とうほく蘭展で自慢の「エビネ」が堂々入賞
趣味の「エビネ」が仲間と生きがいを育む

小島忠一さん
愛情込めて「エビネ」を育てるエビネ愛好家
小島忠一さん
Ozima Tyuichi 66 大東町大原

「エビネ」とは、ラン科の常緑多年草で野生ランの一種だ。
葉は大きな楕円形で、5月には唇弁(しんべん)の花を咲かせる。

大東町大原の小島忠一さんは、主に葉を見て楽しむエビネ愛好家。

1月下旬に仙台の「夢メッセみやぎ」で開かれた「とうほく蘭(らん)展&バラとガーデニングフェスタ2013」に自身が育てた自慢の20点を出品。
その内、1点がエビネ・ビカラー・万葉集(エビネの葉)の部で最高賞のブルーリボン賞に輝き、全体審査でも岩手県知事賞を受賞した。
複数の部門がある中でブルーリボン賞以上を獲得したのは県内でただ一人だ。

審査の大きなポイントは斑(ふ)という葉に付いた模様。
受賞した作品は、「中斑」と呼ばれる葉の内側に白い斑が入ったもの。
これは、青森の仲間から6年ほど前に受け継いだエビネを、植え換えるなどして大事に育てたもの。
「一番の出来。誰が見てもパッと目に付くよ」と自信をのぞかせる。

小島さんが野生ランの栽培を始めたのは約30年前。
近くの山へ山菜採りに出かけた時にひときわ目立つツヤのある葉を見つけた。
「何の草だろう」。
半信半疑で家に持ち帰り、花を咲かせて初めて分かった。
ラン科の「クモキリソウ」だった。

元々、趣味でサボテンを栽培するなど植物には興味があった。
一気にランに魅了され、今では、500鉢以上も栽培している。

エビネの栽培で一番気を付けているのは温度。
室温を分けた2つのハウスで栽培する。
夏は寒冷紗という布をかけて葉焼けを防ぎ、病気にかからないように気を配る。

岩手エビネ愛好会(会員16人)の会長を務め、北東北のほとんどの展覧会に顔を見せる。
行く先々にはラン仲間が待っている。
「全国に仲間ができた。ただ見て歩くのと違って勉強になる。趣味の仲間は最高」。
集まれば一日中花の話しで盛り上がる。

同愛好会は、毎年5月の第2土・日曜に大東勤労者体育センターで「エビネ・山野草展」を開く。
今年の開催は5月11・12の両日。
会場には約450点の作品が並ぶ予定だ。

ランと出合って30年。
趣味に没頭する月日はあっという間に過ぎてゆく。
エビネの花言葉は「謙虚・誠実」。
これからもまっすぐに前を見つめ、まごころを込めてエビネを育てる。

写真は㊧から中斑、虎斑
一般に見られる斑入りは、葉の回りに白い斑が入った「覆輪(ふくりん)」やしま模様の「しま斑」。
その他には、斑がまばらにちらばった「虎斑」や葉の内側が白くなっている「中斑」が珍しいとされている。
写真は左から中斑、虎斑

Profile

1946年生まれ。
約30年前に野生ラン「エビネ」に魅了され、現在は500鉢以上を栽培。
各地の蘭展を訪ねては、情報交換を欠かさない日々。
岩手エビネ愛好会会長。
妻静しず子こさんと息子の3人暮らし。
大東町大原字七切在住、66歳。

広報いちのせき「I-Style」 平成25年3月1日号