防災企画 後編「訓練に臨む―岩手県総合防災訓練」
官民挙げ大規模災害に備える
いざ災害が起こったとき、あわてずに行動できるかどうかは、日ごろの訓練あるのみ。
大規模災害を想定し関係機関、地域住民、企業など約1万5千人が参加した岩手県総合防災訓練の現場をレポートします。
18年度総合防災訓練(県・一関市主催)は「防災の日」の9月1日、狐禅寺の総合体育館や北上川学習交流館「あいぽーと」を主会場に行われました。
訓練には市内の消防団、自主防災組織、学校、企業などをはじめ、県内外の243団体から約1万5千人が参加。災害時に迅速な応急対策活動を行うための89項目の訓練を通して、住民の防災意識の高揚を図り、近い将来に高い確率で発生が予測されている宮城県沖地震など大規模災害の発生に備えました。
増田寛也知事を統監、浅井市長を副統監とした訓練は午前7時30分に開始。宮城県沖を震源とするマグニチュード7.8、震度6弱の地震により各地で道路、鉄道、水道、通信などライフラインが不通になったほか火災や林野火災が発生。また、一関遊水地周囲堤に決壊の恐れが生じたため人命救出や医療救護、各施設の復旧が必要となったという想定で行われました。
地震発生が告げられると、市や県は直ちに情報収集を開始。市役所本庁が被災したという想定のため、総合体育館に災害対策本部を設置しました。
市内51の自主防災組織や市婦人消防協力隊は初期消火を訓練。陸上自衛隊、山形県消防防災航空隊、県警本部のヘリコプターは上空偵察、空中消火、医療スタッフや負傷者の緊急搬送の訓練を行いました。県警広域緊急救助隊や県緊急消防援助隊は倒壊建物や破損車両からの負傷者救出を訓練。市消防団は堤防の決壊を防ぐ水防工法訓練や、山林に延焼した火災を消火する林野火災防禦(ぼうぎょ)訓練を実施。市赤十字奉仕団などは被災者への応急給食に炊き出しを行いました。
7月に岩手、宮城県境の11市町で「岩手・宮城県際市町災害時相互応援協定」を締結したことに基づき、近隣市町からも物資輸送や救助救出に応援隊が駆けつけました。
主会場以外にも、磐井病院、JR一ノ関駅、市内92カ所の保育所・幼稚園・小学校・中学校・福祉施設で訓練が行われました。
閉会式で、増田知事と浅井市長は「本日の成果を地域や職場に持ち帰り防災体制の充実に努めてほしい」「新市発足後1年が経過し、市民と行政が一体となった訓練は市の防災体制を確認する上で意義深かった」とあいさつしました。
声 参加者に聞きました
●市消防団花泉第3分団
今野貞雄(こんのさだお)さん(花泉町)
水防工法訓練に参加。他の地域と初めての合同訓練で、緊張もありましたが次第にいつもの訓練成果が発揮できたと思います。●沢内民区自主防災会相沢孝(あいざわたかし)さん(山目)
昨年の市の訓練に続いて参加しました。災害時は、いろいろな意味で地域みんなで協力しなければならないと再確認しました。
●市赤十字奉仕団
昆野洋子(こんのようこ)さん(千厩町)
合併後初めての大規模な訓練で改善すべき点もあったと思いますが、こうした訓練を繰り返し実施することで実際の場面ではよりスムーズな活動ができるようになるのではないでしょうか。(広報いちのせき 平成18年9月15日号)
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