日本画家佐藤紫煙の作品の魅力

《牡丹孔雀図》11月7日まで展示

《牡丹孔雀図》11月7日まで展示

《竹鶏図》10月11日まで展示
《竹鶏図》10月11日まで展示
《花卉図》10月13日~11月7日まで展示
《花卉図》10月13日~11月7日まで展示

※作品はすべて新潟市所蔵

明治時代半ばから昭和十年代にかけて活躍した一関出身の日本画家、佐藤紫煙(1873~1939)は、国内の展覧会で数々の賞を受けたほか、海外にもその作品が渡りました。

明治30年代に開催されたベネチア万国博覧会、パリ万国大博覧会、セントルイス万国博覧会などへの出品です。

この「ベネチア万国博覧会」は、現在も2年に一度開催されている現代美術の国際美術展覧会「べネチア・ビエンナーレ」の第2回展に当たります。

当時のヨーロッパでは「ジャポニスム」と呼ばれる日本趣味が浸透しており、日本の美術品は大変人気がありました。

そこで、イタリア政府が日本政府に出品を要請し、伝統的な日本画を描く画家が所属する「日本美術協会」が出品を求められました。

そして、この美術団体で活躍していた紫煙の作品も選ばれたのです。

紫煙が海外の博覧会のために筆をふるった作品は、現在日本国内で見ることはできませんが、彼の腕の確かさを示す優品を、博物館で展示中です。

それがこのたび特別に借用した、新潟市にある大正時代の豪商別邸(現在は新潟市が取得)に残る桐戸絵です。

木の肌の茶色を生かして塗られた絵の具は大変美しく、また、雲やかすみを表すためにまかれた金銀の砂子はため息が出るような麗しさです。

作品の残る別邸は避暑のために用いられた建物なので、紫煙の絵も暑さを忘れさせるかのように全体にすっきりとまとめられていますが、涼やかな画面の中にも密度の濃い描き込みがなされています。

鳥の羽や脚、花びらや葉脈などに目を凝らし、筆づかいの隅々をご覧ください。

繊細さと優美さ、そして何より、紫煙の技量の高さを感じていただけることと思います。

一関市博物館案内

企画展:佐藤紫煙―幻の花鳥画 ―新潟・大正時代の豪商別邸に残る板戸絵―

■会期…11月7日(日)まで
【展示説明会】

■日時…10月2日(土)11時および14時

【表具実演】

専門家が紫煙の作品を修復する様子を、解説付きでご覧いただきます。

■日時…10月2日(土)11時~15時(見学随時)※事前申し込み不要

■実演…小林嵩さん

美術館ツアー

■日時…10月30日(土)10時~17時

■内容…当館で企画展を鑑賞後、バスで移動し宮城県美術館特別展「孤高の画家 長谷川りん二郎展」鑑賞

■定員…40人(小学生以下は保護者同伴)

■参加料…大人1200円(児童・生徒・学生は別料金)※昼食は各自

アートフィルム上映会「今を生きる作家たち」

世界で活躍する日本人作家の制作を追ったドキュメンタリー映画を上映します。
「草間弥生 わたし大好き」 前衛芸術家、草間弥生を1年半追い続け、作品が完成する瞬間をカメラでとらえました。
「天明屋尚」 世界が注目する「ネオ日本画」制作風景に密着します。

■日時…10月31日(日)▼「草間弥生 わたし大好き」10時~11時50分▼「天明屋尚」14時~15時30分

■定員…小学5年生以上60人

※参加無料

「東北文化の日」に係る無料入館

■開催日…10月30日(土)、31日(日)
 (広報いちのせき 平成22年10月1日号)