「算聖」とたたえられる和算の始祖 関孝和画像

没後300年を迎えた関孝和画像 東京の数学道場から千葉家を経て、一関の石川家に伝えられたもの (現在は博物館蔵)

和算の流派「関流」の祖、「算聖」とたたえられた関孝和の肖像です。
現在私たちが使っている数学は、明治の始めごろに伝来した西洋の数学が基になっています。それ以前は、中国の数学を基盤として日本で独自に発達した数学があり、これを西洋の数学「洋算」に対し「和算」と呼びます。漢字と仮名とで縦書きで書く数学です。
関孝和は、寛永19(1642)年ごろに生まれたと推定され、今からちょうど300年前の宝永5(1708)年10月24日に没しています。甲府藩(現山梨県)の勘定吟味役を勤め、後に幕府直属となり江戸で活躍しました。方程式や円周率など、天文学や暦学にまで及ぶ広い分野にわたり研究し、数々の業績を残しています。ヨーロッパのライプニッツが発見した「行列式」や、ベルヌーイが発見した「ベルヌーイの数」も彼らより早い時期に発見しています。
また、中国から伝来した計算道具の算と算盤を元に、記号を使い紙に書いて計算する筆算の方法(傍書法)を考案しています。これにより、和算の幅広い展開が可能となったので、狭い意味での和算はこの人に始まるとされ、「和算の始祖」とも賞されます。
関流は、全国に広まった和算の一大流派でした。特に一関周辺では、千葉胤秀を中心に盛んとなり、明治以後も長く続けられています。
この画像は、東京の数学道場から千葉家を経て、門弟である一関の石川家に伝えられ、博物館に寄贈されたものです。没後300年の今年、目にする機会も多いかと思います。

一関市博物館案内

テーマ展300年記念 関孝和と和算の世界

今年は世界に誇る偉大な数学者関孝和没後300年に当たります。一関は関孝和の肖像が市内に所蔵されていたように、関流和算が盛んだった地です。関孝和が数学史上に果たした功績と、一関の和算家の関孝和に対する思いを紹介します。
■会期…4月26日(土)~6月8日(日)

関連行事

 シンポジウム「関孝和と日本の数学(仮題)」

■日時…5月31日(土)13時30分~16時

■内容…佐藤健一和算研究所理事長の講演、岩手県和算研究会会員による報告

グラス・ペインティングに挑戦

板ガラスの裏側から絵を描いて、色鮮やかなガラス絵を制作します。
■日時…5月3日(土)・4日(日)9時~12時・13時~16時

■定員…各回15人

■対象…小学3年~一般(付き添いのみの入場はできません)

■参加料…1人200円

算法新書を読む

一関の和算家・千葉胤秀の著書『算法新書』を解読し、和算の魅力を楽しみます。3月まで原則月1回開講します(全11回)。
■初回…4月5日(土)10時~11時30分

■定員…一般36人

(広報いちのせき平成20年4月1日号)