災害への備え 日頃からの備え

2年前に発生した岩手・宮城内陸地震

大規模な自然災害への対応についてわたしたちに多くの教訓を残しました。
7月4日は、大雨災害を想定した水防訓練が、7月24日、25日には避難所での生活を体験するサバイバルキャンプがそれぞれ行われ、災害への備えの必要性を改めて確認しました。

本番さながらの訓練

出水期に備えた水防訓練は7月4日、狐禅寺地内の一関遊水地周囲堤で行われました。

この訓練は、戦後間もない昭和22年、23年に本市を襲ったカスリン、アイオン台風の被害を教訓に水防技術の向上を図るため行われているもの。

当日は、市、県、国、自主防災組織などから約460人が参加しました。

訓練は、台風の接近による雨で磐井川と北上川が増水し、堤防に亀裂が入るなどの被害が出たとの想定で行われました。

水防隊員らは、堤防の崩壊などを防ぐ「Tマット工法」、堤防の亀裂などを防ぐ「五徳縫い工法」、川からあふれる水を防ぐ「積み土のう工法」などを実施。

確認や指示のための大声が飛び交う本番さながらの雰囲気の中、それぞれの工法の手順を確認していました。
自主防災組織の会員で積み土のう工法に参加した機織山の塩原良雄さん(73)は「自主防災組織を立ち上げてから、何かできることをしなければと思って参加しました。当時の大水害も知っています。日ごろの備えをしなければ」と語っていました。

役割分担しながら体験

避難所生活体験(サバイバルキャンプ)は、7月24日と25日に東山町松川の東山農村勤労福祉センターで催されました。

災害による避難所生活を体験し、必要な知識や備えを身につけてもらおうと消防本部が主催したもの。
一関市、平泉町、藤沢町から自主防災組織の会員や婦人協力隊、少年消防クラブの会員、消防本部職員ら約80人が参加。

宮城県沖地震に備え、地震災害で建物の倒壊やライフラインが寸断されたことから住民が避難所に避難したとの想定でいろいろな体験をしました。
参加者らは、4班に分かれて生活を開始。

ダンボールを敷き詰め、仮眠場所と食卓を設営することや屋外での非常食を使った夕食の準備などさまざまな体験を役割分担しながら行い、災害への日ごろからの備えについて学んでいました。
会場となった松川地区の区長で今回の生活体験の会長役となった松川字野平の石崎泰男さん(63)は「初めて参加しました。平成14年の台風6号の災害では、実際にこの辺りもライフラインが全く駄目になり、大変な思いをしました。自主防災組織を中心に、高い確率といわれている地震に備えたい」と気を引き締めていました。

いろいろな工法を確認した水防訓練

1.自主防災組織の皆さんも参加した「積み土のう工法」2.堤防の亀裂などを防ぐ「五徳縫い工法」3.整列した水防隊員4.訓練を真剣に見つめる水防隊員5.「くい打ち積み土のう工法」で敷き詰めた砂を踏みしめ、固める作業

災害を想定した避難所生活体験

1.まずは、参加者で仮眠場所の設営2.非常食のクラッカーの缶のふたを開ける小学生3.婦人消防協力隊のみなさんもみそ汁作りで生活体験をバックアップ

地域防災の最前線を担う

一関市消防本部防災安全対策監 及川 実さん

Q1 地震災害から2年が経ちましたが、当時を振り返っての感想を

発生から時間が経つにつれ被害が拡大し、地震の脅威を改めて感じました。

また、早期に市の災害対策本部を設置し、関係機関と連携してその日のうちに孤立した215人を救出することができました。

初動体制がいかに大切かを痛感しました。

Q2 この2年間、消防本部で地震災害を教訓として特に力をいれてきたことはありますか

自主防災組織の結成促進、市民への各種研修会や避難所生活体験など実務型訓練を開催し、防災の普及・促進に努めています。

Q3 水防訓練や避難所生活体験などに参加されている皆さんからは「日ごろの備えが大切」というご意見もいただきましたが

消防、防災に携わる者として大変心強く思います。

普段から消防・防災セミナーや地域の訓練などに積極的に参加し、地域防災力を高めていただきたいと思います。

Q4 高い確率で発生が予想されている宮城県沖地震などへの対応で大切なことは何でしょうか

広範な被害が予想されますので、早急な公助を望むことはできないと思います。

日ごろから皆さん一人一人が「自分の命は自分で守る」という自助意識、「自分たちの地域は自分たちで守る」という共助意識を持ち行動することが大切です。

(広報いちのせき 平成22年8月15日号)