市営バスの車両は3台、路線は15路線。
便数も1路線あたり週2日、2便ずつ運行。
充実したサービスは、乗客数を増やすためだけではありません。
バスを利用したい人のそばへ行くための手段を検討し、選択した結果です。

市営バスの概要

市営バス車両は3台です。
福祉バスを路線バス仕様に改造した27人乗りの車両(排気量4899cc)、高齢者などが乗り降りしやすい27人乗りの低床バス(排気量5123cc)、狭い道路でも運行できる14人乗りのワゴン車(排気量2693cc)が1台ずつ走っています。

運行方法は、定時・定路線運行で、フリー乗降区間も設けられています。

運行路線は、市役所花泉支所を起終点にしていた福祉バス路線(10路線)をベースに、岩手県交通の運行路線と重複しないよう考慮して15路線に再編。
路線ごとに決められた曜日の時間帯に運行しています。

幅員が狭い市道(5路線)はワゴン車を運行。
県交通が運行できなかった交通空白地域を解消するなど、地域のニーズに応えるきめ細やかなサービスで市民の足を確保しています。

便数(回数)は、1路線あたり週2日(平日)、午前と午後の2便です。
料金は1回片道一律200円。
小学生と障害者手帳保持者は半額の100円です。

安全で健全な運行と運営を目指し、運営協議会(仮称)を設けて、運行状況の検証と見直しを継続的に行っていく予定です。

誰もが利用できるバス、市民が元気で楽しい生活を送ることができる公共交通サービスの充実を目指し、市営バスは今日も街を快走します。

ニーズに応えた市営バス

市は市民のニーズを調査しました。
地域懇談会を開いて話し合うなど、市民と市職員が膝を交えて何度も検討を重ねました。

ニーズがあるのに、バス路線になっていない区間がありました。
理由は、「道幅が狭くて、大型車両が通行できない」からでした。

「そこへバスを走らせよう」

最小クラスの小型バスなら通れることから、ワゴン車を購入しました。

花泉のすごさは「乗客が少ない」「経費を抑える」ために安価なワゴン車を導入したのではなく、市民のニーズに応える選択だったことです。

1花泉支所前が市営バス全路線の起終点です 1)花泉支所前が市営バス全路線の起終点です
2)高齢者などが乗り降りしやすい低床バス
3)福祉バスを路線バスに改造したマイクロバス
4)狭い道路も運行できる14人乗りのワゴン車
5)回数券は、花泉支所市民課窓口とバス車内で販売しています
2高齢者などが乗り降りしやすい低床バス 3福祉バスを路線バスに改造したマイクロバス
4狭い道路も運行できる14人乗りのワゴン車 5回数券は、花泉支所市民課窓口とバス車内で販売しています

一関市営バス(花泉)運行路線図

一関市営バス(花泉)運行路線図

地域のニーズに応える市営バス
高齢者は本当に喜んでいます
ずっと、身近なバスであってほしい

岩渕虎雄さん いわぶち・とらお
1941年花泉町生まれ。
09年花泉地域公共交通検討会の委員。
花泉地域の公共交通サービスのあり方を検討。
市営バスの運行を提案。71歳、花泉町永井在住
岩渕虎雄さん

検討委員会では常に「本心」を語ってきました。
交通指導隊や地域交通安全推進員などを務めた経験を生かし、高齢者を交通事故から守るための視点からも公共交通のあり方と必要性を真剣に考えてきました。

公共交通が手軽に利用できるようになると、自家用車を持たなくても、誰の手も借りずに目的地に行ける安心感を得ることができます。
また、経済的負担の軽減にもつながり、生活にゆとりができます。
そんな公共交通サービス「市営バス」の実現に思いをはせながら、仲間と何度も検討してきました。

こうして2012年3月12日、ついに市営バスが運行を開始しました。
高齢者にはとても喜ばれています。
「フリー乗降区間」の設置も特徴。
まさに「戸口から戸口へ」という運行が可能になりました。
市営バスが地域の皆さんに広く利用されるよう、その魅力を宣伝していきたいと思います。

今後は、常に利用者の声に耳を傾けながら、需要の存在や変化を適時に捉えて、運行路線などをさまざまな角度から定期的に検証・検討することが重要です。

市営バス自体が、いつまでも地域のコミュニティーの場であり続けるように、これからも協力していきたいです。
通院や買い物などの用足しだけではなく、「地域探訪」に利用するのも面白いかもしれませんね。

広報いちのせき「I-Style」6月1日号