奥玉振興協議会

岩手の熊野古道をPRし歴史ロマンと健康の郷に

昨年夏に刈り払いをして整備した古道を100人が歩きました

落ち葉に覆われた参道を一歩一歩踏みしめると、早春の風が心地よく感じるほどポカポカと温まった体。まだ肌寒い山道を歩く人々からは、にぎやかな談笑の声が響く―3月22日、奥玉振興協議会(菅原一郎会長)などが主催したイベントで、約100人のトレッキング参加者が歩いたのは、千厩町の奥玉側から室根山の八合目に位置する室根神社まで続く参詣道。室根山への登山道4ルートのうち、平安時代後期の奥州藤原氏が栄えた時代には表参道と称された、約1.5キロの古道です。
奥玉振興協議会は、20年度の地域おこし事業を活用し「室根山麓・歴史とロマン・健康の郷づくり事業」を実施。近年、健康志向からアウトドア愛好者がトレッキングに注目するなど、古道への関心が高まっています。同会は、奥玉愛林公益会と大平自治会の3団体で連携・協力しながら、古道周辺の環境整備を行うとともに健康づくりにも視点を向け、歴史ロマンと健康の郷として地域の魅力を高めようと事業に取り組んできました。
昨年の7月と10月には、のべ約100人が参加して古道沿いの草刈りや枝払い、風倒木除去を行ったほか、地域にある史跡などへの案内板・標識・説明標柱の設置、古道を紹介するパンフレットの作成を実施しました。
718年、元正天皇の勅命を受けた鎮守府将軍大野東人が、当時の東北地方蝦夷征伐の祈願所として紀伊山地の霊場である熊野大社から分霊した室根神社。坂上田村麻呂や源義経も参詣したと伝えられています。室根神社に至る「岩手の熊野古道」も、かつて義経もこの道を歩いたかもしれない――と、およそ1300年にわたる歴史ロマンに思いを巡らせながら歩くのも楽しみ方の一つです。
 同協議会の菅原一郎会長は「歴史散策をしながらトレッキングを楽しんでもらい、地域おこしと健康づくりにつなげたい。
地元をはじめ、多くの人たちにも岩手の熊野古道をPRし、史跡や言い伝えなども後世に継承していきたい」と話していました。
21年度も継続して古道の草刈りや周辺整備、トレッキングコースの設定などに取り組むほか、「室根山歴史の古道まつり」を開催する予定。「さらにPRしていきたい」と意欲を見せています。

(広報いちのせき 平成21年5月1日号)