室根山中腹に所在する室根神社の特別大祭は、養老2年(718)に紀州の熊野大社の御神霊を勧請して以来、およそ1,300年の歴史を有し、奥州の荒祭りとしても知られます。祭事に奉仕する神役は古からその末裔が携わる等、旧態を伝承・継続していることから、昭和56年(1981)に県の無形民俗文化財に、昭和60年(1985)1月には国の重要無形民俗文化財に指定されました。
 祭り行事は仮宮の所在する「マツリバ」で2基の神輿による先陣争いがあり、扇の舞・鈴の舞の奉納がされます。仮宮の外側にはババ(馬場)が設けられ、荒馬先陣・ホロ(袰)先陣やダシ(山祭ともいう)の行列があります。これらマツリバ行事を含めた一連の祭りは、代々家々が守り継承する厳格なジンヤク(神役)制によって分担され、神輿の先陣争いといった独特な古くからの祭りの形態を色濃く留めており、地域での特色ある壮大な祭りとして現在でも継承されています。