機能性と芸術性が融合
家族と共に時を刻む家具

1静かでゆったりと時間が流れる工房には、材料を削る音だけが響く

藤沢町のほろわ湖畔に武田憲一郎さん(38)の工房がある。
風、光、水を体感できる保呂羽に「家具工房武田」を開いたのは08年。
「スローに、心豊かに」をモットーに、世代を超えて愛され、親しまれる家具を作っている。

小さい頃からものづくりが好きだった。
一関一高卒業後、石川県の金沢美術工芸大で造形を学び、さらに長野県の上松技術専門校で木工技術を習得した。
97年に帰郷、家業を手伝いながら独立の準備を進めた。

商品はオーダーメード。
依頼者の要望をじっくり聞いてデザインする。
スケッチに始まり、組み立てをシミュレーションしながら図面を引く。
「確かなイメージを伝えたい」とミニチュアを作ることも。
全ては、家族みんなに末永く使ってほしいから。

材料は、可能な限り地元産を使う。
地域資源の循環を第一に考え、環境にやさしい生産活動を展開する。

「繊細で美しい木は、使い込むほどに味わいが増す」と言う武田さん。
木本来のやさしさを生かすため、くぎや金具をほとんど使わない「組み手技法」や「ほぞ組み」などで組み立てる。
手業から生み出される滑らかなラインときめ細やかな仕上げは匠の技。
機能性と芸術性が融合した家具はシンプルで美しく、気品さえ漂う贅を尽くした逸品。
「日常使いするものだからこそ、デザインにもこだわりたい」と心を込める。

6月に結婚。
家族と共に時を刻む家具を作り続けてきた職人は人生の伴侶を得た。
妻暁子さんと自ら手掛けたテーブルを囲む日も近い。

2数十種類ののみを使って繊細な曲線を作り出す3四季折々の風景を楽しむことができる湖畔の工房
4カンナを使った「削る」作業5のみを使った「彫る」作業6木工旋盤を使った「ろくろ」作業
7機能性と芸術性が融合した武田さんの家具の特徴は、シンプルで美しいフォルム

1_静かでゆったりと時間が流れる工房には、材料を削る音だけが響く
2_彫刻は最も得意とする手業。数十種類ののみを使って繊細な曲線を作り出す
3_四季折々の風景を楽しむことができる湖畔の工房
4_カンナを使った「削る」作業
5_のみを使った「彫る」作業
6_木工旋盤を使った「ろくろ」作業
7_機能性と芸術性が融合した武田さんの家具の特徴は、シンプルで美しいフォルム
 

PROFILE

武田憲一郎
武田憲一郎
1974年神奈川県生まれ。
96年金沢美術工芸大卒。97年長野県上松技術専門校卒。
同年個展「木彫+ドローイング展」開催。
2 0 0 0年平泉町に工房開設。
02年個展「椅子(いす)展」開催。08年藤沢町に工房開設

家具工房武田
〒029-3521
藤沢町保呂羽字上野平148-5
Tel 0191・63・5203
Fax 0191・48・3006
ホームページhttp://www.k-takeda.jp/

広報いちのせき「I-style」7月1日号