和算に挑戦

平成21年度出題問題①[初級問題]&解答例

 4,395円で、上、中、下の3つのランクの甘酒を買います。それぞれ1リットルあたり上は110円、中は90円、下は70円です。
 中は上の4分の1、下は上の5分の1の量を買う時、上、中、下それぞれ何リットルずつでしょうか。※元禄6年(1693)に出版された『改算記大成』の問題です。

審査員講評

 今回も沢山応募がありました。一人で複数解の解答も含めた述べ件数は、538件(昨年708件)、また応募者の最高齢は86歳で、最年少は小学1年生の皆さんでした。
 昨年同様、団体応募をしていただきました各学校の和算に対する熱心な取り組みに対し、敬意を表明すると同時に心から感謝を申し上げます。
 さて、沢山の解答の採点には大変時間がかかりましたが、どの解答も一生懸命考えて作った様子が感じられてとても楽しい気持ちで採点することができました。そしてその日は日本の未来に希望と頼もしさを抱かされた一日となりました。

 

解答例

解答を大別すると次の三つになるようです。

〔解法Ⅰ〕

 

【解法Ⅱ】

【解法Ⅲ】

 小学校低学年の解答は、〔解法Ⅰ〕の1°のように、実際に表にまとめて解答を作っている人が多かったようです。高学年の人は同じく〔解法Ⅰ〕の2°、または3°のどちらかの方法で解いていました。
 中学生以上になるとほとんどの人は〔解法Ⅲ〕の方程式利用の解法でした。
 〔解法Ⅱ〕の4395円を上、中、下の代金に分割してから量を求めた人は、極めて少数でした。
 解答にほとんど差異のない多数の応募者の中から各賞の該当者を選ぶことは大変難しいことでしたが、解き方の道筋を簡潔明瞭に表現している答案の人を選びました。小数点のついた割り算をまだ習っていない小学校低学年の皆さんには計算が難しいところがあったようです。でもそれを工夫して乗り切っていることには感心しました。
 今年の「和算に挑戦」も終わりました。ありがとうございました。来年も沢山の応募を期待してペンを置きます。

解説

 初級問題は、元禄6年(1693)に出版された『改算記大成(かいざんきたいせい)』の巻の中にある問題です。原文は下のように、酒を銀貨で買うという問題でしたが、「和算に挑戦」では小学生向けの問題なので、酒を甘酒に、酒や貨幣の単位も現代風に直して問題をつくりました。


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