放射性セシウム規制値見直しに伴い

4月から適用される食品衛生法の新たな放射性セシウム基準値が大幅に厳格化される。
これに伴い、利用できる牧草の許容値も1キロあたり100ベクレルに引き下げられることが決まった。
県は、すでに自粛解除・自粛対象外となっていたエリアを含む本市全域で牧草の利用自粛を畜産農家に対し要請した。

酪農家・和牛繁殖農家に打撃

食品の放射性物質規制値見直しに伴い県は、本市、平泉町の全域で2011年産の牧草を利用しないよう畜産農家に要請した。

4月から新たに適用される食品衛生法の放射性セシウム新基準値で、牛肉など一般食品は1キログラム当たり100ベクレル(現在は500ベクレル)、牛乳は50ベクレル(現在は200ベクレル)と大幅に厳格化。牧草の許容値もこれまでの乳牛など300ベクレル、繁殖和牛などに例外的に認められていた3000ベクレルから、新基準値ではともに100ベクレルに引き下げられる。

県が1月末までに一関全域で牧草を調査した結果、放射性セシウムの平均値が1キログラム当たり100ベクレルを超えた。
県は2月21日、食品衛生法の新基準値を超えない牛乳や牛肉が生産されるよう、本市全域の畜産農家に11年産牧草の利用自粛を要請。
奥州、北上、金ヶ崎、大船渡、盛岡、一戸などの6市町でも全域で同様の措置が取られた。
さらに乳牛は3月15日まで、肉用牛などは3月末までに餌を切り替えるように求めている。

これにより本市では、昨年から利用自粛が続いているエリアに加え、すでに自粛解除、自粛対象外となっていたエリアも全域で牧草が利用できなくなる。水田畦けいはん畔草、野草も同じ扱い。

市内の牧草地は、全て除染の対象となる。
県はセシウム低減のための牧草地再生対策事業を推進する。
県農業公社は昨年12月から同事業を実施している。
各農家は、草地更新した上で100ベクレル以下にならないと牧草を利用できず、その間の代替飼料確保など大きな負担を強いられることになる。
代替飼料の購入や牧草の処分経費は東京電力に対し賠償請求できるとされているが、先行きはいまだ不透明。
深刻な影響が長期化する懸念がある。
牧草地再生対策事業の早期完了に向けた取り組みが必要だ。

27日の市議会本会議の一般質問の答弁に立った勝部市長は「新たに利用できない牧草が相当量発生することが懸念される」と指摘。
「早急に再調査を行って、量を把握する。実現可能な処分方法について国、県の助言を得ながら検討したい」と語った。

問い合わせ先

一関市災害対策本部、tel0191-21-2111

放射線測定情報はこちらから

市ホームページ
  • 「環境放射能に関する情報(福島第一原子力発電所事故関係)」

http://www.city.ichinoseki.iwate.jp/index.cfm/1,0,157,html

岩手県ホームページ
  • 「環境放射能に関する情報(福島第一・第二原子力発電所事故関係)」
  • 「一関市における水道水の核種別放射能濃度の測定結果」など

http://www.pref.iwate.jp/

いちのせきの広報誌「I-Style」 平成24年3月15日号