なまりも声のかすれも「個性」 聴く人の顔を思い浮かべ 記事を選んで録音します

加藤加代子さん

視覚障害者に地域の情報を届ける「声の新聞」代表
加藤加代子さん
主婦業の傍ら「声の新聞」の朗読を続けて24年。

ピアノ、旅、水泳などボランティア以外の趣味も生き生きとこなす。

萩荘。64歳

   

ごろ、27年間にわたる活動を振り返る記念誌を発行した「声の新聞」。現会員、元会員14人が、視覚障害者のために地元新聞の記事をテープに録音し、提供してきた思い出をつづりました。代表の加藤加代子さんは活動を始めて24年。「一人での録音作業は、孤独だけれど自分の時間を好きに使ってできるのがいいところ。発声、なまりなど朗読の技術に自信はないのですが、何でも『個性』ととらえて、頑張り過ぎないことが長続きの秘訣」と振り返ります。 

「何の記事を選ぶかも担当者の個性」と加藤さん。新聞1週間分を1時間のテープにまとめます。「A面はニュース、B面には健康欄、投稿欄、慶弔欄などニュース以外から。例えば、忘年会シーズンには飲み屋さんの広告を読むことで季節感を出します」と語ります。 
読テープを利用する視覚障害者の皆さんのグループ旅行に同行したことも。「旅を心から楽しむとともに、料理、縫い物、音楽など、多彩な趣味に生き生きと取り組む姿に驚き、そして学びました」。録音時には利用者を思い浮かべ、体調に気を付けて明るい口調を心がけます。
「新しい仲間がほしい」と加藤さん。「20~30代の若い人たちや退職した男性など、ボランティアに興味のある人たちはいるはず。時間に縛られない朗読は気軽なボランティア」と語りました。

(広報いちのせき平成20年11月15日号)