アートで地域交流「工房てんとう虫」

NPO法人アートで明るぐ生ぎるかわさき

ボランティアから寄付された端切れ布で丹念に布草履を編む工房利用者。草履はオリジナル商品として販売されます

障害のある人たちのアートを「可能性の芸術」としてとらえ、 芸術と社会の新しいコミュニティーを築いていく市民芸術運動、「エイブル・アート」。このエイブル・アートに共鳴して取り組んでいるのが、「NPO法人アートで明るぐ生ぎるかわさき」(葛西秋夫理事長)が運営する、「工房てんとう虫」です。
同工房発足のきっかけは、現在も同工房に通う在宅障害者数人が、旧川崎村の障がい者デイケア教室「てんとう虫教室」で、「アート創作」に出合ったこと。「参加者は思いを表現する喜びと、作品を発表することで自信をつけ、そこから家族会や支援者が応援する形で『工房てんとう虫』が生まれた」と同工房の須藤静恵所長が説明します。
平成14年8月、精神障がい者家族会「かわさき虹の会」が、障害者小規模作業所として「工房てんとう虫」を発足。17年2月、障害者の自立と社会参加の促進を目指すNPO法人が設立され、同年4月に地域活動支援センターとして「工房てんとう虫」を引き継ぎました。
法人名の「明るぐ生ぎる」は、利用者の一人、鈴木アキ子さんの作品にちなんだもの。習字の手本「明るく生きる」を見た鈴木さんが、独特の語り口でタイトルをつける名人ぶりを発揮して「あがるぐ生ぎる」と書いたことから、みんなでスローガンにしていこうとなったものです。
現在12人の利用者が通う同工房は、絵画、遊書などのアートの製作に加え、正月飾り、手すきはがきなどのオリジナル商品を製作・販売。イベント時はコーヒーショップを出店し、製品を陳列して、地域と積極的に交流しています。最近では、掃除や草取り、会議の給茶業務などを受託し、地域での社会参加を目指した活動も行っています。
19年秋の工房設立5周年を記念し、今年3月、ミニ画集を発行。画集には、工房設立時からの利用者9人が、クレヨンや色鉛筆、パステルなどの画材を用いて色鮮やかに描いた作品75点が掲載されています。表紙を飾るのは、設立時からの利用者、故菅原サツ子さんの水彩画「てんとう虫」。独特な色彩と感性で不思議な世界を作り出し、見る人の目を楽しませてくれます。
「皆さんにもっと工房の作品を見てもらい、多くの人たちと交流していきたい」と抱負を語る須藤所長です。

活動日

月曜~金曜

活動場所

工房てんとう虫(川崎町薄衣字諏訪前)

連絡先

同工房 電話0191-43‐4733

(広報いちのせき平成20年6月1日号)