進む復旧、復興へ着々

中央が昨年11月下旬に開通した国道342号祭畤大橋仮橋。右側は落下した祭畤大橋。左上部の工事現場は新設する橋の橋脚付近(6月2日撮影)

本市西部を震源とする岩手・宮城内陸地震が発生して、1年が経過します。
死亡1人、負傷2人の人的被害をはじめ、大規模な土砂崩れなど、甚大な被害がありましたが、関係機関などの尽力により復旧作業が進み、復興へ着々と進んでいます。
本号では、被災後の現在までの状況を改めてお知らせします。
(後編は市民防災フォーラムの模様などを広報7月1日号に掲載予定)

国道工事完了は22年度中

国道342号は、通行止めとなっている矢びつダム付近、真湯―須川高原温泉間の工事が盛んに行われています。矢びつダム付近は21年中、真湯―須川高原温泉間と6月から着工するまつるべ大橋本橋は22年度中の完成が見込まれています。
大量の土砂が磐井川をせき止めた市野々原地内の土砂ダムは現在仮排水路により排水されていますが、6月から拡幅工事が始まりました。大量の土砂の除去は困難なことから、川と国道のルート変更が行われます。ルート上の2世帯が住居を移転。川幅20メートルの規模で百年に一度の大雨にも耐えられる排水能力を備えます。工事は21年度中に完成する見込みです。

市の復旧工事は7割完了

市が行う復旧工事では、河川、道路などの公共土木施設は20年度末までに河川5カ所、道路37カ所、全体の約7割の個所が完了。農地の復旧は20年度末までにすべて完了しました。水路などの農業用施設、林道は20年度末までに70カ所、全体の約7割の個所が完了。残りの復旧工事も、21年度中の完了を目指して行われています。

温泉センターは秋に再開

真湯地区の公共施設については、真湯コテージ(自炊宿泊施設)が4月22日から営業を再開。真湯山荘のうち、温泉センターについては、秋の再開を目指し復旧に取り組んでいます。また、いちのせき健康の森は、7月の再開を目指して工事中です。

義援金総額は4億8千万

市への義援金は、5月末現在、3338件、1億1553万8755円が寄せられています。県から配分されたものと合わせると、総額は4億7734万7642円となっています。
義援金の配分は災害義援金配分員会に諮り、人的・住家被害見舞金のほか、▼避難生活見舞金▼離職者見舞金▼被災宅地復旧支援事業▼農地災害復旧事業交付金▼墓石倒壊復旧見舞金―など20の事業に計2億3382万875円を配分しています。

2世帯は復興支援住宅で生活

付近で治山工事が進められているため自宅で生活できない2世帯は、2月から市が本寺中学校=厳美町岡山=敷地内に建設した震災復興支援住宅に入居しています。市は関係機関と連携し、避難世帯が一日も早く自宅に戻れるよう努めています。

写真一覧

地震直後の祭畤大橋(20年6月15日撮影)

地震直後の祭畤大橋(20年6月15日撮影)
地震直後の茂庭沢付近(20年6月26日撮影)地震直後の茂庭沢付近(20年6月26日撮影)
国道342号真湯ー須川高原温泉間の中間地点の道路脇からわき出している「須川岳秘水ぶなの恵み」。現在も変わらずに、森の恵みの水がこんこんとわき出ています(5月30日撮影)国道342号真湯ー須川高原温泉間の中間地点の道路脇からわき出している「須川岳秘水ぶなの恵み」。現在も変わらずに、森の恵みの水がこんこんとわき出ています(5月30日撮影)
現在通行止めとなっている国道342号真湯ー須川高原温泉間の茂庭沢の大規模なのり面崩壊により道路が落下した現場。中央左寄りの鉄の構造物は以前の落石防止柵。斜面はモルタル吹き付けで仮復旧し工事中の崩落を抑えている(5月30日撮影)現在通行止めとなっている国道342号真湯ー須川高原温泉間の茂庭沢の大規模なのり面崩壊により道路が落下した現場。中央左寄りの鉄の構造物は以前の落石防止柵。斜面はモルタル吹き付けで仮復旧し工事中の崩落を抑えている(5月30日撮影)
現在通行止めとなっている矢びつダム周辺の国道342号。日々大量の土砂が搬出されている(5月30日撮影)現在通行止めとなっている矢びつダム周辺の国道342号。日々大量の土砂が搬出されている(5月30日撮影)
被災前の自然石を利用して復旧された夏梨川の護岸(6月2日撮影)被災前の自然石を利用して復旧された夏梨川の護岸(6月2日撮影)
崩落した大量の土砂が磐井川をせき止めた市野々原地内の仮排水路。本復旧に向けて6月から仮排水路の拡幅工事が始まった。右側は国道342号(6月2日撮影)

崩落した大量の土砂が磐井川をせき止めた市野々原地内の仮排水路。本復旧に向けて6月から仮排水路の拡幅工事が始まった。右側は国道342号(6月2日撮影)

大規模なのり面崩壊などのあった市道鬼頭明通(おにかべあけどおし)線(6月2日撮影)

大規模なのり面崩壊などのあった市道鬼頭明通(おにかべあけどおし)線(6月2日撮影)

(広報いちのせき 平成21年6月15日号)