市民と手を携え活力に満ちた一関市の創造を

施政方針を述べる浅井市長

浅井市長は、2月24日開会した第21回市議会定例会本会議で、平成21年度の施政方針演説を行いました。今回は、その全文をお知らせします。

中長期的な視点に立ち「選択と集中」を基本に市政を運営

一ノ関駅および駅周辺の利便性を高め中心市街地活性化を目指します

第21回市議会定例会の開会にあたり、平成21年度の施政の方針を申し上げます。
私は、市長に就任以来、地域の特性や魅力をまちづくりに生かすとともに、一体感の醸成を図りながら、市政の推進に全力で取り組んでまいりました。
今後におきましても、市民の積極的な参画をいただきながら、協働のまちづくりをさらに推進し、共に手を携えながら、活力に満ちた一関市の創造に向け全力を傾注してまいります。

地震災害の復旧・復興に全力

昨年は、当市西部を震源地とする岩手・宮城内陸地震が発生し、甚大な被害を被ったところでありますが、国・県および関係機関・団体、さらには、市民各位の迅速で的確な対応によりまして、復旧・復興が順調に進められてまいりました。また、全国の皆様からは、義援金や心温まる励ましなど、物心両面において多大な支援をいただいたことに対し、改めて衷心よりお礼を申し上げます。
被災された方々も、徐々に落ち着きを取り戻してきておりますが、いまだ避難生活を余儀なくされている方々もおられますことから、一日も早く元の生活に戻れるよう支援をしてまいります。
また、河川や治山、幹線道路などの完全復旧に向け、関係機関と連携しながら全力を傾注してまいります。
市政を取り巻く環境は、地方分権の推進、少子高齢化の進行、人口の減少など、大きな転換の中にあります。
このような状況にあって、米国発の金融危機がもたらした世界経済の失速は、日本経済にも大きな打撃を与え、雇用の縮小が社会問題となり、当市においても雇用の維持と離職者等への支援・対策が急務となっております。
このため、国の経済対策に併せ、早急に対策を講じるとともに、後年度に予定していた事業、約23億9千万円を前倒しするなど、地域経済の活性化、雇用の創出に全力で取り組んでまいります。
市の財政は依然厳しい状況にありますが、中長期的な視点に立ち「選択と集中」を基本として、21年度の重点施策を明確に位置付け、さらなる飛躍に向け、強い決意を持って市政運営に臨んでまいります。

重点施策を中心に展開

重点施策といたしまして、国直轄事業として磐井川堤防の改修事業が進められますが、この堤防改修をまちづくりの好機ととらえ、一ノ関駅周辺に公共的施設を集約化するとともに、懸案でありました東西自由通路を整備するなど、一ノ関駅および駅周辺の利便性、効率性を高め、中心市街地の活性化にも資してまいります。
骨寺村荘園遺跡を含む平泉の世界遺産登録については、平成23年度の登録に向けて、関係機関と連携しながら全力で取り組んでまいります。
産業の振興でありますが、基幹産業の一つである農業については、当市が誇る農畜産物の生産振興とブランド化を推進してまいります。
工業については、企業誘致や地域企業への支援により、雇用の確保に努めてまいります。
また、観光については、観光資源等を活用した観光戦略を推進し、交流人口の増加を図り、この地域の発展につなげてまいります。
特に、真湯・祭畤地区については、恵まれた自然や温泉を生かした、保養・研修の場として整備をするため、基本構想の策定に取り組んでまいります。
子育て支援・少子化対策については、安心して子育てができる環境を整備するとともに、次代を担う子どもたちが「確かな学力と豊かな心」を身につけ、社会の変化に主体的に対応できる「生きる力」をはぐくむことなど、教育立市の実現に努めてまいります。
防災対策については、消防緊急通信指令施設などの整備を推進し、市民の生命と財産の保護に努めてまいります。
また、地域イントラネット基盤施設整備により、市全域に敷設した光ファイバーを有効に活用した、地域間における情報格差の是正と、テレビのデジタル放送開始へ向けた対策を講じてまいります。
次に施策の主なものを、総合計画基本構想のまちづくり目標に沿って申し上げます。

1 地域資源を生み育て賑わいと活力あふれるまちづくり

第1に「地域資源を生み育て賑わいと活力あふれるまちづくり」の施策について申し上げます。

農畜産物のブランド化促進

新たに統一ブランドとなった「いわて南牛」

農業については、豊かな自然環境と地域特性を活かし、農畜産物のブランド化や安全・安心で質の高い農畜産物の生産拡大を推進するとともに、農業を担う人材と組織の育成に努めてまいります。
特に、農畜産物のブランド化については、東北一の生産量を目指す、ナス、トマト、小菊、干しシイタケの生産振興を図るとともに、いわて南牛については、市場から評価される供給体制を整備するなど、信頼される産地を目指してまいります。さらに、関係機関・団体と連携しながら、販売・宣伝活動を強化してまいります。
担い手対策については、一関市担い手育成総合支援協議会が中心となり、経営感覚に優れた農業者の育成や集落営農の組織化を図ってまいります。
また、集落営農・農地保全については、中山間地域等直接支払制度や農地・水・環境保全向上対策の交付金を活用した取り組みを支援してまいります。
水田農業については、特別栽培米などの安全・安心で売れる米づくりを進めるとともに、転作作物では、特に、飼料自給率の向上に向け、飼料米や良質な粗飼料の生産拡大を促進することにより、一関地方水田農業ビジョンの実現を目指してまいります。
園芸・特産作物については、一定の生産量が確保され、市場流通性の高い作物は系統出荷を進めてまいります。また、産地直売所や学校給食に供給するなど、地産地消を推進してまいります。
畜産については、畜舎や草地造成等、経営基盤の整備や優良素牛の導入による品質の向上、公共牧場の効果的な活用促進などにより、経営体質の強い畜産農家の育成に努めてまいります。
農業生産基盤の整備については、効率的な農業や地域ぐるみ農業の実現に向け、新たに日形地区のほ場整備に着手するとともに、浦ノ沢地区の排水対策を実施してまいります。
農業用施設の保全については、ため池等整備事業や農業水利施設保全対策事業により、適切な補修や更新を行い、施設の機能確保と長寿命化を図ってまいります。
林業については、市有林や民有林の除・間伐を進め、森林の健全な管理を進めるとともに、CO2(二酸化炭素)の削減や水源のかん養など、森林の持つ公益的機能の維持増進を図ってまいります。

企業誘致推進・雇用安定確保

製造業の若手社員育成のために行われた合宿研修春・秋に行われている花泉互市

工業については、岩手県南技術研究センターや一関工業高等専門学校などの関係機関と連携を図りながら、ものづくり人材の育成を推進するとともに、地元に若手技術者が定着するよう支援をしてまいります。
また、地域企業間の連携の促進や事業拡大に向けた支援を行い、一層の雇用創出に努めてまいります。
一関東第二工業団地については、岩手県および岩手県土地開発公社と連携を図りながら、本年12月の一部分譲開始を目指し、その整備促進に努めてまいります。
また、分譲開始に合わせ、首都圏で開催される企業誘致フェア等に参加するなど、積極的に企業誘致を推進してまいります。
さらに、多様な企業ニーズに対応するため、新たな工業団地の整備構想および基本計画を策定してまいります。
雇用対策については、地域における雇用機会の創出を目的として創設された、「ふるさと雇用再生特別基金事業」「緊急雇用創出事業」を活用し、雇用機会の創出、確保に努めるとともに、千厩支所内に(仮称)地域職業相談室の設置やジョブカフェへの相談員の増員など、就業支援、雇用相談等の取り組みを拡充し、雇用の安定確保に努めてまいります。
また、職業訓練施設を活用し、求職者の就職を支援するための職業訓練事業等を実施してまいります。
商業については、一関商工会議所や地元商店会と連携し、ど市、互市、夜市などの各種イベントを通じた商業振興を図るほか、意欲ある商業者の育成と商店街を構成する個々の店舗の魅力向上を図るため、成功店モデル創出・波及事業を実施してまいります。
さらに、急激な景気後退に伴う中小企業者への支援を図るため、中小企業振興資金の融資枠を拡大するとともに、新たに経営安定資金を設置するなど、融資制度の充実を図ってまいります。
観光については、一関市観光振興計画に基づく、「一関の観光振興のための重点計画(アクションプラン)」を策定するなど、2年後の平泉文化遺産の世界遺産登録を見据え、当市の多彩な観光資源を広く発信してまいります。
特に、観光客の満足度向上に向けたモニター調査の実施と併せ、JR一ノ関駅構内の観光案内や主要な観光地間を結ぶ二次交通の充実を図るなど、観光客の受け入れ態勢の整備充実に努めてまいります。
また、祭りや自然、歴史、伝統文化など、当市の魅力を広く宣伝し観光客を誘致するとともに、伊達な広域観光推進協議会に参画し、連泊滞在型・体験型観光の実現に向けた取り組みを進めてまいります。
物産については、関係団体と連携しながら、豊島区、品川区および姉妹都市三春町、友好都市吉川市、気仙沼市などでの物産と観光展等を通じて、地場産品の普及・宣伝と販路拡大に努めてまいります。

2 みんなで支え合い共に創る安全・安心のまちづくり

第2に「みんなで支え合い共に創る安全・安心のまちづくり」の施策について申し上げます。
市民の健康づくりについては、健康いちのせき21計画および食育推進計画の周知啓発に努めながら、市民の自主的な健康づくりや健全な食生活のあり方について、意識の高揚を図ってまいります。
健康診査については、基本健康診査を実施するとともに、各種がん検診を実施し、疾病の早期発見早期治療に努めてまいります。

子育ての環境づくりを推進

子育て中の親子が交流するおやこ広場

妊婦健診については、公費負担回数を14回に拡充し、安心して子どもを出産できる環境の整備を図ってまいります。
子育て支援については、新たに保育園や幼稚園に通う第3子以降の保育料を無料にするとともに、就学前の乳幼児の医療費無料化を実施し、子育てにかかる経済的負担の軽減を図ってまいります。
さらに、乳幼児をもつ親が気軽に交流できる、おやこ広場事業の充実を図るほか、新たに子育てサロン開設事業を実施し、子育てに関する悩みや不安などを話し合う場を提供してまいります。
また、生後4カ月までの乳児のいる、すべての家庭を訪問し、育児等に関するさまざまな相談などに対応するとともに、放課後児童クラブの新たな設置への支援や小児成人救急医療対策事業、特定不妊治療を受けている夫婦への支援など、安心して子育てができる環境の整備に努めてまいります。
国民健康保険事業については、健全な運営のため、国保税率の見直しを図るとともに、税収の確保に努めてまいります。また、生活習慣病の予防対策として、メタボリックシンドロームに着目した特定健康診査や特定保健指導を実施し、被保険者の健康増進に努めてまいります。
さらに、国民健康保険被保険者証をカード化し、被保険者の利便性の向上を図ってまいります。
高齢者福祉については、高齢者が地域で自立した生活ができるよう、地域包括支援センターと連携して介護予防事業を展開するなど、高齢者の健康保持と生きがいづくりに努めてまいります。
また、高齢者が要介護状態となった場合でも、住み慣れた地域で生活ができるよう、小規模多機能型居宅介護事業所や認知症高齢者グループホームの利用など、地域密着型サービスの推進に努めるとともに、在宅寝たきり高齢者家族介護手当を増額し、在宅で介護する方々への支援についても拡充を図ってまいります。
障害者福祉については、障害福祉サービス利用に係る自己負担の新たな軽減措置などを実施するとともに、特別対策事業の活用も図りながら、障害者の自立支援に努めてまいります。
また、障害児保育専門員の増員や心身障害児を対象とした養育の充実に努めるとともに、軽度の発達障害のある児童を対象に、機能の向上を目的とした教室を開催してまいります。

安心・安全な地域社会の構築

水防訓練に参加する自主防災組織

交通安全・防犯については、安全安心まちづくり市民大会を開催するとともに、防犯灯設置費の支援や電気料を補助するなど、交通安全および防犯の意識高揚を図り、安全で住みよい地域社会の構築に努めてまいります。
消防防災については、昨年6月の岩手・宮城内陸地震を踏まえ、また、近い将来、高い確率で宮城県沖地震の発生が予想されることから、大規模災害に備えて自主防災組織の育成強化を促進し、市民の自助・共助の防災意識の高揚を図ってまいります。さらに、市民防災フォーラムの開催など、市民と一体となって安全・安心の地域づくりを推進し、消防・防災力の向上に努めてまいります。
消防救急体制については、市民の生命・財産を守り、災害対応の迅速化を図るため、消防緊急通信指令施設の整備、一関東消防署庁舎建築の実施設計、消防ポンプ自動車、高度救命用資機材の更新や消防コミュニティセンター等の建設、防火水槽など消防施設の整備を推進してまいります。
北上川上流改修一関遊水地事業については、磐井川堤防改修の早期着工、遊水地の小堤の早期完成の促進について要望してまいります。
併せて、一関遊水地下流部の狭あい地区の治水対策についても促進を要望してまいります。
岩手・宮城内陸地震により被災した公共土木施設等については、引き続き、早期の復旧に努めてまいります。

3 人を育み文化を創造する生きがいのあるまちづくり

第3に「人を育み文化を創造する生きがいのあるまちづくり」の施策について申し上げます。
教育は、人づくりそのものであります。地域、学校、家庭が連携し、次代を担う子どもたちのために、確かな学力の向上はもちろん、豊かな人間性をはぐくみ、自立した人格の形成に力を注いでまいります。
また、市民誰もが、生涯を通して学ぶことのできる環境づくりを推進してまいります。

教育立市実現に向け展開

22年春の開校に向け建設中の統合大原小校舎

私は、まちづくりの理念の一つに「教育立市」を掲げておりますが、その実現に向け、学校教育はもちろん、生涯学習の充実や文化振興、スポーツ・レクリエーションの振興など、諸施策の展開に努めてまいります。
学校教育については、「確かな学力の向上」「豊かな心の育成」「ことばを大切にする子どもたちの育成」などを中心に取り組んでまいります。
学校教育施設については、統合大原小学校の校舎建設と屋内運動場の整備、川崎中学校の校舎・屋内運動場の実施設計をはじめ、室根東小学校、室根西小学校の設置等、学校の適正規模化や施設の安全確保など、教育環境の向上に努めてまいります。
私立高等学校への就学支援については、私立高等学校生徒学費補助金を新設し、保護者等の負担の軽減を図ってまいります。
自動体外式除細動器(AED)については、小学校と市立幼稚園、保育園に設置するとともに、私立幼稚園、保育園が設置する場合に、その費用の一部を補助してまいります。
スポーツ振興については、平成23年度全国高等学校総合体育大会「体操競技」の会場地となることから、組織体制の確立等に向けた取り組みを進めてまいります。 
また、スポーツ施設の予約システムの普及に努め、市民の利便性の向上を図ってまいります。
骨寺村荘園遺跡については、平成23年度の世界遺産登録を目指し、文化庁、県および関係市町と連携しながら、取り組みを進めてまいります。
また、来訪者との交流やガイドの拠点とするため、空き家を整備するとともに、案内表示等の整備を進め、利便性の向上を図ってまいります。さらに、骨寺村荘園遺跡を含む、平泉の文化遺産を広く理解するための講演会等を実施しながら、意識の啓発にも努めてまいります。
なお、教育行政の具体については、教育委員長より申し上げます。

4 人と情報が活発に行き交うふれあいと連携のまちづくり

第4に「人と情報が活発に行き交うふれあいと連携のまちづくり」の施策について申し上げます。
国・県道の幹線交通網の整備については、国道284号真滝バイパスと清田地区、国道342号花泉バイパスと厳美バイパス、国道343号大原バイパス、主要地方道一関大東線生出・流矢地区および主要地方道一関北上線の整備促進に努めてまいります。
また、国道4号一関大橋以南の四車線化、国道284号室根バイパスの早期着工ほか、国道342号の国道4号から金沢地区に至る区間の路線変更について要望してまいります。

交通ネットワーク網の整備

地域と地域を結ぶ市道の整備を進めます(写真は流通団地金沢線)

さらに、一関・気仙沼間を結ぶ地域高規格道路の建設や近隣生活圏との交通ネットワーク整備のため(仮称)栗原北上線の県道昇格についても、関係市町と一体となって要望してまいります。
市道の整備については、国・県道整備との整合を図り、流通団地金沢線・清水原一関線、大原渋民線および石堂構井田線を整備するなど、地域と地域を結ぶネットワーク網の拡充を図るとともに、一関東第二工業団地の分譲に合わせ寺田下流通団地線の整備についても進めてまいります。
さらには、新たな工業団地の整備構想に関連する(仮称)滝平一ノ沢線、千厩アイスアリーナから広域農道にアクセスする(仮称)駒場広域連絡線の調査を実施するとともに、地域の生活道路についても整備を進めてまいります。
街路の整備については、一ノ関駅東口へのアクセス向上を図るため、駅東前堀線の整備を進めてまいります。
また、中央町地区の街路整備を進め、安全で快適なまちづくりや市街地における交通渋滞の解消に努めてまいります。

情報通信基盤の整備を推進

一ノ関駅周辺整備については、磐井川堤防改修計画と整合を図りながら、市民との協働により基本計画を策定してまいります。
公共交通については、川崎弥栄地区は新たに市営バス方式、長坂猿沢地区、舞川地区についてはデマンド方式により運行を行いながら、各地域の実情に合った乗り合い交通の形態を検討してまいります。
テレビの難視聴対策については、放送事業者に中継局の整備を要望するとともに、光ファイバーの有効活用を検討するなど、デジタル放送化に向け対応してまいります。
また、情報格差の是正については、光ファイバーの民間開放を積極的に推進し、携帯電話のエリア拡大などに努めてまいります。

5 水と緑を守り育み自然と共生するまちづくり

第5に「水と緑を守育み自然と共生するまちづくり」の施策について申し上げます。

市民の環境保全意識の啓発

清流化を願って行われた千厩川へのサケ稚魚の放流

環境保全については、河川の水質の把握に努めるほか、自然観察会、スターウオッチングなどの環境教育活動を展開するとともに、市民の環境保全意識の啓発に努め、市民、事業者、行政の協働による循環型社会の構築に向けた取り組みを推進してまいります。
地球温暖化対策については、一関地球温暖化対策地域協議会と連携し、環境学習会の開催、広報の発行など、排出CO削減の必要性などの意識啓発に努め、取り組みを推進してまいります。
また、省エネルギーの推進と、環境負荷の少ない新エネルギーの導入を進めるためのビジョンを、今後2カ年度で策定してまいります。
ごみの減量化、資源化については、ごみ問題対策巡視員との連携による分別収集の推進、生ごみの減量機器等購入への助成、自治会、PTAなどによる有価物回収活動を支援し、資源の有効活用の意識啓発を図ってまいります。
また、不法投棄対策については、新たに監視カメラを導入するなど、抑止に努めてまいります。
景観については、景観計画に基づき、市民意識の啓発に取り組むとともに、良好な景観の形成に努めてまいります。
個人住宅の耐震化促進については、木造住宅耐震診断事業と耐震改修助成事業を実施し、市民の住環境の安全確保に資してまいります。

上下水道施設の整備を推進

簡易水道事業については、厳美・萩荘、真滝・弥栄、舞川、磐清水・奥玉・小梨および田河津の事業を推進し、水道未普及地域の解消に努めてまいります。
また、大原、摺沢、興田・猿沢、田河津および川崎の各簡易水道事業においては、膜ろ過設備による浄水場の整備や配水池等の築造、老朽配水管の更新を行ってまいります。
水道事業については、千厩地域への新たな供給のため浄水場を建設するとともに、老朽配水管の更新など、施設整備を計画的に行い、安全な水の安定供給に努めてまいります。
また、上下水道料金収納システムを統一し、本庁、支所のいずれにおいても料金納付や各種手続きが行えるよう、利便性の向上を図ってまいります。
汚水処理対策については、磐井川流域関連一関公共下水道事業、千厩、東山地域単独公共下水道事業、花泉、大東、川崎地域特定環境保全公共下水道事業による管路整備を推進するとともに、千厩汚水処理施設の整備を進めてまいります。
また、供用開始区域内の未接続世帯の水洗化を促進するとともに、農業集落排水施設の適切な維持管理や浄化槽の設置助成などを行い、公共用水域の水質改善を図り快適な生活環境の推進に努めてまいります。

主役は市民―協働により活力あるまちづくりを推進

協働について理解を深めようと市民と市職員が参加して行われたワークショップ

以上、分野別施策の主なものを申し上げましたが、「市政は市民のために」をモットーとして、市民の視点に立ち、活力あるまちづくりを推進してまいります。 
市民との協働については、協働の指針となるアクションプランの策定に取り組み、それぞれの役割と責任を担いながら、協働のまちづくりを進めてまいります。
また、市民が主役のまちづくりを推進するうえで、市民と行政が情報を共有することは、基本であり最も重要なことであります。新たに広報モニター制度を設け、より親しまれる広報紙、ホームページづくりに努め、適時的確な情報を提供してまいります。
広域行政については、一関地区広域行政組合や両磐地区広域市町村圏協議会などを通じて、生活圏、文化圏、経済圏などを共にしている平泉町、藤沢町と連携しながら、両磐地域の振興に取り組んでまいります。
また、岩手県後期高齢者医療広域連合との連携を密にしながら、後期高齢者医療制度の円滑な実施に努めてまいります。
行財政運営については、財政を取り巻く環境が一層厳しさを増す中、行政改革大綱・集中改革プランを着実に実行し、歳入・歳出全般にわたる徹底した見直しを行い、限られた財源の中で、当面する課題や将来にわたる多様な市民ニーズに的確に対応できる財政基盤の確立に努めてまいります。
また、合併前の旧7市町村で異なっていた、公共施設の使用料の統一により、受益者負担の適正化を図ってまいります。
現下の、わが国の経済・雇用情勢は、未曽有の世界同時不況により深刻な影響を受けており、これに対応した迅速な行動が求められているところであります。
当市におきましては、国の緊急経済対策にあわせ、事業の大規模な前倒しを行い、平成20年度、21年度予算を通じた経済対策を実施してまいります。
その取り組みといたしましては、幹線市道の改良や舗装、側溝などの道路整備、小中学校・保育園などの公共施設整備、中小企業振興資金の融資枠および奨学金貸し付け対象者数の拡大、テレビデジタル化放送に伴う小中学校のテレビ受信装置の整備などを実施し、市民生活に密着した社会基盤の整備、公共施設の耐久性の向上、中小企業資金の円滑化等を重点的に実施し、地域経済の活性化と雇用の創出を図ってまいります。
今、まさに試練の時であります。
しかし、逆境を次なる飛躍の好機ととらえ、すべての英知を結集し、岩手県南・宮城県北の中核都市として、さらなる未来発展に向け全力を傾注し、市民の負託に応えてまいります。
市議会議員各位ならびに市民皆様の、ご理解とご支援を心よりお願い申し上げます。

(広報いちのせき 平成21年3月15日号)