水泳人口の拡大と競技レベルの向上
力強いストロークで明日を開く

スポーツアカデミー一関に所属する小松代和磨君(一関一高1年)、佐藤優衣さん(花巻東高1年)、千葉龍成君(一関中3年)、是川鳴海さん(山目中2年)、西眞成君(赤荻小6年)、千葉すみれさん(山目小6年)は、いずれも県内屈指の実力者だ。

7月中旬、数日間にわたって多くの有望選手を育てる同アカデミーの練習を取材した。

プールサイドには緊張感が伝わってくる。
「うまくなりたい」「速く泳ぎたい」など、それぞれが自ら立てた目標に向かって懸命に努力している。

チーフインストラクターの小山貴史さんは「小さな目標でも、達成できた時の喜びを知ってほしいのです。その感動が次のステップにつながり、もっと高い目標をクリアする力を生み出します」と言う。
さらに、「夢は見るものではなく、自分の手でつかむもの。努力なくして夢をかなえることはできません」とも。
国体出場経験のある小松代君は「夢があるから、厳しい練習にも耐えられます」と力を込める。

一関水泳協会の七田芳弘会長(76)は「市内にはプールのない学校もあります。新しいプールができたことで愛好者や競技者が増えるといいですね。一関の水泳は、まだまだ普及できると思います。ライバルが増えると選手の競争心や向上心が刺激されます。頑張る子供たちには、仲間と切磋琢磨しながら、力強いストロークで夢に挑み、自分の力で明日を開くたくましい人になってほしいですね」とエールを送る。

一関水泳協会 七田芳弘会長

一関水泳協会 七田芳弘会長
新しいプールには、旧施設にはなかった25メートルのサブプールがあり、大変ありがたいです。
市民の皆さんには、夏だからこそ水に親しんでほしいです。
水泳は、スポーツだけでなく、水難事故などの危険から命を守る護身術でもあります。
まずは、水に親しみ、泳げるようになること。
次に長く、そして速くと、ステップアップできるよう挑戦してください。市内には、県を代表するスイマーもいます。
本格的に取り組みたい児童や生徒はまだまだいるはずです。
ぜひ、新しいプールを有効に活用し、皆さんの潜在能力を開花させてください。

岩手が全国に誇るトップスイマー
全国で表彰台を目指す

小松代和磨
小松代和磨 一関一高1年
2012 岩手県水泳選手権400メートル自由形優勝(4分5秒55県高校新)、2012岩手県高校総体400メートル自由形優勝(4分6秒92大会新)、同1500メートル自由形優勝(16分22秒80県高校新)

日焼けした肌とビルドアップされた肉体がトップアスリートのオーラを放つ。

小学時代から男子自由形で数々の県記録を樹立してきた小松代和磨君(一関一高1年)。
市はもとより水泳岩手が全国に誇るトップスイマーだ。

父元さんは高校球界で名の知れた指導者。
野球一家に生まれ、強靭な体をつくるために3歳から水泳を始めた。
三人兄弟の末っ子。
二人の兄同様、体ができたら野球に転向するはずだった。
だが、楽しくてやめられなくなった。

「もう、これしかないと思った」と振り返る。

「調子がいい時は、水に乗っているような感じ。その瞬間が好きです」と瞳を輝かせる。
5月の岩手県水泳選手権は400メートル自由形で4分5秒55の県高校新で優勝。
6月の県高校総体は400メートル自由形で4分6秒92の大会新を、1500メートル自由形で16分22秒80の県高校新を樹立し、2種目で優勝した。
圧巻だった。
持ち味は後半の粘り強さ。
絶対にあきらめない。
敵は自分自身。
スランプになっても「自力ではい上がる」メンタルの強さも一流だ。

昨年の国体では自己ベストを更新できず、悔しい思いをした。
夢は「国体の表彰台」ときっぱり。
明確な目標を掲げ、地道に努力を重ねるその先に光は見えてくる。
9月の岐阜に照準を合わせ、スタート台に上がった。


スポーツアカデミー一関 チーフインストラクター 小山貴史さん
 

小山貴史さん
子供たちには、自分で目標を立てさせています。
努力すればするほど力が付く水泳は、選手にとっても指導者にとってもやりがいを感じます。
まずは、目標を達成した時の喜びや充実感を教えてあげたいです。
水泳を通じて、やりたいことを自分で見つけられる人、自分で夢や目標を実現できる人を育てていきたいです。

佐藤優衣

花巻東高1年
2012岩手県高校総体800メートル自由形3位(10分05秒54)、同400メートル自由形5位(4分55秒70)
佐藤優衣佐藤優衣
ぜんそくの私は母の勧めで小1から始めました。
得意種目は自由形。
特に長距離です。
納得できる練習ができなくて苦しんだ時もありましたが、大会でいい成績が出せるとそれまでの苦労は吹き飛びます。
水泳をやってよかったと素直にうれしくなります。
3年までに全国大会に出場することが目標。
自分に負けない強い気持ちで練習を重ね、弱点を克服しながらいいタイムを出したいです。

千葉龍成

一関中3年
2011岩手県中総体400メートル自由形4位(4分32秒38)、同200メートル自由形6位(2分13秒11)
千葉龍成千葉龍成
保育園時代、友達が泳いでいる姿を見て格好いいと思いました。
「自分も泳げるようになりたい」とアカデミーに通い始めました。
種目は自由形です。
練習はつらいですが、「苦しいのはみんな一緒。頑張れ」というコーチの言葉に励まされています。
大会で自己ベストを出せたときが一番うれしいです。
今は、県中総体に向けて練習しています。
目指すは「全中」出場です。

西眞成

赤荻小6年
2011岩手県学童大会50メートル背泳ぎ1位(33秒38)
西眞成西眞成
水泳している姉を見て、自分も始めました。
毎日みんなと一緒に練習できるので楽しいです。
大会で自己ベストが出せないときは悔しいです。
得意種目は背泳ぎ。
昔は苦手だったけど、練習して克服しました。
平泳ぎは県3位に入賞したこともあります。
夢はオリンピックに出場すること。
世界のトップスイマーたちとメダルを争いたいです。

是川鳴海

山目中2年
2011岩手県中総体200メートル個人メドレー6位(2分47秒27)、同400メートル個人メドレー6位(2分13秒11)
是川鳴海是川鳴海
水泳を始めたきっかけは兄がやっていたからです。
私は人見知りでした。
だから、最初は練習に行くのが嫌でした。
得意種目は自由形。
今の目標は、県中総体を突破して、東北中総体で上位に入賞することです。
毎日の練習は、苦しい時もあるけれど、目標があるから乗り越えられます。
大会で入賞したり、自己ベストを更新できたりした時は、本当にうれしいです。

千葉すみれ

山目小6年
2011JOCジュニアオリンピックカップ50メートルバタフライ8位(31秒64)、長水路岩手県学童記録保持者(50メートルバタフライ、100メートル自由形)
千葉すみれ千葉すみれ
アカデミーの短期水泳教室に数回通いました。
楽しくて、もっと速く泳げるようになりたいと思って本格的に始めました。
水泳は、努力すればどんどん速くなるし、長い距離も泳げるようになるから楽しいです。
自己ベストを更新できた時のうれしさは忘れられません。
目標は全国大会で優勝すること。
日本一になったら、次はオリンピックを目指したいです。 

広報いちのせき「I-style」8月1日号