和算に挑戦

平成17年度出題問題③[上級問題]&解答例

 円形のうちわの中に、大小2つの半円と3個の等円が図のように接しています。
 等円の直径が5cmのとき、うちわの直径を求めてください。
※明治25(1892)年に清水寺(花巻市)に奉納された算額の問題です。

審査員講評

 上級は中学1年生から81歳まで63名の方から72件の応募をいただきました。正解者は36件(50%)でした。結果のみ記載されているものや結果が合っていても途中の導き方に間違いが見られるものは正解とはしませんでした。正答の大多数は、うちわ、小半円、一つの等円のそれぞれの中心からなる三角形が二等辺三角形となることを用いたものでした。座標を導入して手際よく解いている方も数名おりました。また、大半円、小半円、等円のそれぞれの中心を結んでできる三角形に余弦定理を使って導き出している方もおりましたが、その計算力には感服する思いでした。
 賞候補の選定には、できるだけ新人をと考えましたが、結局論理と仕上げの素晴らしい解答をされた方を選びました。
 挑戦者の皆様の熱意と根気に敬意を表します。

 

解答例

【解答例1】三平方の定理と方べきの定理を用いた解


 

【解答例2】三平方の定理を拡張したステュアートの定理を用いて解いたものです。



 

解説

実際に、清水寺に奉納された算額には、次のように書かれています。

(現代訳)
今、団扇(うちわ)の中に大小の半円2個と、等円3個が図のように内接している。等円の直径が与えられている時、団扇の直径はどのようにして求めるか。
答え 左の術のとおり。
術(解き方) 等円径を置き、これを4倍すれば、団扇の直径が得られて、問題に合う。

 この算額の問題の術文には

 4×等円の直径=うちわの直径

 としか書いていないので、どのようにして解いたのか分かりませんが、三平方の定理と方べきの定理を用いて、解答例1のようにして解いたのではないだろうかと考えられます。

 

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