「古いものが好きなだけ」独特の音と形に魅せられ 納屋で眠っていた発動機を再生

発動機の愛好家菅原耕起さん

約30年前から発動機の収集を開始。
一昨年から昨年まで市内で3回行われた「みちのく発動機まつり」実行委員長を務める。
77歳。
滝沢字芦沢

昨年秋、市農業祭と同時に行われた「みちのく発動機まつり」。
「ドッドッドッドッ」と独特の音を響かせる発動機が約100台集まり、来場者の関心を引いていました。
大正時代から戦後にかけて、脱穀やもみすりなど、農業に広く使われた発動機。
小型で使いやすいガソリンエンジンの普及により使われなくなりましたが、その音と姿は今もなお多くの人を魅了します。
 実行委員長を務めた菅原耕起さんもその一人。
子どもの頃、手作業で脱穀をする傍らで近所の家で使っている発動機を見て「うちにもあれば」と思っていました。
林業機械を扱う会社に勤めていた時、各戸を訪ね歩いて目に入ったのが、使われず納屋の片隅で眠る発動機。
音と形に魅せられて約30
年前から集め始め、一時は150台以上にもなりました。
現在は状態のいい10台を手元に置きます。
 ずっと一人で楽しんでいた菅原さんが仲間と交流するようになったのは、ここ8年。
宮城県登米市の愛好家が代表を務めるみちのく発動機愛好会に入会し、宮城県などで行われるイベントに自慢の発動機と参加するようになりました。
「仲間では最年長。最近は大型バイクを経由して発動機に興味を持つ若い人もいる」と交流を楽しみます。
 発動機以外にも、木製の脱穀機やむしろ編みなど、昔の農具を多数収集。
25年前から北欧製のまきストーブを使い続ける生活と共通するのは、好きなことに手間を惜しまないこと。
「古いものが好きなだけ」と傍らで煙を吐く発動機に目を細めます。

 
(広報いちのせき 平成23年3月15日号)