設置理念・活動方針

設置理念

 一関市を中心とする岩手県南・宮城県北地方は、古代末期に日本刀の起源のひとつとされる舞草鍛冶が起こり、中世には中尊寺領骨寺村の開発や葛西氏400年の統治、近世には仙台藩伊達氏やその支藩である一関藩田村氏による藩制の展開、また、儒学者・蘭学者を輩出した大槻家の活躍、建部家を中心とした蘭医学や千葉家を中心とした和算の隆盛など、個性的な文化をもっていた。

 このような、地域の歴史の流れとその文化的特色、舞草刀を中心とした刀剣、地域にゆかりのある先人たちの歩みと業績を主な対象として、歴史と文化をとりあげた人文系の博物館を設置する。博物館は、市民が地域の歴史的・文化的個性に親しみながら、普遍的な価値観や精神的な豊かさを追求する生涯学習の場とする。

 その実現のために、以下の事項を達成すべき目標として掲げる。

1.地域の歴史・文化の解明と継承に尽くす博物館

 地域の歴史・文化にかかわる資料を収集し、それらを解明して、次代へ継承していくことにより、人々の生きる力や地域文化の向上に役立ち、また、進取、創造性に富む人材の育成に寄与することをめざす。

2.研究成果を蓄積し情報発信・提供する博物館

 学術調査・研究をすべての博物館活動の基礎と位置づけ、その成果を博物館の諸活動に反映させ、広く情報を公表し提供していくことにより、常に成 長・発展する情報提供能力の高い博物館をめざす。

3.すべての人々が交流・連携し利活用する博物館

 世代を越えたすべての人々が、自主的・主体的に交流・連携し、楽しみながら学び課題を解決し、そして、新たな価値を創出できるような、市民とともに歩む地域の知的創造活動のセンタ-をめざす。

(平成16年8月26日 一関市教育委員会了承)

活動方針

1.資料収集・整理・保存 

 「地域の歴史」「舞草刀と刀剣」「大槻玄沢と蘭学」「大槻文彦と言海」「一関と和算」「地域の美術工芸」の6テ-マにそった資料を収集し、整理して、確実に保存して次代へと継承する。

2.調査・研究

 前項1で掲げた6テ-マを中心とした調査・研究を、地域の人々や研究機関などとの連携・協力のもとに推進・研鑽し蓄積していく。それらの成果は、資料収集に反映させ、展示、交流・連携、研究報告書、図録、学界(会)発表、情報提供・サ-ビスなどにより公表していく。

3.展示

(1) 常設展示

 「一関のあゆみ」「舞草刀と刀剣」「玄沢と蘭学」「文彦と言海」「一関と和算」の5テ-マに関して、地域の歴史と文化の変遷と個性を研究し、多様な資料により系統的に展示する。

(2) 企画展示

 前項1で掲げた6テ-マに基づき、調査・研究の成果の上に立って選定した各地の資料を系統的に展示する。図録や関連出版物を刊行して、より広く成果を社会に還元するとともに、情報を蓄積し将来の要求に備える。

4.交流・連携

 多様な講座・講演会・体験学習・見学会などを企画し、さらに、人々が世代を越えて自主的・主体的に学び考えながら交流を深めることができる機会を提供する。また、所蔵資料の貸出し、講演などの要望に対応していくとともに、友の会を設置するなど、あらゆる場面において市民個人・機関との連携を推し進めていく。

5.情報提供・サ-ビス

 博物館が収集・蓄積した学術情報を発信・提供するとともに、その方法の迅速化・利便化をはかっていく。また、収蔵資料の利用についても積極的に対応していく。

(平成16年8月26日 一関市教育委員会了承)

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