豊吉之墓(岩手県指定文化財)【一関】

解剖の歴史を伝える記念碑「豊吉之墓」(市内真柴)

天明5(1785)年11月13日、盗賊「豊吉」がこの一関で処刑され、その遺体は一関藩医らの手で解剖されました。
長い間、医学界の謎とされてきた人体の内臓の実体検証を目的としたこの解剖は、大成功を収めます。
京都で日本初の人体解剖が行われた宝暦4(1754)年から約30年、東北地方においては米沢藩の2例に続く3例目という快挙でした。

解剖の後、豊吉の遺体は手厚く葬られ、その場所には建碑の由来として人体解剖の業績を刻文した石碑を兼ねた墓石が建てられます。
これが現在に伝わる人体解剖記念碑「豊吉之墓」です。

「豊吉之墓」は、当時の一関藩における医学(蘭学)の浸透を伝えると同時に、日本医学界における解剖の歴史をも伝える記念碑といえます。

昭和20年頃に地元郷土史家により発見され、41年の東北本線複線化工事にともない、線路と道路と草花に囲まれた現在の場所に移動した「豊吉之墓」。
今でも足を運べば、花や線香、飲み物が供えられており、市内の人々に大切にされている様子を目にすることができます。

昭和54年4月1日に一関市の有形文化財に指定された「豊吉之墓」は、平成23年5月に岩手県の有形文化財に指定されました。
県の文化財に指定されたことで、一関藩当時の関係者の功績と日本医学史の一端が、多くの人々に広まることが期待されます。

問い合わせ先

生涯学習文化課電話0191-26-0820

一関市博物館案内

テーマ展1
中世荘園からの招待状―図解 骨寺村―

■会期…7月10日(日)まで

【関連行事】講演会「骨寺村と中尊寺」
■日時…7月3日(日)13時30分~15時※参加無料
■定員…100人
■講師…当館館長

企画展ことばの海
言海誕生120周年―国語学者 大槻文彦の足跡―

■会期…7月30日(土)~9月11日(日)

【関連行事1】講演会「『言海』、その創意と魅力―日本辞書史上の位置―」
■日時…7月31日(日)13時30分~15時※入館料必要
■定員…100人
■講師…明治大学教授小野正弘氏

【関連行事2】講演会「大槻文彦の著作について」
■日時…8月28日(日)13時30分~15時※入館料必要
■定員…100人
■講師…山口福祉文化大学講師田鍋桂子氏

【展示解説会】■日時…7月31日(日)15時15分~16時15分

館長講座(1) 
伊達政宗の生涯と書状(1)

■日時…8月21日(日)13時30分~15時※参加無料■定員…50人

はくぶつかんこどもくらぶ 
江戸時代のマジックボックスのぞきめがねをつくろう

■日時…7月24日(日)13時30分~16時■定員…親子25人■材料費…300円■持ち物…500ミリリットルの牛乳パック1個
 

 
 (広報いちのせき 平成23年7月1日号)