震度6弱でライフライン寸断
隣接する沿岸市への支援に全力

3月11日14時46分ごろ、三陸沖を震源に発生した「東北地方太平洋沖地震」は沿岸部で津波による多数の死者・行方不明者を出したのをはじめ、東日本の広い範囲で電気、水道、通信などライフラインが寸断されるなど、甚大な被害を与えています。
本市は人的被害は少なかったものの長期間にわたる停電、断水により約2700人が公共施設に避難したのをはじめ、ガソリン不足などにより生活に大きな不便を強いられています。
また、本市は平泉町、藤沢町と連携し、多数の死者・行方不明者を出している陸前高田市、大船渡市、宮城県気仙沼市への支援に力を注いでいます。

地震は三陸沖を震源とし、マグニチュードは9.0と国内の観測史上では最大となる巨大地震。市内では震度6弱を記録しました。
市は15時、勝部市長を本部長とする災害対策本部および支部を設置し、被害の情報収集に努めるとともに被災者への対応や断水地域への給水活動、避難所の開設などにあたりました。

【ライフライン】

電気は、送電が停止されたことから地震発生と同時に市内全域で停電。
13日夕方から一部通電が開始され、15日に全域が復旧しました。
水道は、地震直後に市内ほとんどの地域で断水。
広報車で給水所を周知しながら最大で36カ所に給水所を設け、復旧に努めました。
簡易水道を含めた全世帯の復旧は24日となりました。
各種通信にも大きな影響が出ました。
固定電話、携帯電話ともにつながりにくい状況になりました。
道路は一時市道51カ所、県道3カ所、国道3カ所が通行止め。
25日現在でも市道30カ所、県道1カ所、国道2カ所の通行止めが継続しています。
公共交通機関もストップ。
高速バス、路線バスは徐々に復旧。
鉄道は、東北本線一ノ関盛岡間が20日から運行。
東北新幹線、東北本線仙台方面、大船渡線は復旧の見通しが立っていません。
東北自動車道は地震後、災害緊急車両が優先され一般車両の通行止めが続いていましたが、24日に全車両の通行が可能となりました。

【医療】

県立大東病院は、施設の損傷などにより一時使用不能に。
入院患者は全員千厩病院に転院し、22日から再来患者の診察と薬処方のみを再開しています。
また、14日から19日まで、小児・成人夜間救急当番医に代わり、市役所本庁内に夜間救護所を開設しました。

【避難所】

家屋の被害、停電や断水のため、多数の市民が避難所で過ごしました。
東北新幹線の利用客約200人も一関文化センターに身を寄せました。
13日には44カ所に2701人が避難。
電気や水道の復旧とともに避難者は減る一方で、陸前高田市や気仙沼市などの避難者も受け入れています。
25日現在、4カ所で62人が避難生活を送っています。

【物資の不足】

東北地方に燃料を供給していた太平洋沿岸の製油所が津波により破壊され、ガソリン、灯油など燃料の補給が途絶えたことから、地震直後から燃料が極端に不足。
市は14日16時、「一関市燃料不足に関する非常事態」を宣言し、市民に燃料の節約を呼び掛けました。
物流がストップしたことから食料をはじめとする日用品が不足。
徐々に回復傾向にあるものの、市民生活に大きな影響を与えました。
一方で、友好都市の和歌山県田辺市、非常災害時における相互応援協定を結ぶ東京都豊島区など、全国の自治体や企業などから救援物資が届きました。
これらは市が避難者のために活用するとともに、より甚大な被害を被った近隣沿岸市に届けられました。

【市民への情報提供】

地震による停電で市ホームページのサーバーが停止したものの、復旧した14日から市は給水所、ごみ収集など身近な情報をホームページで即時提供。
そのほか各報道機関に情報を提供。
16日からはA4版のチラシ「一関市災害対策本部からのお知らせ」を10日間毎日発行し、給水所での配布や避難所での掲示などを行いました。

土砂崩れや落石により通行止めとなった市道岩ケ崎川台線

土砂崩れや落石により通行止めとなった市道岩ケ崎川台線

給水所では自主防災組織などの地域団体が活躍

給水所では自主防災組織などの地域団体が活躍

避難所の一つ、一関文化センターには多いときでおよそ600人が避難。

避難所の一つ、一関文化センターには多いときでおよそ600人が避難。
ライフラインが途絶え余震が続く中、不安な夜を過ごしました

市内のガソリンスタンドはどこも大渋滞。

市内のガソリンスタンドはどこも大渋滞。
給油まで数時間並ぶ光景が日常的に見られました

全国各地から救援物資が到着。

全国各地から救援物資が到着。
いわて南牛を取り扱う東京の食肉加工・卸会社からはレトルト食品などが届けられました

市役所本庁内に市災害対策本部を設置。

市役所本庁内に市災害対策本部を設置。
関係機関と連携し情報収集と復旧に努めています。

沿岸3市へ支援物資を届ける車両に積み込む様子

沿岸3市へ支援物資を届ける車両に積み込む様子

公共施設にも大きな被害。

公共施設にも大きな被害。
萩荘公民館は外壁が大きく崩落

避難所の運営を支えたボランティア。

避難所の運営を支えたボランティア。
食事の準備で大きな力に

物流がストップする中、すぐに地元産の野菜や加工品を販売した直売所。

物流がストップする中、すぐに地元産の野菜や加工品を販売した直売所。
道の駅かわさきは地震翌日の12日から営業を再開。停電復旧後も客足が途絶えません。

 

 

 

沿岸市への支援

市は市内の復旧に努めると同時に、より被害が著しかった陸前高田市、大船渡市、宮城県気仙沼市への支援に着手。
これまで、人的支援、物資の提供や運搬、避難者の受け入れなど、県や平泉町、藤沢町などと連携して取り組んでいます。

【人的支援】

市消防本部は11日、陸前高田市に現地調整隊を派遣し12日から捜索、救助活動に従事したのを皮切りに、25日まで延べ107人が出動。
市消防団も116人が陸前高田市での捜索活動に従事しました。
このほか、現地駐在員として18日から陸前高田市、気仙沼市に市職員を派遣しているのをはじめ、保健師の派遣などを行っています。

【医療関係の支援】

12日、陸前高田市からの避難者44人の診療を受け入れたのをはじめ、千厩、磐井の両県立病院を中心に被災地の患者を受け入れています。
22日には、一関市医師会の協力により、気仙沼市の避難所に「気仙沼市・一関市合同救護所」が設置されました。

【支援物資の搬送など】

市は13日、気仙沼市に毛布を搬送したのを皮切りに、市提供の物資をはじめ、他の自治体や団体の物資、市民らが提供した物資などを多数搬送。
米、保存用パンなどの食料、水やポリタンク、紙おむつ、生理用品、マスク、カイロなどの生活物資を3市に届けています。
19日からは、室根体育館が全国から気仙沼市あてに送られる救援物資の受け入れ、各避難所への配送の拠点として稼働。
室根地域のボランティア、消防団員、市職員OBの協力を得て市が運営を行っています。

【このほかの支援】

平泉町、藤沢町と連携し、
▽陸前高田市に自衛隊が設置した風呂への避難所からの送迎バスの運行
▽被災者支援住宅として、市内と沿岸の被災者のための雇用促進住宅の提供(19日から募集を開始し、定数に達したため、一次募集を終了)
▽沿岸市で不足している公用車7台を提供
を実施。
このほか、市として▽大原公民館での陸前高田市の避難者への入浴サービスの提供▽災害ボランティア医療チームの宿泊施設として、大東、千厩、室根各支所の提供―などを行っています。

(各内容は3月25日現在)

陸前高田市で捜索に従事した市消防団員

陸前高田市で捜索に従事した市消防団員

一関市青年団体連絡協議会が中心となって市民に呼び掛け。

一関市青年団体連絡協議会が中心となって市民に呼び掛け。
3月18日、トラック3台で陸前高田市に集まった防寒着、カイロ、靴下などの生活用品とおにぎりを届けました

大原公民館で入浴後、ほっと一息ついて食事をとる陸前高田市の避難者

大原公民館で入浴後、ほっと一息ついて食事をとる陸前高田市の避難者

(広報いちのせき平成23年4月1日号