一関市議会臨時会が開会されるにあたりまして、私の所信を述べさせていただきます。 
 先般執行されました、新「一関市」市長選挙におきまして、市民の皆様方から負託をいただき、初代市長として、合併後のまちづくりを託されましたことは、大変光栄に存じると同時に、その責任の重さに鑑み、身の引き締まる思いひとしおであります。
 ご案内のとおり、地方分権が進められているこの時代、地方公共団体は、自己決定能力と自己責任能力が求められており、また、多様化・高度化する住民ニーズを的確にとらえながら柔軟に対応する体制を整える必要があります。
 少子高齢・人口減少などの社会構造変革の中で、高齢者福祉や子育てなどの行政サービス水準を維持してまいるためには、合併のスケールメリットを生かし、コストの低減を図りながら、効率的・効果的な行財政の基盤確保が必要であります。
 旧一関市、花泉町、大東町、千厩町、東山町、室根村、川崎村の1市4町2村は、これまでさまざま々な面で交流と連携を深め、築き上げてきた信頼関係を絶やすことなく、私たちの生活をより一層向上させ、一体として栄えることを希求し、次代を担う子どもたちが誇りを持てる「まち」を創造していくことを目指して、新たに歩み始めたところであります。
 私は、7つの地域の一体感を早期に醸成させ、「人と人、地域と地域が結び合う みんなで創る みちのく理想郷」の実現に向け、まずもって、新市建設計画の確実な実行に全力を傾注する決意であります。
 新市建設計画の早期実現に向けた基本的な考え方といたしましては、合併により現在の財政状況が直ちに好転するものではなく、今まで以上に行財政改革を積極的に進め、財源の確保を図りつつ、優先度の高い事業から順次実施してまいりたいと考えております。

新市建設計画基本目標の具体的な取り組み

 まず、新市建設計画の基本目標の具体的な取り組みについて申し上げます。
 第1に「ふれあいと交流で広がりを感じるまち」を目指して、交通網の整備、情報通信網の整備、交流と連携の推進を図ってまいります。
 第2に「自然と共生し地域の良さを感じるまち」を目指して、自然と共生する環境保全、居住環境の整備に努めてまいります。
 第3に「安心ネットワークで優しさを感じるまち」を目指して、保健、医療、福祉の連携と充実、安全で秩序ある環境の確保に最善の努力をしてまいります。
 第4に、「心豊かな人生と文化の香りを感じるまち」を目指して、生涯学習の充実、文化の振興、スポーツ・レクリエーションの振興を推進してまいります。
 第5に、「地域の賑わいと夢と希望を感じるまち」を目指して、農林水産業の振興、商工業の振興、観光の振興、雇用対策と職業能力開発の充実を図ってまいります。
 これらの施策を実現させるために、こと細かい点にも住民の目線でもって取り組み、全力を傾注してまいる所存であります。
 また、新市建設計画の具体の事業費といたしましては、一般会計ベースでは平成18年度から27年度の10年間で、総額541億3千万円を見込んでおります。
 財源の内訳は、国庫補助金121億8千万円、県支出金15億2千万円、地方債324億1千万円(このうち、合併特例債は約240億円であります)、その他30億2千万円、一般財源50億円となっております。
 新市建設計画におきましては、まず、新市の早期の一体感の確立や均衡ある発展に資する事業を広域枠・共通事業として位置付けし、市道金沢線、市道清水原一関線、県道江刺室根線、市道石堂構井田線、都市計画道路松川駅舘下線、広域農道関係事業等、市域内の交通基盤整備をはじめ、若者等の就労の場となる研究開発工業団地整備事業、テレビ難視聴解消等の情報基盤整備、畜産担い手育成総合整備事業、情報ネットワーク、図書館システム統一事業などを見込んでおります。
 また、各地域における懸案事項や課題に対処する事業を申し上げます。
 一関地域は、給食センター整備事業、市道台町萩荘線等道路整備事業、大型空き店舗利活用事業などを見込んでおります。
 花泉地域は、小学校整備事業、生涯学習施設整備事業、ほ場整備事業等土地改良事業などを見込んでおります。
 大東地域は、アグリピア施設整備等農業施設整備事業、芦東山記念館等社会教育施設整備事業、大原小学校等小中学校整備事業などを見込んでおります。
 千厩地域は、地域再生推進事業、千厩小学校ほか小中学校、保育所整備事業などを見込んでおります。
 東山地域は、文化創造センター整備事業、市道丸木舞川線等道路整備事業、山谷団地公営住宅整備事業などを見込んでおります。
 室根地域は、若原地区ほ場整備等土地改良事業、学校耐震診断事業、市道向山線等道路整備事業などを見込んでおります。
 川崎地域は、門崎駅前開発事業、川崎中学校建設事業などを見込んでおります。
 これらの事業実施に向けて、新市建設計画を基本として総合計画を策定いたしますが、策定にあたりましては、地域協議会の意見を承りながら、また、市民の皆様方にも参画していただきながら策定してまいる所存であります。

課題解決に向けた4つの基本理念

 さて、地方の抱えるさまざまな大きな課題が山積しており、これらの課題解決に向けて、私の基本理念を申し上げます。

 まず、活力ある地域づくりであります。
 活力ある地域づくりのためには、当然のことながら、第1に交流人口の増大を図ってまいらねばと考えます。
 具体的施策として、交流施設等整備事業、新市交流イベント開催事業、国際交流支援事業、情報発信事業、イベント等の連携推進などにより、観光・産業・文化など多様な分野において、東北の交流拠点となるよう広域的な交流と連携を推進してまいります。
 第2に、道州制をにらみながら、さらなる広域的な施策を展開し、将来の地方制度の確立を目指し、総生産力の均衡、社会資本の配置、財政力や観光・物流などの自立性を図ってまいります。
 第3に、特例市の実現を目指し、都市間競争に負けない活力ある地域づくりを目指します。

 次に、夢と希望のある地域づくりであります。
 高齢者が生きがいを感じながら自立した生活を送れるような、安全・安心の暮らしを守る最大限の努力を尽くします。
 また、工場立地の条件整備を進め、優良な企業の立地と技術力の集積を図り、若者の就労の場を創出してまいります。

 次に、確固たる教育立市の実現であります。
 子どもたちの持つ可能性を伸ばしていくため、学力の向上と人間性や社会性を育てる総合的な学習の充実や、国際化・情報化など、新しい時代に即応できる優れた能力と人材を養成する特色ある高等教育を促進してまいります。

 次に、市民主体の住み良い地域づくりであります。
 的確な情報提供を行うため、テレビ難視聴地域解消事業、移動通信用鉄塔整備事業、情報ネットワーク整備事業や開かれた情報公開により、また、地域自治区を中心に、市民の声が市政に反映されるよう、市民主体の協働による住み良い地域づくりを図ってまいります。

 新「一関市」の航行には幾多の困難な課題が待ち受けているものと思われます。
 その課題ひとつひとつを確実に解決しながら、着実に新市の理想に向かって歩みを進めなければなりません。

 重ねて、議員各位、並びに、市民の皆様方の力強いご支援ご協力をお願い申し上げ、私の所信表明といたします。

新市助役に坂本紀夫氏(旧一関市助役)
収入役に佐藤正勝氏(旧一関市収入役)を選任

 浅井市長は、新市の助役に旧一関市助役の坂本紀夫氏(64)(萩荘)、収入役に旧一関市収入役の佐藤正勝氏(61)(末広一丁目)をそれぞれ選任する議案を10月28日の市議会本会議に提出し、同意されました。
 両氏の任期は、平成17年10月28日から21年10月27日までとなります。 

(広報いちのせき 平成17年11月15日号)