新しい時代を切り拓き豊かな心を育むまちづくり

教育施策概要を述べる鈴木教育委員長

鈴木功教育委員長が2月22日、第31回市議会定例会で述べた教育行政施策の概要をお知らせします。

今日の社会の現状は、少子高齢化による人口構造の急激な変化や高度情報化、経済のグローバル化の進展、厳しい雇用情勢など、社会経済環境が大きく変化してきております。

このような中、教育の分野においては、一人ひとりが将来の夢や目標を抱き、時代の変化に主体的に対応できる確かな力を育む教育の構築とともに、子どもから高齢者にいたるまで、それぞれのライフステージに応じたさまざまな施策が求められております。

当市の教育振興につきましては、こうした社会の変化等を踏まえながら、一関市教育振興基本計画に基本目標として掲げる「新しい時代を切り拓き豊かな心を育む学びのまちづくり」の具現化に向け、生涯学習、学校教育、社会教育、文化芸術、生涯スポーツの各般にわたる教育行政施策に取り組んでまいります。
以下、その具体について申し上げます。

(1)人生を豊かにする生涯学習の推進

一関に住み暮らす誰もが、生きがいを持ち、心豊かで、健やかな生活が送れるよう、生涯にわたって学ぶことができる環境づくりが大切と認識しております。

このため、家庭教育・学校教育・社会教育のそれぞれの領域で、連携を深め生涯学習を推進してまいります。

特にも、次代を担う子どもたちが、それぞれ直面するであろうさまざまな課題に柔軟にかつたくましく対応し、社会人、職業人として自立していくことができるようキャリア教育の充実に努めてまいります。

さらに、読書は、ことばを学び、感性を磨き、表現力を高め、人生をより深く生きる力を身に付けていく上で欠くことができないものでありますことから、読書の大切さについて家庭、地域社会の共通理解を図ってまいります。

(2)新しい時代に生きる力を育む学校教育の推進

学校教育につきましては、確かな学力と豊かな心を育てる教育を基本にし、ことばを大切にする教育とキャリア教育を重点に進めてまいります。

確かな学力の育成につきましては、児童生徒の学力実態把握に努め、指導主事および学習指導専門員による全小中学校に対する学力向上のための指導・支援の充実を図ってまいります。
中でも、学力向上は生活・学習習慣の形成によるところが大きいことから、家庭と連携した学校の取り組みを支援してまいります。
また、2小学校1中学校での学校研究公開や、全小学校へのALT派遣による小学校外国語活動など新教育課程を踏まえた授業の充実に努めてまいります。

豊かな心の育成につきましては、平成21年度からの不登校数減少傾向を維持し、学校不適応状況に一層きめ細かに対応するため、教育相談員による相談事業をはじめとして、適応支援相談員、訪問型相談員等の配置をすすめ、「タンポポ広場」において学習・相談活動を支援してまいります。
また、幼児期からの就学指導をはじめ、学校適応に向けて効果的に働きかけるため、特別支援コーディネーター、学校サポーターを増員し特別支援教育の一層の充実に努めてまいります。

ことばを大切にする教育につきましては、ことばの研究推進校3校、研究協力校6校の指定と併せ、児童が集う「ことばサミット」開催などを通して、ことばを大切にする運動を、全小中学校に広げてまいります。
また、学校・家庭の連携による読書活動を展開するとともに、読書普及員を増員配置し学校図書館を温かな学びの場としながら、学校図書の充実や全小中学校図書館と市立図書館との相互利用などを通じて、さらなる読書環境の充実に努めてまいります。

キャリア教育につきましては、市内全中学校の2年生を対象とした原則5日間の社会体験学習を実施し、その成果をフォーラムで確認し地域社会に広めてまいります。
そして新たに、科学技術への啓発とキャリア教育のため、市内中学生60人を最先端科学施設が集まるつくば市へ派遣する中学生科学体験研修事業に取り組みます。

学校給食につきましては、安全安心な給食の供給を心がけながら、地場産食材の利用に意を配した運営に努めるとともに、授業等での食育指導や食育担当者研修などを実施しながら市内全小中学校での食育推進を支援してまいります。

(仮称)千厩学校給食センターにつきましては、平成24年4月から千厩地域、室根地域、藤沢町の9小学校、3中学校への供給開始を目指し、建設工事に取り組んでまいります。

また、藤沢町との合併に向けて、交流授業等を通して地域の相互理解と交流につなげるとともに、「いま地域の学校がおもしろい冊子」等を活用し、地域理解にとどまらず地域の教育力を一層活用する教育活動を推進してまいります。

義務教育施設環境の整備につきましては、平成25年4月の開校を目指して(仮称)大東小学校の建設に着手するとともに、昨年に引き続き川崎中学校校舎の建設に加え、屋内運動場の改築を進めてまいります。

学校施設の耐震補強工事につきましては、山目小学校校舎の耐震補強と大規模改修工事、東山中学校校舎の一部改築、一部改修工事をそれぞれ本年度から3カ年計画で進めるとともに、千厩小学校校舎、長坂小学校屋内運動場、興田中学校校舎、猿沢中学校屋内運動場の耐震改修工事と併せ、昨年度から行っている木造校舎の耐震改修についても計画的に進めてまいります。

また、磐清水小学校校舎の耐震改修実施設計、舞川幼稚園、真滝幼稚園の耐震診断、室根中学校のトイレ改修工事、厳美小学校の大規模改修実施設計に取り組んでまいります。

学校規模の適正化については、急速な少子化が進む中、よりよい教育環境の確保を図るため、市民理解を得る取り組みを引き続き進めてまいります。

堤防で美しく咲くサクラ

 

(3)共に学びあう社会教育の推進

社会教育事業につきましては、市民一人ひとりが生きがいのある充実した生活が送られるよう、生涯にわたる多様な学習機会の提供や学習活動の促進に努めてまいります。
また、家庭教育事業としては、すべての教育の原点と捉え、子どもたちに正しい生活習慣を身に付けさせ、心身ともに調和のとれた人間に成長できるよう、家庭教育の支援に努めてまいります。
さらに、ことばを大切にする事業として、公民館でのことばの地元学講座の開催や図書館でのことばをテーマにした企画展などを実施してまいります。

図書館施設につきましては、一関図書館の開設準備を進めるとともに学校図書館との連携も踏まえ、図書館サービス網の構築を進めるため、新図書館の開設準備室を設置してまいります。

平成24年度建設着手に向け一関図書館および花泉図書館の実施設計を進めるとともに、一関図書館振興計画や図書館整備を念頭に置いた図書資料の計画的な充実に努めてまいります。

公民館施設につきましては、金沢公民館トイレ改修工事、千厩公民館の屋根防水工事や田河津公民館のエアコン設置工事など各公民館施設の施設環境の充実に努めてまいります。

(4)多様で個性ある文化の創造

文化芸術の振興につきましては、芸術文化協会など関係団体との連携を図り、市民の多様で活発な文化芸術活動を促進してまいります。
郷土芸能の伝承保存につきましては、保存団体の活動を支援するとともに、地域で継承していくための環境づくりを促進してまいります。

骨寺村荘園遺跡の世界遺産追加登録に向け、専門家の助言や地元の方々のご協力をいただきながら、昨年度に引き続き「陸奥国骨寺村絵図」に描かれる骨寺堂跡の所在確認調査を実施するとともに、不動窟と伝ミタケ堂跡の確認調査を実施します。

市内に所在する指定文化財については、文化財の保存活動を行う団体に対し支援を図ってまいります。

博物館につきましては、平泉の文化遺産が6月のユネスコ世界遺産委員会で審議されることから、密接に関連する骨寺村荘園遺跡について、これまでの調査・研究の成果をまとめたテーマ展を開催します。

平成23年は「言海」発刊120年に当たることから、企画展「ことばの海」を開催し、また当市ゆかりの洋画家 森本仁平氏 の生誕100年にあたることから、森本作品の魅力を紹介するテーマ展を実施してまいります。

芦東山記念館では、特別展「芦東山ゆかりの地を巡る」を開催、石と賢治のミュージアムでは、国の登録有形文化財建造物である旧東北砕石工場保存のための改修設計を実施してまいります。

(5)地域に根ざした生涯スポーツの推進

生涯スポーツにつきましては、各関係団体と連携を図り、スポーツ教室やスポーツレクリェーションの各種事業を実施し、市民の健康づくりの促進に努めてまいります。

また、子供たちに夢を持つことや仲間と協力することの大切さを学ぶ機会として「夢の教室」を引き続き開催するとともに、学生等のスポーツ合宿の招致などによる競技スポーツの推進に努めてまいります。

さらには、本年8月に当市で開催される平成23年度全国高等学校総合体育大会体操競技の円滑な運営に努めてまいります。

社会体育施設につきましては、一関市体育協会と連携を図りながら、スポーツ施設の適切な維持管理に努めるとともに、磐井川堤防改修事業に伴う一関水泳プールの移転につきましては、総合体育館の機能との相乗効果を図るため、移転予定地を総合体育館西側市有地とし、平成24年度からの供用開始を目指して整備を進めてまいります。

青葉テニスコートにつきましても、施設の集約化を図るため、移転予定地を一関運動公園テニスコート隣接地とし、平成25年度からの供用開始を目指し、本年度は造成工事を進めてまいります。

また、花泉運動公園野球場の内野舗装補修工事や大東体育館トイレ改修工事など施設の整備を行い、競技環境の向上に努めるとともに、利用者の利便性を図ってまいります。

以上、新年度の教育行政施策の概要を申し上げましたが、関係団体等との連携を図りながら、生涯にわたる市民の学習活動を促進し、「新しい時代を切り拓き豊かな心を育む学びのまちづくり」に尽力してまいる所存でありますので、皆さま方のご理解、ご支援、ご指導を心からお願い申し上げます。

 

(広報いちのせき 平成23年3月15日号)