館蔵品

英和対訳袖珍辞書えいわたいやくしゅうちんじしょ

英和対訳袖珍辞書
英和対訳袖珍辞書 中扉 英和対訳袖珍辞書 初頁
中扉 初頁
画像をクリックすると拡大表示します。
 堀達之助編
 縦18.3cm 横16.1cm
 文久2年(1862)刊


英和対訳袖珍辞書はH.Picardの『A New Pocket Dictionary of the English-Dutch and Dutch-English Languages 』(英蘭蘭英辞典)1857年版を底本として、蘭語部分を当時の蘭和辞書である『ドゥーフ ハルマ』『訳鍵』『和蘭字彙』などによって訳語を当てて公刊された本邦初の英和辞典です。江戸幕府の洋書調所による編纂事業として取り組まれ、堀達之助、西周、千村五郎、竹原勇四郎、箕作麟祥らが中心となって作り上げました。刊行は文久2年(1862)、わずか200部のみが発行されました。
 蘭学から新しい英学への転換が図られていたこの時代、その記念碑的位置にこの辞書はあり、史的意義も多大なものがあります。当時の人気について、後にわが国初の本格的国語辞書『言海』を完成させた大槻文彦は「初は1冊の価2両程なりしに、英学の勃興するに随いて需要極めて多くなりて、後には1冊の転売、10両乃至20両にもおよべり」と回想していて当時からその人気の高さを伺い知ることができます。
 現在どれほどの数が残されているか研究者によって調査されていますが、もともと発行部数が少ないこともあり20部足らずとみられ、極めて貴重な文献となっています。

このエントリーをはてなブックマークに追加