市全体が自然体に

大切なことは、一期一会の気持ち。
家族を迎えるような自然体のおもてなし。

「おもてなし」の心を持って行動することが、豊かな人間関係を築きます。
では、どうすれば、おもてなしを日常に取り入れることができるのでしょうか。
いわいの里ガイドの会白澤剛一会長に聞きました。

人情や愛情に触れた記憶は、いつまでも心に残ります。
里帰りしたような温かいおもてなし。
それが一関のおもてなし。
白澤剛一会長

相手を心から受け入れる、心を込めて迎えたり、応えたりする、それがおもてなしです。

大切なことは「目配り」「気配り」「心配り」。
そんなに難しいことではありません。
実際には、もてなす人の感性によるところが大きく、教えなくてもできる人もいれば、教えてもなかなかできない人もいます。
「目配り」「気配り」「心配り」は、理屈じゃなく、心掛けで身につくものです。

ガイド出会う人の多くは観光が目的です。
ほとんどが初対面ですから、自然な笑顔で迎えることでかなり印象は違ってきます。
どんな人も笑顔であいさつされたら気持ちいいですよね。

「自然な笑顔」をはじめ、おもてなしの心は、表情や仕草に表れるものです。
私たちは誇りを持ってガイドをしています。
疲れていても絶対に表情には出しません。
それがおもてなしだと思うからです。
それでも、目配り、気配り、心配りに欠けることがあれば、きちんと反省します。
それもまた、おもてなしだと思っています。

私たちガイドは、知識だけでは迎えられません。
気持ちよく過ごしていただくために、お客さま一人一人に感心してもらうのではなく、感動してもらう案内を心掛けています。
印象のよさ、気持ちよさ、居心地のよさ、雰囲気のよさを感じてもらえれば、きっと満足いただけると信じています。

一期一会という言葉が好きです。
「あなたに出会ったこの時間は、たった一度きり。だから、この一瞬を大切に思い、今、できる最高のおもてなしをしましょう」

この気持ちで行動することに尽きます。

一関を訪れる人の多くは、平泉や骨寺村荘園などの世界遺産と厳美渓、猊鼻渓などの名勝巡りが目的です。
でも、帰るときの印象は「人」の方が強いのではないかと思います。
例えば、道を教えてくれる人、食事を出してくれる人、そして私たちのように案内する人など、ここで出会う全ての人の印象が良ければ、まち全体が「いいまち」として心に残ります。
それが、リピーターにつながるのだと思うのです。

ささやかな心遣いに、人は小さな幸福感を得ます。
素朴さ、やさしさ、温かさなど、おもてなしの心は、触れ合った相手から感じるものだからです。

一関に暮らす人にも、一関を訪れる人にも、ほんわかと、自然体でもてなすことができたら、きっと互いにほっこりできるんじゃないでしょうか。
そんな日常を広げていきたいですね。
小さな幸せをたくさん感じられるまちをつくっていきたいですね。

おもてなしは、「心の持ち方」です。
市民一人一人が出会う人に感謝の気持ちで接することができたら、きっと、街中に笑顔が広がると思います。
みんなが幸せな気持ちになれると思います。
さりげない自然体のおもてなしを市全体に広げていけたらいいですね。

いわいの里ガイドの会
白澤剛一会長
白澤剛一会長

Profile

しらさわ・ごういち
1939年大東町生まれ。
大手製鉄会社を定年退職後、Uターン。
2002年の設立時から会員。
09年3月から会長。
現在3期5年目。
3人の子(長男、長女、二男)は全員独立し、現在は妻と二人暮らし。
73歳、三関在住。

いわいの里ガイドの会

いわいの里ガイドの会
〒021-0885
岩手県一関市田村町2の18
TEL・FAX :0191-21-8188
一関地方の史跡や名勝などを案内するボランティア観光ガイド。
旧沼田家武家住宅内に事務所を置く。
骨寺村荘園遺跡や市内の観光名所などのガイドのほか、一関地方の民話を主題とする「語り部」などにも取り組んでいる。
2年に1度、養成講座を開き、ボランティアガイドを育成。
2012年11月現在の会員数は25人。

広報いちのせき「I-style」12月1日号