博物館だよりvol.35
日本の伝統的な灯火具 有明行灯
私たちが日常使用している電気のあかりは、1879(明治12年)年にエジソンが電球を発明して以降に急速に普及したものです。
しかしそれ以前の数十万年にわたっては、火があかりとして使われてきました。
人類の火の使用はたき火から始まり、やがてその火を自由に扱う便利な道具として灯火具が生まれて、人間生活の中で営々とあかりを灯してきました。
日本では菜種油やろうそくが庶民にまで普及した江戸時代に、さまざまな灯火具が登場しました。
行灯もその一つです。
行灯はもともと携行する灯(あか)りという言葉からきたもので、室町時代には使われていました。
行灯は和紙で覆われた火袋の中で、油に浸した灯芯があかりを灯したものです。
やがて行灯が室内専用に使われるようになった江戸時代には、多様な種類の行灯が生み出されました。
有明行灯は、便利で風情に満ちた行灯です。
通常は台箱の上に載せられて広くあかりを照らしますが、就寝時には火袋を台箱に納め、なお、あかりは灯されます。
台箱はふたとなって、窓からこぼれる出る満月や三日月のあかりが終夜演出する趣向です。
十六夜の頃に、夜が明けてなお空にある有明の月に見立ててこの名があります。
和紙を通して拡散する柔らかなあかりの中に自然を感じる、日本人のもつ繊細さが見えてくるでしょう。
一関市博物館案内
テーマ展「あかり」
平泉藤原時代の灯台や灯明皿と、行灯、燭台、ちょうちんなどの日本の伝統的な灯火具から、石油ランプ、ガス灯などの洋風な灯火具までを「菅原清蔵コレクション」を中心に約170件紹介します。■会期…1月8日(土曜日)~2月27日(日曜日)
■展示解説会…1月16日(日曜日)、2月13日(日曜日)ともに11時~12時
いわての博物館交流セミナー2「花巻人形の世界」
■日時…1月22日(土曜日)13時30分~15時
■講師…酒井宗孝さん(花巻市博物館上席副主幹兼学芸係長)
■定員…36人・電話で申し込み
はくぶつかんこどもくらぶ「和紙を染めてみよう」
■日時…1月9日(日曜日)10時~15時の間随時(所要時間約1時間)
■対象…小学生以上(小学生は保護者同伴)
■定員…50人※事前申し込み不要
■参加料…50円
■持ち物…なし。汚れてもいい服装でおいでください。