日常の生活に欠かすことのできないテレビ。
そのテレビ放送がアナログ波からデジタル波に切り替わることになっています。
今号では、市におけるデジタル放送移行へのこれまでの取り組みと市内の受信状況などを紹介します。

地デジ完全移行に向けて

本年7月24日に予定されていた地上デジタル放送への完全移行は、東日本大震災による中継局などの被災により当面延期されることになりました(時期は未定)。
しかし、期間が延長されたとはいえ、市内にはまだ地形上の理由などから「難視聴エリア」となっている地域が数多くあり、今後も引き続き、取り組みが必要となっています。

 

総務省は、当市の地上デジタル放送難視聴地域を、およそ150地域、2000世帯として公表しています。
ただし、一関市地デジ支援センターが実態調査を行ったところ、その中ですでに地上デジタル放送を視聴している世帯や受信可能な地域もあり、難視聴は、1300世帯程度となっています。
これらの世帯では、ギャップフィラーや高性能アンテナなどの設置により解消できる見込みです。

これまでの取り組み

中継局の存続
中継局をデジタル化対応に

一関市は、県内でも広大な面積を有するため、他市に比べてアナログ中継局が多く存在しましたが、地上デジタル化に伴って、放送事業者では、改修に多額の経費がかかることから、小規模中継局や一部の放送しか流していない中継局については、廃止する方向にありました。
市内では、6カ所あったNHK単独局が廃止されています。

当市では、放送事業者が負担する経費の2分の1を負担し、既存の中継局のデジタル化改修を行い、既存エリアの確保に取り組みました。

また、県内には、NHK(総合、教育)、IBC岩手放送、テレビ岩手、岩手めんこいテレビ、岩手朝日テレビの電波が5波あり、市内の中継局では、5波すべてが送信されていない中継局もありました。
その中継局に新たに放送設備を設置した放送事業者に対しても、同様に経費の負担を行い、チャンネル格差の是正に取り組みました。
その結果、市内には15カ所のデジタル中継局が存在します。

中継局をネットワーク化

中継局を存続するためのもう一つの取り組みとして、中継局整備には多額の費用がかかることから、整備費を軽減するためや、混信対策として、1カ所の受信点(関が丘受信所)で盛岡からの電波を受信し、地域イントラネット事業で整備した光ケーブルを有効に活用することにより、光ケーブルで受信信号を送信するシステムを整備しました。
これにより各中継局では、受信装置が不要となり、送信装置のみの整備費で済むことになりました。

共同受信施設のデジタル化

当市には、テレビ共同受信施設組合が52組合あります。
すべて施設を改修し、デジタル放送を視聴してもらうため市の補助金を国の補助金に上乗せし、自己負担額を軽減しました。
また、以前から共同受信施設組合の設立を予定していた地域・組合に対しては、同様に新設整備への補助を行いました。

ギャップフィラーの整備

中継局の存続に取り組んだものの、NHK単独中継局などが廃止されたため局地的にデジタル波が受信できない地域がありました。
そういった地域には、小規模の無線装置(ギャップフィラー)を整備し、受信エリアを確保しました。

22年度には、大東沖田、上大原、花泉永井、花泉日形、萩荘南沢の5地域で9基を整備し、今後、厳美町古舘、花泉東永井、千厩の3地域で整備を予定しています。

人的なきめ細かなフォロー

地デジへの移行の支援のため、市では本年3月1日に「一関市地デジ支援センター」を設置しました。センターは、9人の体制でいろいろな手続きや相談などを受け付けてきました。

この相談業務のほか、市内のおよそ150地域、約2000世帯を全戸訪問し、各世帯における地上デジタル放送の受信状況などの聞き取りを行い、市内の難視聴状況について、データ化を図りました。

また、視聴できない世帯においては、視聴できるようにするためのいろいろな手続きについて訪問時に申し込みの受け付けを行いました。

今後は、高性能アンテナの支援やセーフティネット(衛星放送)の申請手続きのアドバイスや申請書の回収などを行い、地上デジタル放送を視聴できるようになるまで、世帯ごとに進捗状況を確認して支援していくことにしています。

地デジ支援センターに寄せられた質問にお答えします

花泉町日形地区に整備したギャップフィラー

問1

ギャップフィラーは、どのような場合に設置されるのでしょうか?

答.市は、局地的な難視聴解消に有効なギャップフィラーを22年度に5地域に9基設置。
本年度は3地域に9基の設置を予定しています。
しかし、この8地域以外にも難視聴地域が数多くあり、「この地域にも設置してほしい」という要望が寄せられています。
市のギャップフィラーの設置基準は、これまで各地のアナログ中継局から受信していたものの、今回のデジタル化により廃止となったアナログ中継局の視聴範囲としています。
その理由として、ギャップフィラー建設には、送信設備に800万円、そのほかにも送信機までの伝送路整備などのため多額の費用が必要となります。
中継局廃止により難視聴となった地域にギャップフィラーを整備する場合、NHKの助成制度があり、この助成金を活用し建設をしています。
また、ギャップフィラーからの送信電波は、1キロ圏内と小規模の出力となっているため、平坦な場所でかつ世帯がある程度密集した地域へ設置することとしています。

問2

ギャップフィラーの場合の各世帯での費用負担はどうなるのでしょうか? 

答.一世帯一世帯が離れている地域や、山間部など遮へいする木々が多い地域などには、一本の受信アンテナから有線で各世帯をつなぐ共同受信施設の設置が望ましく、その場合には整備費補助を行っています。
ギャップフィラーと共同受信施設では、費用負担に差があると思われがちです。
しかし、ギャップフィラーが設置されると各世帯で個別にアンテナを設置して視聴することになるため、調整費や修繕料は当然かかります。
共同受信施設の場合は、整備費に対し、補助および助成を受けることができ、個人負担の軽減が図られています。

問3

視聴できない、もしくは見えないチャンネルがあるが、どうすればよいか?

答.5ページの「難視聴対策対策予定図」の色で示した地域内にお住まいの人であれば、デジサポ岩手が行う受信点調査を行う必要があります。
地デジ支援センターまで連絡ください。
申請用紙をお届けします。
地域外である場合は、電気店などによるアンテナ調整を行ってください。
改善しない場合は 、同じく地デジ支援センターにご連絡ください。

問4

地デジ支援センターでアンテナ調整もしくはチューナーなどの設置は行わないのですか?

答.地デジ支援センターの職員は、工事や設置作業は行いません。電気店にご相談ください。

問5

受信点調査依頼書を提出してから数カ月が経過しますが、まだ調査結果が届きません。

答.県内で受信点調査依頼が提出されている件数は、約1300件あり、また東日本大震災の影響などで大幅に遅れていましたが、現在、調査員を増員し、調査を行っているところです。
到着までもう少々お待ちください。

問6

受信点調査結果が到着しましたが、高性能アンテナ設置申込書の内容が難しく、どのように記載してよいかわかりません。

答.調査結果は、ABCの3段階で表記されたものが到着します。
また、高性能アンテナなどの工事を行う場合の概算見積書もあわせて送付されてきます。
申込書の記載方法についてのご相談を受けますので、地デジ支援センターにご連絡ください。

問7

共同で高性能アンテナ工事を行う場合は、どのようにすればよいか?

答.一つの受信点(アンテナ)から分配する場合、受信点からの距離や分配する世帯の数によって、可能かどうか判断が必要になります。
また、事前の手続きが必要となりますので、ご相談ください。

市内全戸で視聴できる環境を目指して

高性能アンテナの設置で視聴

共同受信施設もなく、ギャップフィラーも設置されない地域で地上デジタル放送が受信できない世帯では、各世帯で高性能アンテナを設置すれば視聴可能となる場合があります。
この設置の経費の一部が国の助成制度となります。上の流れで申請手続きをしてください。
ただし、申請件数が増えていて、デジサポ岩手は大変混み合っていますので、申請から設置に時間がかかっています。

衛星放送を利用した視聴も!

高性能アンテナの申請から工事完了まで時間を要することから、暫定的な措置として衛星放送を利用し、地上デジタル放送を視聴していただくことができます。
ただし、以下の点にご注意ください。

  1. 視聴制御(スクランブル)による対象地区を限定した放送になります。
  2. 実施期間が2015年3月末までの限定された放送です。
  3. 視聴できる番組はNHKおよび地域民放と同系列の東京の放送局の番組です。
  4. 地上デジタル放送と画質や利用できるサービスに違いがあります。

地上デジタル放送関係の問い合わせ先

地デジに関するご質問は、お気軽に地デジ支援センターへ

相談内容/問い合わせ先

共同受信施設のデジタル化、受信障害などの相談、高性能アンテナの申請/総務省テレビ受信者支援センターデジサポ岩手

電話019-903-0101
【受付時間】平日9:00~21:00(土・日・祝日は9:00~18:00)

衛星放送を利用した視聴/地デジ難視対策衛星放送受付センター

電話0570-08-2200または電話045-345-0522
【受付時間】9:00~18:00(年中無休)

ケーブルテレビ/一関ケーブルネットワーク

電話21-1256

地デジ放送の受信状況の確認、高性能アンテナの助成申請、衛星放送受信申請/一関市地デジ支援センター

電話0191-53-2118
【受付時間】(土)(日)(祝)を含む毎日9:00~17:00

その他(共同受信施設への助成制度についてなど)/市役所本庁市政情報課

電話21-8633
【受付時間】平日8:30~17:15

(広報いちのせき 平成23年7月1日号)