館蔵品

地球図ちきゅうず

地球図

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 司馬江漢作
 銅版 手彩色
 寛政4年(1792)刊


 司馬江漢(1747年江戸生まれ、1818年没)は江戸時代後期の洋風画家で、日本における銅版画の創始者として著名です。
 この「地球図」は、江漢の著書である『地球全図略説』の対応図として制作されたもので、日本最初の銅版世界図として有名です。初版は寛政4年(1792)に刊行されました。
 銅版画には、銅版に直接彫刻する「彫刻銅版画(エングレービング)」と腐食液で凹凸を出す「腐食銅版画(エッチング)」とがありますが、江漢が苦心の末に創製したのは腐食銅版画(エッチング)でした。
 江漢の銅版画創製には、一関出身の蘭学者大槻玄沢が深く関わっていました。まず、どのような方法で制作したらよいのか、その技術は西洋の方法を学ばなければならず、それにはオランダ語の本を読まなければなりませんでした。江漢は『ボイス学芸辞典』や『ショメール百科事典』を玄沢に訳してもらい、腐食銅版画(エッチング)の制作に成功したのでした。
 また、この「地球図」の原図も、天明7年(1787)頃に玄沢がオランダ人医師ストッツェルから入手した、コヴァンとモルチエ共編のフランス語版世界図であったとされています。
 この歴史に残る銅版画は、江戸時代後期の芸術家や蘭学者の飽くなき情熱や知的追究心そして協働により生まれたものでした。

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