博物館だよりvol.30
300年前の郷土の姿「磐井郡西岩井絵図」


元禄12(1699)年2月に生江助内によって描かれた、磐井郡のうち北上川西岸北部の西岩井の絵図の写しです。
村ごとに色分けされ、村の境界線は白、道は赤、川やせきは水色で彩色され、寺社・堤・田・畑・古館・一里塚・家などが図示されたカラフルな絵図です。
元禄12年ごろの、地形や土地利用、家の戸数まで具体的に知ることができます。
また、平泉村、中尊寺村などには、当時知られていた史跡が多数書き込まれ、当時の人々の歴史認識がうかがえます。
この絵図が作られたころ、仙台藩では、幕府に提出するための領国絵図を作成しています。
秋田藩との境界や、各郡の境界を藩の役人が調査しており、生江もこれに加わった仙台藩士です。
生江は、西岩井のほかに、磐井郡東山や気仙郡、胆沢郡、江刺郡、栗原郡などの郡絵図も作成しているようです。
このように細かな情報を盛り込んだ郡絵図は、仙台藩でもこの地域だけにある貴重なものです。
この絵図は、明治期に、境界争いの証拠書類として、原図から謄写されたものです。元禄時代の絵図は長い間、土地の基本を示したものとして活用されてきたのです。テーマ展「絵図に描かれたいわいの里」では、3点の郡絵図によって磐井郡を網羅し、さらに個別の村絵図を展示します。
現在と比較して、昔に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
一関市博物館案内
テーマ展
絵図に描かれたいわいの里
江戸時代の磐井郡西岩井・流・東山の郡絵図を中心とした絵図により、古来一つの地域としてとらえられてきた磐井郡の歴史を紹介します。
■会期…7月3日(土曜日)~8月15日(日曜日)
■展示解説会…7月18日(日曜日)11時~12時、14時~15時の各回
参加者募集
「大人の調べ学習―気仙沼街道を行く」
江戸時代の古文書や絵図、現地の調査や聞き取りなど、地域の歴史を自分たちの手で明らかにしましょう。今年度は千厩宿以東を予定しています。■日時…初回は7月18日(日曜日)10時~12時。11月まで月1回開催予定
■定員…一般20人
【はくぶつかんこどもくらぶ】「牛乳パックで望遠鏡をつくろう」
■日時…7月31日(土曜日)13時30分~16時
■定員…親子25人
■参加料…300円(材料費)
■持ち物…1リットルの牛乳パック2個
(広報いちのせき 平成22年7月1日号)