館蔵品

長崎港図ながさきこうず

長崎港図

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 川原慶賀画
 絹本著色
 縦49.0cm 横64.0cm
 文化~嘉永年間(19世紀)


 江戸時代は、鎖国政策が敷かれ、海外貿易は、長崎において、オランダと中国とだけ行うこととされていました。
 この絵は、この時代、海外への唯一の窓口となった長崎港の、江戸時代後半の様子を湾の外から描いたものです。
 赤・青・白の三色旗を掲げたオランダ船が、引き舟に先導されて進み、入港合図の号砲を湾中に響かせて撃っています。湾内に浮かぶオランダ船1隻と中国船2隻、中央付近にオランダ人の居留地である出島と唐人屋敷、その後に長崎の町並み、周囲の山々が鮮やかに描かれています。夕刻のためか、山上はあかね色に染まっています。
 出島出入りの絵師として、オランダ商館医師シーボルトの日本研究を補佐したことで知られる川原慶賀(1768―?)が描いたものです。慶賀は、日本の風俗や自然を写生し正確な記録を作っていますが、この絵も、風景はもちろん、郡集の衣服、髪形や影に至るまで克明に描かれ、あたかも写真のように当時の長崎港の繁栄を伝えてくれます。

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