住民、医療機関、行政対話を シンポジウムで方策を探る

伊藤達朗千厩病院病院長が対話の重要性を語った基調講演

一関保健所が主催する地域医療を守るためのシンポジウムは1月27日、川崎公民館で催されました。市内をはじめ両磐地域の住民や医療関係者ら約350人が参加。崩壊の危機にある両磐地域の地域医療をどうしていけばいいか、基調講演やパネルディスカッションで、病院、住民、行政が行うべきことを探りました。
県立千厩病院の伊藤達朗病院長が「みんなで地域医療を考える」をテーマに基調講演。伊藤病院長は高齢化が進む東磐井の現状を示しながら医療の役割が病気の治療から病気の管理、健康維持、身体の機能回復に変化していると指摘。情報公開の足りなかった医療機関、医療に対し過大な期待を持っている住民それぞれが「対話が欠如していた」とし、「互いに対話を進めて同じ方向を目指すことが重要」と述べ、「皆さんで一緒に地域医療をつくっていきましょう」と参加者に呼び掛けました。
パネルディスカッションでは、鮱名勉・県立磐井病院病院長、藤野宣子・千厩病院福祉ボランティアの会会長、長澤茂・一関市医師会会長、沼倉憲二・藤沢町副町長の4人がそれぞれの立場から地域医療の現状や取り組みを紹介し、これから何をすべきか提言しました。
鮱名病院長は磐井病院の使命は入院疾患の治療と二次救急とした上で、過酷な勤務医の実情を説明。「かかりつけ医を持ち必要に応じて広域基幹病院に紹介してもらうことで軽症患者受診が減り、医師の負担も軽減する」と呼び掛けました。
長澤医師会長は、昨年10月から東西2当番医制に変更した小児・成人夜間救急当番医制度を説明し、「利便性が向上したとの声をいただいており、この夜間救急当番医をもっと利用してほしい」と呼び掛けました。
沼倉副町長は、「住民を巻き込み、住民が地域医療を支えているという視点が必要」と語り掛けました。
参加者の藤原フミ子さん=大東町=は「あまり医療機関の情報を知らないことに気が付いた。改めてもっと知らなければと考えた」と感想を述べていました。

 

(広報いちのせき 平成22年2月15日号)