世界遺産講座vol.10

世界遺産を目指して 無形の文化を世界遺産へ

 世界遺産条約は、建物や自然などの保護を目的としており、民族芸能などはその対象となっていません。そのため、民俗芸能などの形のないもの(無形遺産)の価値を重んじる国からは、無形遺産に対する国際社会の意識向上とその保護体制の確立が求められていました。
 こうした中、“口承や無形遺産という文化表現形式の重要性を認識し、政府や地方自治体などが協力して継承と発展を図ること”を目的として、平成9年の第29回ユネスコ総会で「人類の口承遺産の傑作の宣言」が採択されました(10年に「人類の口承及び無形遺産の傑作の宣言」に名称変更)。
 その後、拘束力のある条約の成立に向けた動きが進み、“無形遺産の保護活動を通じて世界の文化の多様性を確保すること”を目的として、「無形文化遺産の保護に関する条約(無形文化遺産条約)」が15年に採択され、18年から条約として効力を持つようになりました。
 13年から隔年で発表された“傑作の宣言”は、現在90件ありますが(※1)、これらは、無形文化遺産条約に基づく「人類の無形文化遺産の代表的なリスト」に組み込まれます。

※1 「人類の口承及び無形遺産の傑作の宣言」数

“傑作の宣言”数

左記のうち日本の“傑作の宣言”

13年

19件

1件(能楽)

15年

28件

1件(人形浄瑠璃文楽)

17年

43件

1件(歌舞伎)

合計

90件

3件

  

問い合わせ先
本庁骨寺荘園室

(広報いちのせき平成19年6月15日号)