感謝される駅

柴宿駅

JR大船渡線「柴宿駅」を訪れたのは5月下旬。
昭和37 年5月15 日に開業した同駅は今年50 周年を迎えた。

大船渡線の開通は大正14 年。
駅開業までの37 年間、柴宿地域は列車が通過するだけだった。
開業したとき地域を挙げて喜んだという。

20 年前からボランティアで駅舎や周辺の環境整備を行っている「白百合会」代表の菅野志磨子さん(73)が今回の案内人。
「昔は残飯なども捨てられて掃除が大変だった」と振り返る。

開業時から無人駅の「柴宿」。
駅舎やホームの清掃は、奉仕活動の一環として地元の子供たちが行った。
やがて子供たちから祖父母、父母へと引き継がれ、白百合会へ。
菅野さんは「請願駅である柴宿への感謝の気持ちを引き継いでいきたい」と同会が発足しきっかけを語る。

駅舎脇の花壇は、地元の老人クラブ「長久会」(佐藤克郎会長、会員33人)が手入れを行っている。
「待ち望んでいた駅だから、きれいにしたい」と佐藤会長。

地域の中心として、毎日多くの人が利用する柴宿駅は、「感謝の気持ち」を引き継ぐ人たちの手で支えられてきた。
柴宿駅を出ると上り列車は猊鼻渓駅へと向かう。

▼「きれいな花壇を造りたい」と語る佐藤会長。
老人クラブ「長久会」(佐藤克郎会長
1早朝から花苗を植える「長久会」の会員2「白百合会」の皆さん
3猊鼻渓へ向かう車窓から4開業当時、ホームの脇に植えられた藤

1_早朝から花苗を植える「長久会」の会員。今年は9種の苗を植えた。
2_50 周年を祝う看板が掲げれている駅舎の前で勢ぞろいした「白百合会」の皆さん。
3_猊鼻渓へ向かう車窓から。柴宿を出ると長い下り坂を走っていく
4_開業当時、ホームの脇に植えられた藤。半世紀以上、人の往来を見届けてきた。

案内人
菅野志磨子さん
「白百合会」代表

「白百合会」代表の菅野志磨子さん
駅舎の掃除は、会員が交代で行っています。
学生などたくさんの人が利用する柴宿駅は地域の中心。
感謝の気持ちを引き継いでいきたいです。

広報いちのせき「I-style」7月1日号