非常を防ぎ、非日常を乗り越える

キーワードは「自助」「共助」「公助」

6.14、3.11。
一関市は相次ぐ大地震で甚大な被害を受けた。
安全なまち、安心できる暮らしは、全ての人の願いだ。
キーワードは「自助」「共助」「公助」。
全市民の総力を結集して「防災」と「減災」を目指す。 

復興のサイクル

平和で安全な「日常」を脅かす災害は「非常」である。
この非常事態を防いだり、収束させたりする活動が防災や減災だ。
防災が被害を出さない取り組みであるのに対し、減災はあらかじめ被害の発生を想定した上で、被害を低減させる活動だ。

当たり前でないことを「非日常」という。災害は規模が大きくなればなるほど、日常を取り戻すための時間はかかる。
その間、被災した人たちは、避難所などで「非日常」な暮らしをしなければならない。

日常を奪う非常事態を収束させ、非日常を乗り越え日常を取り戻す「復興のサイクル」を考えながら、災害に強いまちづくりと、安心・安全なコミュニティーづくりについて考える。

日常→非常

「6.14岩手・宮城内陸地震」と「3.11東日本大震災」。
2つの大地震は、従来の安全の常識を次々と覆し、本市に甚大な被害をもたらした。

地震発生から数日間は、ライフラインが寸断され、電気も水道も電話も使えない状態が続いた。
食料や燃料も不足した。

そんな「何もかも使えない」不便な中で、いつ復旧するのかわからない「不安」の中で、多くの市民は目の前の現実を受け止め、冷静に行動した。
それが一関の人たちの姿だった。

平和で安全な「日常」に対し、災害時を「非常時」と呼ぶ。

防災や減災は、非常時に備えた活動であり、その中心が消防署員や消防団員など消防関係者だ。
しかし、同時広域的に発生する大規模災害では、限られた消防力で広い市域を守ったり、多くの人を助けたりするには限界があり、支援の手が届くまでには数日程度、ライフラインの復旧までは1週間以上かかる。

そこで、注目されているのが自主防災組織だ。
「自らの命は自らが守る」を合言葉に、消防や行政と連携しながら、自分たちで自分たちの命を守る住民組織で、フットワークよく活動できる自治会や町内会などを単位に組織されている。

平成25年一関市消防出初式

年頭に誓った「無火災」、安全安心のまちづくりに決意

「平成25年一関市消防出初式」(市主催)は1月20日、市総合防災センター前などで行われ、市消防団員や市婦人消防協力隊員など消防関係者が、火災のない安全・安心のまちづくりに決意を新たにした。

午前9時から行われた式には、市消防団(大森忠雄団長)、市婦人消防協力隊、市消防本部(平野和彦消防長)から918人、車両35台が参加。
市、市議会、県議会などの関係者約100人が見守る中、観閲や分列行進などを行って、今年1年の無火災を誓った。

観閲では消防団員、婦人消防協力隊員が勝部修市長や市議会議員などから服装、姿勢、礼式などの点検を受けた。
分列行進では、大町商店街を威風堂々練り歩き、沿道の市民に防火意識の高揚と火災予防を呼びかけた。

一関文化センターで行われた式典で勝部市長は、昨年の火災発生件数(49件)が1973年から行われている統計上、過去最少だったことに触れ、「地道な消防活動抜きには語れない。火災予防、防災のリーダーとして婦人消防協力隊や自主防災組織との連携を強化し、地域住民の信頼と期待に応えてほしい」と告辞。
大森団長は「団員の意識改革、安全管理の徹底、若い団員の確保を目標に、総力を挙げて平成25年を力強く踏み出していく」と訓示した。

消防団は消防組織法に基づく消防機関。
郷土愛にあふれた一般住民による組織だ。
火災や災害発生の知らせを受ければ、昼夜を問わず現場に急行し、災害現場の最前線で待ったなしの活動を繰り広げる。
勇気ある行動、冷静で的確な判断は、日ごろの訓練があればこそ。
その訓練は規律から操法技術まで多岐にわたり、1年を通して地道な訓練が重ねられている。
団員一人一人には、長い歴史の中で脈々と受け継がれてきた崇高な消防精神が宿っている。

一関市消防団
大森忠雄団長、団員2,867人

1敬礼する一関市消防団大森忠雄団長
一関市消防団は、1本部8地域本部体制で活動しています。
火災、風水害、地震災害などの発生時の対応だけでなく一年を通して予防活動にも力を入れています。
さらに、地域密着性、要員・動員力、即時対応力などの特性を生かして、地域コミュニティーの維持や振興にも大きな役割を果たしています。

2分列行進する消防団員3分列行進する婦人消防協力隊員
6分列行進する消防車両5式典で起立しステージ上に注目する団員4式典でかざされる団旗
1_敬礼する一関市消防団大森忠雄団長
2.3_分列行進する消防団員と婦人消防協力隊員
4_式典でかざされる団旗
5_式典で起立しステージ上に注目する団員
6_分列行進する消防車両

広報いちのせき「I-Style」 平成25年2月15日号