でかけよう ことばの海へ 知の森へ
新しい一関図書館の基本設計が完成

市では、磐井川堤防改修事業に伴い老朽化した一関図書館の移転計画を進めています。
移転の時期については、現在の図書館が同事業の用地に建っているため、平成26年度としています。
新一関図書館建設事業のこれまでの進捗状況とその概要についてお知らせします。

これまでの経過

整備計画委員会

新一関図書館整備計画委員会は、▼新一関図書館基本構想▼新一関図書館基本計画▼新一関図書館建設用地▼その他図書館整備に関すること―についての提言をいただくため、22年3月に設置され、公募委員5人、協働推進アクションプラン検討会委員2人、各図書館協議会委員の代表、学識経験者などからなる20人の委員で構成。
これまで13回の会議や6カ所の先進図書館視察などを行いながら検討を重ね、同年8月に「基本構想・基本計画・候補地についての提言」が市に提出されました。
これを受け市は10月、提言に沿った形で基本構想・基本計画を決定し、建設地を一関文化センター競技場敷地に定めました。

市民の皆さんとつくり育てる図書館をめざして

12月からは基本設計を業者に委託し、市民の皆さんのご意見をいただくため市は、基本設計案をお見せしパブリックコメントを実施するとともに2回にわたって市民説明会を開催。
図書館ボランティアや高校生・短大生、子育てサークルの皆さんとの意見交換会を開催し、たくさんのご意見をいただきました。
それらを踏まえ、本年6月に基本設計が完成しました。

基本設計の概要

設計上の重点項目

基本設計は、先に決定した基本構想・基本計画に掲げた理念や方針に基づき検討を進めました。
▼すべての利用者に優しく利用しやすい施設▼地震や水害など災害に備えた対策▼一般と児童の開架フロアのワンフロア化▼省エネルギー対策や自然エネルギーの活用▼まちの景観に調和したデザインの採用―について特に配慮して設計しました。

施設の概要

建設場所は、一関市大手町(文化センター競技場敷地)で地上3階建て。
図書館部分の延べ床面積は4650平方メートルとなります。
資料の収蔵能力は、開架20万冊、閉架30万冊の計50万冊で、中央図書館機能が果たせるよう閉架書庫の充実を図っています。
なお、駐車場スペースについては、文化センターとの共用を想定し、206台を予定しています。

構造など

1階部分の構造は、揺れの幅を抑えるため鉄骨鉄筋コンクリート造。
2階以上は、鉄骨造です。
地震に対する強度は、避難所の基準に準ずる強度を確保することとし、細部については実施設計で検討します。
あわせて、天井や壁、照明器具などの落下を防ぐための検討も進めています。

設備など

具体的には実施設計で検討を進めますが、現時点で導入の検討を始めている設備は、▼太陽光発電装置▼停電に備えるための非常用電源装置▼雨水のトイレなどでの再利用▼LEDなど高効率照明器具の導入▼断熱効果の高いサッシや断熱材の導入▼省エネ効果の高い空調方式の導入―などです。

新一関図書館外観イメージエントランスのイメージ閲覧室のイメージ児童閲覧室のイメージ駐車場のイメージ

これからの進め方

市は今後、実施設計のパブリックコメントの実施や、現場見学会の開催、各種団体の皆さんとの意見交換会を随時開催し、市民の皆さんとつくり育てる図書館を目指していくこととしています。

図書館整備の基本的な考え方

我が国における公共図書館の先がけとなる青柳文庫を創設した青柳文蔵、わが国初の近代的国語辞典「言海」を完成させた大槻文彦など、当市ゆかりの多くの先人たちは、学術文化の興隆に力を注ぎ、当地方の発展に寄与してきました。
これらの文化は、市民全体の貴重な財産であり、その精神は私たちにも受け継がれています。

新しい一関図書館の整備にあたっては、これら先人の精神を後世に伝えるとともに、知る、学ぶ、読書を楽しむ、情報を活かす、交流する、創造するといった市民一人ひとりの生活や活動を支援することを基本的な考え方とし、「でかけよう ことばの海へ 知の森へ」を基本理念に掲げています。

さらに、基本理念を踏まえ、(1)一人でも多くの市民に利用してもらう「すべての市民が親しみやすく使いやすい図書館」(2)一冊でも多くの資料を提供する「市民の様々な活動に役立つ図書館」(3)一人でも多くの人に役立つ「人と人をつなぐコミュニティとしての図書館」(4)将来にわたって利用される「時代の変化に対応できる図書館」―の4つの基本方針を掲げています。

また、新一関図書館は一関地域の図書館であると同時に、全市立図書館の中央館としての役割を担うと位置付けています。

これら、基本構想・基本計画に掲げられた考え方を踏まえ、基本設計を検討しました。

基本設計にいただいたご意見

反映したもの
  • 学習スペースの拡大(55席→79席に拡大、テスト時期などは1階会議室も利用可)
  • 自由に飲食できるスペースの確保(1階学習スペース、2階読書テラス)
  • 駐車しやすいスペース(1台あたり5m×2.5m)
  • 駐輪場の拡大(80台→180台に拡大)
  • 避難経路の確保(4→5カ所)
  • ギャラリーの設置(1階、2階)
  • 停電時への対応(非常用電源装置の設置)
  • 防犯対策(防犯カメラの設置、警備員の配置)
  • 新エネルギーの利活用(太陽光発電装置の設置)
実施設計で検討するもの
  • ビジネス支援スペースの設置
  • 児童図書コーナー入口への工夫
  • 絵本の世界を体験できるコーナーの設置
  • 南側駐車場出入口の検討
  • バスなどの出入口の検討
  • 1階東側学習スペースの検討
  • 2階読書テラスの検討
  • 家具、内装、設備など市民の視点で検討

今後のスケジュール

  • 24年3月 実施設計完了
  • 24年7月 文化センター競技場解体、建築工事着手
  • 26年3月 建築工事完成
  • 26年4月 外構工事・移転作業
  • 26年秋 新図書館開館、現図書館解体

全体の配置

  • 駐車台数:206台(普通車125台+軽自動車76台+優先5台)
  • 駐輪場台数:180台
  • 歩車道分離
  • 駐車場の入口2カ所(北側と南側)
  • 文化センターと1階駐車場の通路を利用し接続
1階の配置
  • エントランス
  • 会議室兼ギャラリー
  • カフェ
  • 飲食可能なフリースペース(兼学習室)
  • 車での利用も想定した2カ所のブックポスト

全体配置図・1階平面図

 

2階の配置
  • およそ3300平方メートルの広々としたフロア※一関市総合体育館メインアリーナのおよそ1.3倍
  • 当市にゆかりのある作家などの作品を展示するスペース
  • 児童スペース(5万冊)
  • 親子で読書に親しむことができるプレイルームとお話の部屋
  • 一般スペース(10万冊)
  • 地域行政資料(4万冊)
  • 座席数:およそ260席
  • 学習スペース:55席
  • 学校図書館との連携を推進する支援スペース
  • 閉架書庫(8万1000冊)

2階平面図

3階・屋上の配置
  • 閉架書庫(21万9000冊)
  • 作業スペース
  • 機械室
  • 太陽光パネルの設置

3階平面図

(広報いちのせき 平成23年7月15日号)