恵心僧都の作といわれ、寄木造り、漆仕上げ、玉眼で、像高65cm、台座61cm、船形光背付きです。鎌倉時代末期の作と推定されており、平安時代中・後期の調子の中に、鎌倉時代の技法がみられます。また、袈裟の衣紋は、京都にある真正極楽寺の阿弥陀像に似ているとされます。

 本尊が安置されている藤勢寺は、嘉暦2年(1327)、神奈川県藤沢市の清浄光寺(通称:遊行寺)末寺として遊行4代他阿呑海上人が開いたと伝えられており、藤沢町最古の寺として町名の由来となった寺ともいわれます。

 由緒によれば、嘉慶元年(1387)、遊行10代元愚藤沢(5世)上人が当寺に御親教中に亡くなったため、村民が上人を偲んで八沢本郷を藤沢本郷に改めたと伝えられています。また、遊行12代尊観法親王の御巡化の際、当寺を藤沢道場と賜号されたので藤沢の名が付いたとも伝えられています。