市税の滞納額は約18億8千万円

市民の皆さんに負担していただく税金は、市民サービスを提供する上で必要不可欠な大切な財源です。
しかし、滞納があると、きちんと納付した人との間に不公平が生じ、また、市民サービスの提供が困難になるなど、大きな影響を及ぼします。
平成20年度決算における市税滞納額は約18億8千万円。
今回は、大きな課題となっている「滞納」についてお知らせします。

市税は貴重な自主財源

市が行う仕事に必要な経費は、皆さんが直接市に納付する市税と、皆さんが一度国や県に納付した税金で、市の事業や財政の状況に応じて配分される地方交付税や国・県支出金、そのほか長期にわたって借りる市債などによって賄われています。
このうち市税による収入は、一般会計歳入の約2割を占める市にとって最も大切な自主財源で、さまざまな行政サービスに姿を変え、皆さんの暮らしに役立てられています。

市税滞納の現況

税金は、市民の皆さんに公平に負担していただくものです。
このため、市では適正課税に努めるとともに、課税された税金が納期内に完納されなかった場合には、法令に従い督促状を発送し、さらに納税催告を行うなど早期の納税を呼び掛けています。
しかし、不況の影響などから完納に至らないケースが多く、過年度からの滞納繰り越し分が約14億円、20年度に新たに滞納となった現年課税分が約4億円で合わせて約18億円が滞納となっています(表1)。
このうち、滞納繰り越し分は長引く不況の影響から累積してきたものが多く、専門的な整理が必要となっています。また、現年課税分については税源移譲などの税制改正の影響から、これまで以上に収納強化に取り組むことが重要となっています。
市は滞納繰り越し分の解消に引き続き努めるとともに、現年課税分については納期内完納を強く呼び掛けていきます。

表1 市税滞納額の推移

区分18年度19年度20年度
課税額(現年課税分)146億762万円156億5118万円148億5760万円
滞納額現年課税分5億739万円5億668万円4億3841万円
滞納繰り越し分13億6236万円14億2159万円14億4528万円
滞納額計18億6975万円19億2827万円18億8369万円
収納率(現年課税分)96.51パーセント96.73パーセント97.06パーセント

※数値は、一般会計市税(市民税、固定資産税、軽自動車税など)と国民健康保険税の合計
※「滞納繰り越し分」…課税した年度内に収納できず次の年度に繰り越されたもの

滞納解消への取り組み

差し押さえた自動車を走行不能にするタイヤロック

納期内に納付されなかった税金には督促状を発送し、さらに電話や文書などで納税を催告しています。それでも完納されない場合には、法令に従い滞納処分(財産調査、差し押さえ・公売など)を行うこととなっています。
差し押さえ財産は預貯金や給与、生命保険や国税還付金などがあり、18年度から20年度の3年間で2173件の差し押さえを行い、約9400万円が滞納市税に充当されています(表2)。
差し押さえ件数は年々増加しており、その対象財産も拡大している状況にあります。
20年度からはインターネットを使って差し押さえ財産の公売を行っており、今後も税の公平性の確保のため、法令に従い滞納処分を進めていきます。

表2 財産差し押さえの状況

差し押さえ件数(件)差し押さえして、滞納市税に充当した金額※2
18年度19年度20年度
動産112万7000円
預貯金39951803141566万1181円
生命保険など511161473142076万4545円
給与など6344585474万8388円
公的年金12381万7800円
国税還付金30135054111924554万1786円
県税還付金588080218282万1865円
不動産など3121530179万9550円
自動車など220円
出資金など167104万円
その他債権※1347127万7414円
459691102321739449万9529円

※1 その他債権…不動産賃貸料や売掛金など

※2 差し押さえして、滞納市税に充当した金額…18年度~20年度の合計

収納体制の強化

滞納事案の中には他債権との競合など複雑化した事案があり、専門的な対応が必要となっています。このため市は18年度、岩手県地方税特別滞納整理機構に加入し共同で滞納整理に当たるとともに、今年度からは本庁収納課に滞納対策係を新設するなど、収納体制を強化しています。
岩手県地方税特別滞納整理機構や滞納対策係への移管

どのような場合に移管(引き継ぎ)するのか?

市税の収納は、本庁収納課・支所市民課でそれぞれの地域ごとに行っていますが、▽催告に応じない▽滞納があっても何の相談も連絡もない▽滞納額が高額―などの場合には岩手県地方税特別滞納整理機構や滞納対策係に移管し、滞納整理を進めることとしています。

どのような滞納処分を行うのか?

機構や滞納対策係では、移管された事案について滞納者の財産を強制的に調査・捜索し、差し押さえや公売などの滞納処分を進めます。
調査対象財産は、動産・不動産などのほか各種の債権まで多岐にわたっています。
※岩手県地方税特別滞納整理機構…県と県内34市町村が共同して滞納整理を行う専門組織

早めに納税相談を

税金を滞納した場合、未納分は一括で納付することが原則です。また、督促手数料や延滞金(年利14.6パーセント)が加算されます。
ただし、特別な事情があると認められる場合には、分割して納付することもできます。
失業や病気、災害などで納税が困難な人は、本庁収納課または各支所市民課に早めに相談してください。

納税は便利な口座振り替えで

市税などの納付には、口座から自動的に納付できる安心、便利な口座振り替えをお勧めします。
市内の銀行、信用金庫、農協、労働金庫、郵便局の窓口でいつでも受け付けており、手続きは簡単です。
なお、相続などにより納税義務者が変更になった場合などは、新たに口座振り替え手続きが必要ですのでご注意ください。
※今年度からはコンビニエンスストアでも納税ができるようになりましたので、ご利用ください。

納税貯蓄組合への加入を

納税貯蓄組合は、自主納税の推進を図るため、納税資金の貯蓄のあっせん、納付金銭の取りまとめなどを行い、個人や法人が一定の地域などを単位に任意に組織している団体です。
お住まいの地域の納税貯蓄組合長に加入届を提出し加入することができます。
詳しくは、お住まいの地域の納税貯蓄組合または本庁収納課・各支所市民課にお問い合わせください。

税だけではない「滞納」

市民サービスの提供に必要な財源は、税のほかに、施設の利用者や個別の事業(サービス)の受益者などが負担する使用料や負担金などがあります。
例えば、保育所・幼稚園の保育料や市営住宅の家賃、奨学金の返済金、上下水道料金、介護保険料や学校の給食費などです。
これらは、その事業(サービス)の利用者や受益者が費用を負担することで成り立っており、滞納があると、サービスの提供が困難になるばかりでなく、きちんと納付した人のお金で不足分を補うことになるなど、税と同様に大きな課題となっています。
いずれも滞納に対しては、督促状の送付や電話連絡・訪問催告などのほか、連帯保証人の設定や納付誓約書の提出を求めるなど滞納の解消に努めています。
納付に関する相談は、それぞれの事業(サービス)担当課で行っていますので、納付が困難な場合はお早めにご相談ください。  

お問い合わせ先
本庁収納課収納係、滞納対策係

(広報いちのせき 平成21年9月15日号)