復興への期待2 工事関係者に聞く

機械を操作するのは人間 マンパワーの充実を
宇部建設㈱常務取締役稲辺弘さん(55)
岩手・宮城内陸地震の際、岩手県建設業協会一関支部(宇部貞宏支部長、会員32社)は市と締結した「災害時における応急対策等の活動に関する協定」に基づき自主パトロールを行って被災状況を調査。
中でも緊急対応が必要とされた市野々原地内の磐井川土砂ダムの仮排水路工事で、独自の現地踏査を行い24時間体制で工事を進め、二次災害を防ぐ大きな力となりました。
同支部の会員企業を取りまとめて現場対応にあたった宇部建設㈱常務取締役の稲辺弘さんに、当時の状況と今後の災害への備えについて聞きました。
―地震災害の復旧工事に携わり、これまでの工事現場と異なった点は何でしたか。
皆さんそうだったでしょうが、「大変なことが起きた」と思いました。
災害時の応急対策協定に基づきパトロールを行い、数ある現場の中でも最優先で行わなければならないのは磐井川の土砂ダム対策だ、と現場からの意見を上げました。
作業は建設業協会の会員企業32社が連携して実施。
これまで、多くの人を束ねる工事現場の経験はありましたが、一つの会社内のことですし、通常は準備に数カ月をかけるものです。
それを、最初の準備期間がわずか1日程度で、多くの会社にまたがる100人以上もの人が短期間でまとまって作業できるものなのか、不安でした。
ところが、多くの関係者の「やらなければ」という使命感からか、思ったよりもすんなりと連携して仕事を進めることができました。
一関は水害が多いので、災害時の緊急出動には各社とも慣れていることが役立ったと思います。
一人のけが人もなく作業を終えることができたのが何よりでした。この成果に誇りを持っています。
―宮城県沖地震など、将来起こるかもしれない災害への対応に向けて、今回の経験を踏まえての課題はありますか。
今回の災害現場には、国土交通省が配備している最先端の機械が投入されました。
危険な現場用の無線で遠隔操作する重機や、高性能の排水ポンプなどです。
しかし、機械を操作するのは人間。
現場のわれわれは初めて見る機械の操作に苦労し、性能を100パーセント生かしきれなかったという課題が残りました。
そこで、平常時に、行政が持っているこれらの機械操作を訓練することが大切だと感じています。
地道な訓練を継続することで、災害時にその力を発揮できるはずです。
現在、建設業界が置かれている状況は決して楽ではありません。
しかし、建設業は地域に必要な仕事。さまざまな経験のある作業員や現場監督など、マンパワーは地域の資源であることを市民の皆さんにもわかっていただければと考えます。
24時間体制で進められた市野々原地内の磐井川砂ダム仮排水路工事(写真提供:宇部建設)

イベント情報

【国道342号再開通】
国道342号「真湯・須川間」が5月30日、正午に開通します。
これに合わせて、地元の太鼓団体が勇壮な演奏で皆さんをお迎えするほか、ご当地ヒーロー「ゲイビマン」が先着300人に記念品をプレゼントします。
【路線バス運行の再開】
国道の通行止めにより運休していた岩手県交通須川温泉線は、5月30日から再開します。
◎問い合わせ先…岩手県交通一関営業所電話0191-23-4250
【「よかったね!厳美街道」産直市】
第1回産直市
■日時…5月30日(日)9時~16時
■場所…道の駅厳美渓
■内容…▽厳美産直協議会による新鮮野菜販売▽県警音楽隊による演奏(14時30分~15時)▽食の匠による郷土料理の試食―など
2.スタンプラリー 
厳美産直協議会の産直や飲食店、温泉など17店舗をめぐるスタンプラリーを5月30日から11月7日まで行います。
第1弾は6月30日までに応募した人から抽選で42人に農産物などをプレゼント。
◎問い合わせ先…本庁農政課電話0191-21-8427

(広報いちのせき 平成22年5月15日号)