な通報場所を把握するため、原則として通報者から住所や氏名などを聞き取りしますので、お答えいただけるようご協力をお願いします。

NTT加入電話 携帯電話 IP電話
通常発呼 119番通報時に、音声通話と同時に位置情報は通知されません。
ただし、消防本部指令センターで緊急に位置情報が必要であると判断したときには、強制的に情報を取得することができます。
119番通報時に、音声通話と同時に位置情報が通知されます
184発呼 119番通報時に、音声通話と同時に位置情報は通知されません。
ただし、消防本部指令センターで緊急に位置情報が必要であると判断したときには、強制的に情報を取得することができます。
その他 ――― 第3世代以降の機種が対象です。
また、携帯電話の位置情報の精度については、携帯電話の機能、その他条件により誤差が生じることがあります。
IP電話の位置情報については、市町村合併や区画整理などにより住所表示が変更された場合などにおいて、即時に反映されないことがあります。
(4)参考資料

⇒(一関市消防本部)119番のかけかた

⇒(一関市消防本部)いろいろな通報手段(携帯電話からの通報)

NTTドコモの関連ページ

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9. NET119 緊急通報システム

一関市消防本部では、耳や言葉の不自由な方が、携帯電話のE メールを利用して119番通報ができる“Eメール119番”受信を平成13年4月1日から開始しました。

令和5年4月1日からは、「NET119 緊急通報システム」に切り替え運用しています。

このシステムは、チャット方式で簡単に通報することが可能になり、指令センターからの質問に“はい”“いいえ”を選択するだけのチャットも可能になっています。また、GPS 機能に対応し通報者の位置情報を取得できるという利点があります。

詳しくは、運営団体である「株式会社ドーン」のホームページをご覧ください。

NET119 緊急通報システムご利用案内はこちら

10. FAX119

これまでのFAX119は専用の電話番号を設けて通報の受付を行っていましたが、通報者の利便を考慮し、119番に統合しました。

現在では「119」をダイヤルしFAX送信をスタートするだけで、指令センター側で通報用紙が受信される仕組みになっています。

11. 駆込通報電話

一関市消防本部管内の各消防署・分署・分遣所には、玄関前または車庫前に「駆込通報電話」を設置してあります。この「駆込通報電話」は、夜間や署員不在などの場合を想定し、火災や救急を通報するため駆け込んだ市民の方々の連絡手段を確保するために設置してあるものです。

プラスチック製のボックスの蓋を開け、ボックス内の受話器を持ち上げると消防本部にある指令センターに繋がります。応答した指令管制員に用件をお話しください。

また、駆込通報電話には通報者の様子を確認するためのカメラも設置してあり、指令管制員はカメラを確認しながら通話しています。

12. 車両運用端末装置

これまでの押しボタン式による動態管理端末に代わり、液晶タッチパネル式の車両運用端末装置が管内の各車両51台に設置されています。この端末装置には、岩手県・宮城県の道路地図、一関市・平泉町・藤沢町の住宅地図が搭載されており、これまでは指令書(紙)に頼っていた指令情報(災害地点の住所、災害種別・区分、指令時刻等)も表示されるようになっています。

各車両運用端末装置にはGPSも搭載されているため、各車両が自車位置を確認するだけではなく、指令センターでも各車両の動態や現在位置が確認できます。

そのほか、同一事案に出場した他車両の位置や「水利」「通行止」「各種届出」といった支援情報を表示したり、指令センターと文字メッセージのやりとりをしたりすることも可能です。

指令情報や普段のデータメンテナンスは車庫内の無線LANで、出場時は携帯電話のパケット網や消防無線を利用してデータの送受信を行っています。

13. 病院受入可否情報の共有

救急車に搭載されている車両運用端末装置では、各救急隊が医療機関と行った収容交渉の履歴を確認することができ、「搬送確定」「搬送予定」「搬送拒否」「搬送取消」の各状態を把握することができます。この情報はリアルタイムに各端末へ送受信され過去一定時間の情報もサーバーに保存されているため、遡って履歴を確認することができます。

このシステムは各救急隊が傷病者を搬送する際の病院選定・病院連絡の情報支援を行っています。

14. 気象観測装置

消防本部と一関東消防署に設置した気象観測装置を指令系ネットワークで結び、指令センターにある気象Webサーバーで情報を一元管理しています。

この情報はリアルタイムに各署所で確認できるほか、災害出場時の指令書にも2点の気象観測値が印字されます。

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