県立病院の医療体制の充実など10項目

22年度県との政策協議は、8月30日、一関地区合同庁舎で行われました。

藤尾善一県南広域振興局長ほか県関係者と勝部市長、菅原啓祐市議会議長、一関選挙区選出の県議会議員などが出席し、10項目の要望書を勝部市長から藤尾局長に手渡し、協議を行いました。

要望書を手渡す勝部市長

勝部市長は、「一関市が抱えるいろいろな課題の中から特に重要と考える10項目について説明をさせていただきます。いずれの項目も深刻な地域課題であり、その解決に向けたご指導と積極的なご支援、ご協力についてお願いしたい」とあいさつ。

藤尾県南広域振興局長に10項目の要望書を手渡し、県立病院の医療体制の充実などについて説明しました。
藤尾局長は、県立病院の診療科目の状況を説明した上で「関係大学に医師の派遣を要望しているが、即戦力となる医師の招へい活動によって診療科目の充足に積極的に取り組んでいきたい」と語りました。
要望した10項目は、以下の通りです。

両磐保健医療圏内の県立病院医療体制の充実

両磐保健医療圏内の中心的な役割を担う県立磐井、千厩、大東、南光の各病院は、常勤医師の不足に伴い、磐井病院では呼吸器科と眼科が、千厩病院では整形外科、産婦人科、眼科が休診するという深刻な事態が続いており、適正な医療の確保が著しく困難な状況にあることから次の項目を要望しました。
(1)県立磐井病院の耳鼻咽喉科、呼吸器科および眼科への常勤医師の配置
(2)県立千厩病院の内科医師の増員および各診療科への常勤医師の配置
(3)県立大東病院の内科医師の増員および病院施設の改築整備
(4)県立南光病院の精神科医師の増員

両磐保健医療圏内の中心的な役割を担う県立磐井、南光病院両磐保健医療圏内の中心的な役割を担う県立千厩病院両磐保健医療圏内の中心的な役割を担う県立大東病院

両磐地域職業訓練センターへの支援強化

同センターは、職業訓練を行う拠点施設として産業振興上きわめて重要な施設ですが、平成22年度末をもって廃止し、土地所有者である地元自治体に無償譲渡する旨の通知が、国からありました。
同センターは、両磐地域の産業の活性化、産業人材育成の観点から欠かせないため、今後予想される施設改修や機器更新時などにおける財政的支援及び運営費などの支援について充実、強化するよう要望しました。

「平泉」文化遺産の世界遺産登録推進と「骨寺村荘園遺跡」の拡張登録へ向けた調査研究などへの支援

世界遺産登録に関し、国、県が次の事項に主体的に取り組むよう要望しました。
(1)平成23年の「平泉」の世界遺産登録を強力に推進すること
(2)「骨寺村荘園遺跡」について、できるだけ早い時期に追加推薦への道筋が示されるよう取り組むこと
(3)そのための学術調査・研究あるいは発掘などにかかる人的支援や財政支援を図ること

子宮頸がんワクチン、ヒブワクチン及び小児用肺炎球菌ワクチン接種の国による財政支援の実現

我が国で毎年約1万5千人の方が発症している子宮頸がん。

20代から30代のがんのうちでは、死因の第1位となっています。
また、小児の細菌性髄膜炎(※注1)の患者数は、毎年1千人以上と言われ、その原因の6割強をヒブ菌、3割を肺炎球菌が占めているとされることから、WHO(世界保健機構)では、全ての国に対して乳幼児へのワクチン接種を勧告しています。
しかし、ワクチンの接種費用は、いずれも高額であり、全額個人負担となっていることから、費用負担の軽減が望まれています。
このため、子宮頸がんワクチン、ヒブワクチン及び小児用肺炎球菌ワクチン接種にかかる財政支援を国に働きかけるよう要望しました。

(注1)細菌性髄膜炎…脳や脊髄の表面をおおっている髄膜にウイルスなどが感染し、発症するもの。

かぜのような軽い症状から始まり、全身状態が急速に悪化し、けいれん、意識障害、高熱、嘔吐、頭痛などの症状がみられる。

死亡率も高い。

国道、県道の整備促進

国道、県道の整備促進のうち、次の3路線について要望しました。
(1)国道342号…仙台北部地域との産業、経済および観光交流を一層推進し、「中東北」としての地域振興を図るため重要な路線であり、交通混雑の解消などのため、花泉バイパスを早期に完成するよう要望しました。

 また、狭あいでカーブも多く、大型車両などの通行が危険な状態となっている花泉バイパス以南の約8.5キロメートル区間についても早期に整備するよう要望しました。
(2)国道284号…三陸沿岸部から東北新幹線や東北縦貫自動車道へのアクセス道として、地域経済の発展と広域的な社会交流を支えている重要な路線であり、室根バイパスの早期完成と道の駅などの関連施設の整備について要望しました。

 また、弥栄地区の早期整備についても要望しました。
(3)主要地方道一関大東線…市中心部と東山、大東地域を結ぶ重要な路線ですが、通勤車両が狐禅寺地区に集中し、渋滞が恒常化していることから市道弥栄線との交差点を早期に改良するよう要望しました。

 また、本路線唯一の未整備区間である東山町生出地区から大東町流矢地区間は、交通事故が多発している状況にあり、早期に整備するよう要望しました。

整備が進む国道342号花泉バイパス県道一関大東線(流矢地区)国道284号室根バイパス整備に向けて設けた相談室

県営土地改良事業により造成された大規模基幹施設の維持管理に係る支援制度の創設

一関市と藤沢町で進められている、県営畑地帯総合整備事業藤崎地区は、県営かんがい排水事業藤崎地区で整備した大規模かんがい揚水施設(※注2)を活用するものですが、社会・農業情勢の変化などにより、基幹施設の維持管理費を受益者自ら確保することが困難な状況にあります。
このため、公益性を有する大規模基幹施設である揚水機場の管理体制整備と施設の維持管理に要する経費に対して、「国営造成施設管理体制整備促進事業」と同様の支援制度を創設するよう要望しました。

(注2)大規模かんがい揚水施設…北上川から川崎町と藤沢町の畑地(計画受益面積635.5ヘクタール)の農業用水をくみ上げる大規模な揚水施設

岩手県南技術研究センターの整備充実

同センターは、企業との共同研究や技術相談、試験分析、人材育成事業など、ものづくり産業を支援し、地域産業の活性化に大きな役割を果たしています。
しかし、現有機器では技術相談などに対応できない場合もあり、また無停電電源装置の早急な整備などが必要なことから同センターの整備充実について要望しました。

地上デジタル放送の難視聴解消のために設置するギャップフィラー電波利用料の軽減措置

地上デジタル放送の難視聴を解消するためには、「ギャップフィラー」(※注3)の活用が有効な手段となりますが、現在、国では、電波利用料の改定(値上げ)が検討されていることから、電波利用料の軽減措置の継続について、国に働きかけるよう要望しました。


(注3)ギャップフィラー…電波の届きにくい地域や場所の受信特性を改善する装置のこと。

問い合わせ先

本庁企画調整課 電話21-8641

(広報いちのせき 平成22年9月15日号)