親子で魅了された日本百景の渓谷 「また来るよ」の言葉を励みに操船や歌を精進する日々

佐藤純一さん
命名100年を迎えた猊鼻渓で船頭を務めている
佐藤純一さん

他の職業を経験後、22年4月から猊鼻渓の船頭見習い。

7月から船頭。

大東町曽慶。31歳

「まだ新米ですから、マニュアル通りにしかしゃべれません」と前置きしながらも、その場のお客さんの顔を見て質問に答え、軽妙なやりとりを交わす佐藤純一さん。

4月から猊鼻渓舟下りの船頭見習いとなり、7月にデビューした、新人船頭です。

父・清文さんも現役船頭を務める、初の「親子船頭」。

高校卒業時、清文さんに船頭をやってみないかと勧められたものの、「親と違うことをしたい」と別の仕事に就いた純一さん。

ガソリンスタンド勤務、コンビニ店長と、ずっと接客業に携わってきました。

十年以上がたち、父に再び勧められた船頭の道に「人と接するのが好きな自分に向いている」と飛び込みました。 

砂鉄川が石灰岩を浸食してできた約2キロメートルの渓谷、猊鼻渓。

国の名勝で日本百景にも選ばれています。

35人から75人もの人を乗せた船を、長さ5メートルのさお1本で操る一方で、お客さんをトークで笑わせ、げいび追分の歌声で酔わせるエンターテイナーであることも求められる、船頭という仕事。

キャリア17年の父に、下船する乗客から大きな拍手が送られているの聞くと、「すごいと素直に思える」と純一さん。

「お客さんの拍手と、また来るよという言葉が励み」と語る純一さん。

四季折々の渓谷の魅力を伝え、また足を運んでほしいと、24人の先輩の技を見ながら、操船に、歌に、磨きをかけます。

(広報いちのせき 平成22年10月15日号)