活力あるまちづくりに558億円

平成20年度の市政がスタートしました。

一般会計予算の総額は558億7949万円で、19年度と比較すると0.8パーセントの減少です。

20年度予算について、そのあらましをお知らせします。

20年度は、地方自治体にとって大きな財源である地方交付税(※1)が、地方再生対策費の創設により5年ぶりの増加が見込まれます。しかし、歳入の多くを地方交付税が占める本市の財政構造には依然変わりがなく、国の動向が大きく影響する、先行きの不透明な財政状況にあります。
このような中、20年度予算は、総合計画基本構想に掲げる市の将来像を実現するため、的確な施策選択を行い、その着実な推進に努めました。一方で、行財政改革により歳入歳出全般にわたる見直しを行い、財政の健全性の確保に努めました。
また、予算編成は、次の五つの重点施策を明確に位置づけて行いました。

  1. 骨寺村荘園遺跡の景観保全および骨寺村荘園遺跡の世界遺産登録を契機とする観光振興
  2. 農畜産物のブランド化の促進
  3. 企業誘致、地域企業への支援による雇用の創出
  4. 安心して子育てができる少子化対策
  5. 豊かな心をはぐくむ「教育立市」の実現
予算編成の基本方針
1.行財政改革の推進

行政改革大綱および集中改革プランを踏まえ、すべての事務事業の見直しを行い、8億6545万円を縮減しました。
▼事務事業の見直し…事務事業および補助金などの整理合理化、民間委託などの推進、公共施設運営の見直しなど
▼定員管理および職員給与の見直し…職員数65人の削減、職員給与の見直しなど
▼経費の節減合理化など財政の健全化…事務費の削減、使用料・手数料の見直し、公有財産の売り払いなど

2. 公債費負担の軽減

将来の住民負担を考慮し、高金利の市債を低利のものに借り換えるなどの軽減対策を図り、後年度の負担額を4億2366万円軽減します。

3.財源の確保

市税などの収納率向上の取り組みを強化して、自主財源の安定確保に努めます。また、全国のコンビニエンスストアで納税ができるようにする取り組みなどを進めていきます。

市の会計と予算総額

【表1 20年度予算の規模】

会計名当初予算額19年度比増減率(%)
一般会計558億7949万円▲0.8
特別会計国民健康保険124億4719万円▲2.9
老人保健11億5250万円▲90.4
後期高齢者医療10億6561万円皆増
介護サービス事業4341万円▲8.1
土地取得事業365万円▲1.6
金沢財産区1041万円▲0.9
土地区画整理事業清算22万円▲52.2
都市施設等管理8789万円1.7
工業団地整備事業1億856万円30.4
市営バス事業1億3634万円0.5
簡易水道事業22億6694万円5.3
下水道事業43億8909万円8.2
農業集落排水事業3億129万円▲1.3
浄化槽事業2億74万円▲13.0
物品調達3549万円▲9.9
水道事業会計31億3054万円44.4
合計812億5936万円▲10.2

本市の予算は、▼市の基本的な事務や事業を行う一般会計▼国民健康保険や下水道事業のように加入者や利用者が負担する特定の収入で経費を賄う15の特別会計▼経費を水道料金による収益で賄う水道事業会計―の三つに区分されます。
一般会計の予算額は、558億7949万円で、19年度当初予算額と比べて4億7826万円(0.8パーセント)の減少となりました。予算額が減少したのは、大東給食センター整備事業や駅東東工業団地線などの道路整備事業の完了などによるものです。
特別会計は、4月から後期高齢者医療制度が始まるため、老人保健特別会計が108億7303万円(90.4パーセント)の大きな減少となり、後期高齢者医療特別会計が新設されました。
一般会計、特別会計、水道事業会計の全会計での予算総額は812億5936万円で、92億6919万円(10.2パーセント)減少しました。

一般会計歳入の内訳

【図1 一般会計歳入】

一般会計歳入

歳入(図1)のうち、自主財源(※2)である市税収入は、19年度と比べて9019万円(0.7パーセント)増加と横ばいの見込みです。
依存財源(※3)は、地方譲与税・交付金が消費の伸び悩みによる地方消費税交付金の減少などで7943万円(2.8パーセント)の減少。地方交付税が地方再生対策費の創設などにより4億9947万円(2.4パーセント)増加する見込みとなります。
しかし、市税や地方交付税などの歳入だけでは財源が不足することから、16億5192万円の基金取り崩しを行い、財源を確保しました。
また、市債は、教育施設や道路建設などの事業費が減少したため、前年度と比べ3億1521万円の減少となりました。

一般会計歳出の内訳

【図2 一般会計歳出】

一般会計歳出

【表2 一般会計歳出を性質により分類した場合】

区分20年度当初予算額(万円)①構成比(%)19年度当初予算額(万円)②増減額①-②(万円)伸び率(%)
義務的経費人件費126億170522.6132億555▲5億8850▲4.5
扶助費60億867110.960億298056910.9
公債費95億295017.198億4879▲3億1929▲3.2
小計282億332650.6290億8414▲8億5088▲2.9
投資的経費普通建設事業費90億116516.192億1381▲2億216▲2.2
災害復旧事業費1億4000.22億1439▲1億1039▲51.5
小計91億156516.394億2820▲3億1255▲3.3
その他の経費物件費54億91899.855億7183▲7994▲1.4
維持補修費7億29491.39億2818▲1億9869▲21.4
補助費等72億895913.062億371010億524916.9
積立金5億56231.040225億16011283.0
投資・出資金53770.15842▲465▲8.0
貸付金7億96051.46億58151億379021.0
繰出金35億63566.443億151▲7億3795▲17.2
予備費50000.1500000.0
小計185億305833.1178億45416億85173.8
合計558億7949100.0563億5775▲4億7826▲0.8

歳出(図2)を目的別(※4)に見ると、民生費が120億2624万円で最も大きな割合を占め、次いで公債費95億2980万円、教育費73億7239万円と続きます。
性質別(表2)(※5)に見ると、総合計画基本計画事業などの実施に充てる投資的経費(※6)は91億1565万円で、19年度と比べて3億1255万円(3.3パーセント)減少しています。
義務的経費(※7)は282億3326万円で、19年度と比べて8億5088万円(2.9パーセント)減少しています。これは、扶助費が乳幼児医療費助成受給者の所得制限の撤廃などで5691万円の増加となったものの、人件費が職員数の削減などで5億8850万円、公債費が高金利市債の繰り上げ償還などで3億1929万円減少したことによるものです。

市債および基金の残高

【表3 市債の残高見込み額(20年2月29日現在の人口12万3806人で算出)】

会計名

19年度末見込み

(万円)

20年度中増減

20年度末見込み

(万円)

市民一人当たり見込み

(円)

起債額

(万円)

償還額

(万円)

一般会計

(630億4704)

790億6842

(47億2340)

61億1219

(72億2684)

80億9673

(605億4360)

770億8388

(48万9020)

62万2618

特別会計国民健康保険8億58974038397億74906259
介護サービス1億7683-7201億69631370
土地取得事業2272-3241948157
工業団地整備事業1億5527-1億1145413437
市営バス事業1億5493-3921億51011220
簡易水道事業116億28349億37905億4118120億25069万7128
下水道事業215億265917億287015億52217億547717万5717
農業集落排水事業35億1273- 1億484633億64272万7174
浄化槽事業4億235483204815億1934054
水道事業会計90億14909億588012億464587億27257万491
合計

(1104億6878)

1264億9016

(84億3940)

98億2819

(108億2215)

116億9204

(1080億8603)

1246億2631

(87万3027)

100万6626

※( )は、元利償還金の全額が地方交付税として交付される臨時財政対策債、減税補てん債などを除く、公共事業に充てた市債の額

市の借入金である市債の20年度末の残高(表3)は、公共事業のために借り入れたものが一般会計で605億4360万円、特別会計と水道事業会計を含んだ全会計の合計では1080億8603万円となる見込みです。一般会計分は減少しますが、特別会計分は下水道や簡易水道事業の整備に伴って増加しています。これらを市民一人当たりにすると、一般会計では約49万円、全会計では約87万円となります。
また、市の貯金ともいえる基金の主なものの20年度末の残高は、財政調整基金が28億7651万円、市債管理基金が24億4604万円となる見込みです。この二つの基金の合計を市民一人当たりにすると、約4万円となります。

本年度も、市民の皆さんからお預かりした大切な税金を効果的、効率的に活用するとともに、財政運営の健全化に努めます。

【図3 市民一人当たりで見た一般会計の予算】

負担いただく市税…一人当たり9万8156円

  • 固定資産税…4万8323円
  • 市民税…4万2309円
  • たばこ税…5136円
  • 軽自動車税…2063円
  • 入湯税…295円
  • 鉱産税…30円

使われる金額…一人当たり45万1347円

  • 民生費…9万7138円
  • 公債費…7万6974円
  • 教育費…5万9548円
  • 総務費…5万2831円
  • 衛生費…4万7326円
  • 土木費…4万5386円
  • 農林水産業費…3万4161円
  • 消防費…1万9450円
  • 商工費…1万3666円
  • その他…4867円

■用語の解説■
※1地方交付税…全国市町村の行政サービスが一定水準になるように、国から配分されるお金
※2自主財源…市税や使用料など、市が自主的に収入することができる財源
※3依存財源…地方交付税、国・県支出金など、国や県から交付される財源や市債など
※4目的別経費…経費を経済的性質を基準として分類したもの
※5性質別経費…:経費を行政目的を基準として分類したもの
※6義務的経費…人件費(職員の給与、議員報酬など)、扶助費(社会保障制度の一環として、生活困窮者、児童、老人、心身障害者などを援助する経費)、公債費(市の借金(市債)などの償還金)を合計したもので、その支出が義務づけられ、任意に削減できない経費
※7投資的経費…道路、公園、学校、公営住宅の建設など、社会資本の整備に要する経費

平成20年度は、このような事業にお金を使います。

五つのまちづくり目標別に、主な事業を紹介

地域資源を生み育て賑わいと活力あふれるまちづくり

事務事業名予算額(万円)内容
1. 骨寺村荘園遺跡の景観保全および世界遺産登録を契機とする観光振興
骨寺村荘園遺跡世界遺産関連事業(新規)9469ガイダンスハウス・休憩所・駐車場の整備、臨時案内所の設置、遺跡のPRなど、常設展示場の設置、世界遺産登録記念特別展の開催
観光地間二次交通整備事業補助金(新規)725主要観光地を結ぶ二次交通整備のため、運行事業を支援
訪日外国人旅行者ガイド事業(新規)208訪日外国人旅行者のガイドのため、案内機能の充実
携帯版ホームページ制作事務(新規)172携帯電話向けの市ホームページを作成
2.農畜産物のブランド化の促進
農業担い手チャレンジ事業(新規)625集落営農組織や認定農業者などの育成を図るため、農業者の意欲的な取り組みを支援
骨寺村荘園地区特産品開発対策事業(新規)300世界遺産登録を契機とした地域農家経営の改善のため、地域資源を生かした特産農産物、加工品などの開発を推進
一関のめぐみブランド化推進事業(新規)177農畜産物のブランド化推進のため、農協・生産者団体が実施する販売促進活動を支援
野菜花き生産振興事業補助金1263地域特性を生かした高収益野菜・花きの生産振興
畜産担い手育成対策事業1億2950 粗飼料生産基盤の整備を行い、飼料自給率の向上と地域農業基盤を強化
3.企業誘致、地域企業への支援による雇用の創出
地域企業経営強化支援事業費補助金(新規)1500雇用の拡大などを図るため、設備投資を行おうとする市内企業を支援
人材確保・定住促進事業(新規)50若手技術者の地域定着を図るため、情報交換などの交流会を推進
次世代ものづくり人材育成事業(新規)14地域企業の人材育成を図るため、若年社会人のスキルアップ、相互交流を推進
企業立地促進補助金1億2164雇用の拡大などを図るため、工場などの新設や増設を行おうとする企業を支援

みんなで支え合い共に創る安全・安心のまちづくり

事務事業名予算額(万円)内容
4.安心して子育てができる少子化対策
乳幼児医療給付事業1億3941就学前の乳幼児の医療費の自己負担分を全額助成
妊婦健康診査事業4100妊婦健康診査を公費負担により5回実施
障害児保育専門員の配置1108心身障害児の養育充実のため、障害児保育専門員(3人増員)を配置
病後児保育事業(新規)592子育てと就労が両立できるように病後の保育を実施
こんにちは赤ちゃん事業222 生後4カ月までの乳児の家庭を訪問し、子育てを支援
【保健・福祉】
高齢者火災警報器購入助成事業(新規)750市内に住所のある75歳以上の一人暮らし高齢者世帯などに対し、火災警報器の購入設置経費の一部を補助
特定検診・特定保健指導事業(新規)6258生活習慣病の予防対策を重視し、住民の健康づくりを推進
障害者自立支援特別対策事業3625通所施設が行う送迎サービスへの補助による利用者負担軽減、事業所に対する収入補償補助など
花泉総合福祉センター大規模改修事業1億6850耐震補強工事のほか、全面的な改修を実施
奥玉保育園改築事業1億3000 老朽化した奥玉保育園を改築
【消防・防災等】
非常備消防施設整備事業1億1270消防コミュニティセンター、屯所などの建設、防火水槽整備、小型動力ポンプ・積載車購入

人を育み文化を創造する生きがいのあるまちづくり

事務事業名予算額(万円)内容
5.豊かな心をはぐくむ「教育立市」の実現
外国語指導助手配置事業3727中学校での英語教育、小学校での国際理解教育を充実
特別支援教育推進事業2026特別支援教育の充実を図るため、特別支援コーディネーター・学校サポーターを配置し、特別な教育的支援を必要とする幼児・児童・生徒に対し支援
学びの支援員配置事業(新規)739児童の学力向上のため小学校に学びの支援員を配置し、きめ細かな学習指導や家庭学習の指導、支援を実施
ことばの力を育てる研究事業(新規)602ことば(言語)の力の向上を中心とした「確かな学力」を育成するため、小学校の推進校3校で実践研究に取り組み、その成果を市内に広く普及
ことばを大切にする事業(新規)54 ことばの地元学講座を実施
統合大原小学校建設事業3億410522年4月開校予定の大原小と内野小の統合小学校整備
東山中学校屋内運動場改築事業3億88東山中の屋内運動場改築工事
山目小学校屋内運動場改築事業3億730山目小の屋内運動場改築工事
校舎等耐震補強事業3億5262市内の小中学校施設の耐震補強工事および実施設計など
文化創造施設整備事業3億525222年度東山町内に開館予定の地域交流センター(文化センター、公民館、図書館機能の併設施設)施設整備
川崎中学校整備事業8923川崎中整備に伴うグラウンド整備

人と情報が活発に行き交うふれあいと連携のまちづくり

事務事業名予算額(万円)内容
【地域おこし等】
地域振興基金積立金(新規)5億市民参画、市民主体のまちづくりを推進するための事業の財源とする基金を造成
移動通信用鉄塔施設整備事業(新規)1億携帯電話利用不可地域に鉄塔などを整備し、携帯電話事業者などへ貸し出すことで情報格差の是正を推進
地域おこし事業1億4400地域や市民が主体的に取り組む、人材おこしや産業おこしの活動を支援
一ノ関駅及び周辺地域整備調査事業(新規)1000磐井川堤防改修に伴う公共施設の再配置を検討するに当たり、一ノ関駅および周辺地域の機能充実を中心とした整備を調査、検討
【道路網の整備等】
道路整備事業7億9596市道の新設改良(51路線)、舗装新設(30路線)
道路・橋りょう維持補修事業4億404道路側溝の修繕、橋の耐震補強など(192路線)
各地域を結ぶネットワーク網の整備6億3700流通団地金沢線・清水原一関線、大原渋民線、石堂構井田線、寺田下流通団地線などの幹線道路を整備
駅東前堀線道路改良事業2億5000一ノ関駅東口へのアクセス向上を図る街路を整備

水と緑を守り育み自然と共生するまちづくり
事務事業名予算額(万円)内容
【環境施策等】
地球温暖化対策事業(新規)158講演会の開催などにより地球温暖化対策の必要性を周知
ポイ捨てのないきれいなまちづくり事業(新規)32「一関市ポイ捨てのないきれいなまちづくり条例」の周知と、環境美化意識の啓発
協働でつくるきれいなまちづくり推進事業(新規)39市民団体などが実施する公共施設の美化活動を支援
簡易水道整備事業12億1785厳美・萩荘、大原、磐清水・奥玉・小梨、川崎簡易水道などの配水管や浄配水施設を整備
下水道整備事業17億1225 一関、花泉、大原・摺沢、千厩、東山、川崎の各処理区の汚水管や処理施設を整備
浄化槽設置整備事業2億185合併処理浄化槽設置に対する補助や市設置型による浄化槽整備を実施


(広報いちのせき平成20年4月15日号)