タイトル写真(菜の花)
今年成人式を迎える若者6人が、勝部市長と語り合いました。
テーマは「新成人に聞く一関の未来」。
若者たちがふるさと一関に望んでいることは何か、座談会の模様を紹介します。
齋藤はるかさんSaitou Haruka(一関)阿部俊一さんAbe Shunichi(一関)千葉里佳さんChiba Rika(一関)
遠藤大作さんEndou Daisaku(千厩)小野寺希望さんOnodera Nozomi(一関)吉田豪さんYoshida Gou(室根)
市長 まもなく新しい年を迎えます。本日は成人式を迎える6人の皆さんに、一関がどんなふうになってほしいかお聞きします。
皆さんは成人式企画実行委員として、自分たちの手で成人式を企画していると聞いています。 
まずは皆さんが考える一関の姿、私たちの世代とは違う視点をお聞きして、二つ目に一関をもっと住みたいまちにしていくためにはどうすればいいか、変えた方がいい点や、自分がどう関わっていけるのか、話を進めます。
最初は自己紹介を兼ねて、企画実行委員会でどんなことをやっているのか教えてください。
吉田 室根出身で一関高専に在学しています。今年卒業します。実行委員会では副委員長を務めています。
小野寺 一関出身で、新幹線で仙台の大学に通っています。本番では音響を担当するので、今はBGMを選曲しているところで、当日はオペレーターを行います。
遠藤 千厩町出身で、藤沢町の誘致企業で働いています。本番では舞台のセッティングを担当しています。普段の話し合いでは、自分の意見をしっかり出して盛り上げるようにしています。
千葉 弥栄生まれです。誘致企業で働いていましたが、将来保育士になる夢をかなえたくて今は仕事を辞め、勉強に専念。大学受験を控えています。委員会では、全体のシナリオ作りを担当しています。
阿部 萩荘出身です。今は仙台市内のデザインの専門学校に通い、
デザイナーを目指しています。委員会ではテーマソングのCDジャケットや、記念品のエコバックのデザインを担当しています。
齋藤 舞川出身。仙台市内の大学で心理学を学んでいます。実行委員長として、全体に気を配るコーディネーター役を担っています。
司会・進行勝部修市長Katsube Osamu

若者視点で見る一関の姿 住みたいまちにするには

市長 ありがとうございました。次に、皆さんにとって、一関はどんなイメージのまちなのでしょうか。聞かせてください。

齋藤 今自宅から大学に新幹線で通学していますが、一関は住みやすい所もあれば、もっとこうあってほしい部分の、両方あります。住みやすい点は、田畑があって、食べるものには困らない、学校のグラウンドが広くて、環境に恵まれている。地域のつながりもあって、声を掛けてもらえることですね。
阿部 流行やファッションに興味があるので、その観点から仙台から一関を見ると、格差が大きいです。若い人向けの店が少なく、購買意欲がわきにくいと感じます。今では中学生でも雑誌を見ておしゃれする時代。住みやすいのはこちらですが、利便性を考えれば都会。水は仙台と比べてもおいしいですね。
千葉 一関だけの問題ではありませんが、老人が多く、若者が少ない。高校時代、観光客に、駅の近くで休めるところないかと聞かれたことがありますが、近くにはないと答えました。駅の近くに観光客が寄れるような店があれば、一関の宣伝になると思います。
遠藤 私は食事や買い物など、何かといえば一関に来ます。近辺では一関の市街地がにぎわっているので、千厩に住む自分から見ると便利です。
市長 千厩ですごいのは毎月の夜市。夏祭りの山車も見事で、人をひきつける魅力があります。
小野寺 仙台への通学に一ノ関駅東口を使っていますが、できた当時はコンビニやお弁当屋さんがあったのに今は店がありません。バスなどは西口に多いのに自由通路がないなど不便です。
医療の勉強をしています。小学校が広いなど、教育環境は恵まれていますが、そもそも産科医が足りません。そうすると里帰り出産さえも難しくなります。医者がいなければ、子育て環境としては厳しいです。自分も就職を一関にするかと聞かれれば、厳しく、やっぱり東京に出ようかなという気にもなります。
市長 地域の医師がどんどん減少しています。例えば、磐井病院は救急患者、普段の診療はかかりつけ医に、などと役割分担をすることで、なんとか地域医療を維持しているのが現状です。

吉田 私にとってのイメージは、室根山、猊鼻渓など恵まれた自然。

不便なのは交通で、大船渡線で室根から一関まで通学していますが、時間がとてもかかります。
地元での地域行事、運動会に毎年参加していますが、どんどん参加者が減っています。私も就職で地元を離れるかもしれませんが、地域の人たちと運動会の反省会で飲食を共にするのは楽しい。ぜひこういう地域行事が続いてくれればと願います。

働く場所を確保することで 若者に魅力あるまちづくりを

市長 地域のお祭りは続けることに意義があります。猿沢で十数年ぶりに収穫祭が復活した例があり、世代間交流の祭りとなっています。
今皆さんの話を聞き、一関は自然環境には恵まれているものの、利便性の面では辛い評価ですね。 一ノ関駅周辺整備の問題は、複合施設整備を白紙にした経緯がありますが、その中に東西自由通路の計画もありました。市民検討委員会での、140億円もかかる施設が今の一関に必要かという意見もありました。
一方、平泉が世界遺産登録されればたくさんの観光客が来ると思うので、その時にどう対応するかが課題です。
一関のいいところ、不便なところの話を聞きましたので、それを踏まえ、一関が将来、こういうまちになってほしいという未来へ向かっての話をお聞かせください。
齋藤 将来はもう少し若い人にとって住みやすいまちになってほしいです。私も、子育てには一関は環境がいいと思いますが、女性として、就職、出産、その後住み続ける場所と考えると、どうでしょうか。仙台は都会だけれど住みにくくないし、北部は自然も豊富。一関も、メリットはたくさんあるので、そこを生かしてもっと若者が一関に来たいと思うような希望あふれるまちになってくれれば。

市長 働く場所の問題が一番。数字の上では働く場所はあることになっていますが、求職者の希望とマッチングしていないのが現状です。日本全体の問題ですが、製造拠点が海外に出ていく中、雇用を守るのは難しい状況。誘致企業は撤退することもありますが、誘致企業から地元の企業が仕事を受けて(技術移転)、仕事の幅が広がった例もあります。企業も生き残りのため必死です。
千葉 健康は生きていく上で大切なことですが、専業主婦は人間ドックも自分で申し込まないと受診できません。もっと市から働きかけてもらえればと思います。以前ジョブカフェに行ったら同じ場所で子育て支援をやっていて、ママ友ができるしいいなと思いました。一方、外に出るのが難しくてそこに来れない人もいると聞きました。そんな人のために家にアンケートを送ったり、その思いを聞いたりして、外に出るきっかけになればと思います。
企業に勤める人は月曜から金曜まで働き、用事があっても市役所に来れない人もいます。土曜日の午前中などに、市役所がやっていれば便利だと思います。
市長 月曜日は夜7時まで窓口延長をしています。これから進めたいのは、電子化。市役所に来なくても、家庭のパソコンからアクセスできるようにしたいですね。
健康な市民が増えれば、国民健康保険税は安くなる仕組みです。市民の皆さんの健康は個人の問題としてだけでなく、地域社会全体の問題でもありますね。
遠藤 雇用の問題が大きいですね。保育士は、近くでは仕事がなく、臨時雇いはあってもすぐに仕事がなくなってしまいます。仙台周辺では保育士が足りないようです。そうすると若者がどんどん散らばっていき、一関の高齢化につながります。若者がいないと子供も少なくなります。地元に就職先がいっぱいあれば、若者が残って活性化になると思います。

わかりやすい情報発信で 恵まれた資源をアピール

市長 若い人が地域に定着するかどうかは「子育て」も重要なキーワード。子育て環境は幅広くて、出産前から始まり、出産への支援、出産後は医療費の無料化など幅広く対策を行わないと、若い人に残ってもらえなくなると考えています。
小野寺 一番困っているのは一ノ関駅前のこと。どうしたら解決できるかはわかりません。
都会では車がなくても生きていけますが、一関は病院に行ったり買い物するのに、車がないと生活できません。
レポートで地元の資源を調べて探す課題があり、市のホームページを見ましたが、必要な情報を探すのが難しかった。行政の情報は、市民にはわかりにくいと感じました。
例えば、子宮頸がんのワクチン接種は、医療を学んでいるので制度を知っていますが、普通の人はどこで受けられるのか、費用がどのくらいかかるのか、わからないと思います。一関にはこのような情報を知る手段が少ないと感じます。
阿部 市のホームページは、デザインが見にくいですね。違うパソコンで見るとデザインがくずれたりして。「見たくなる」ようなページが大切。直感的に理解できることが重要だと思います。
市長 大変いい指摘をいただきました。
吉田 市全体のイベントがあれば、もっと楽しくなると思います。一関文化センターで行われた地ビールフェスティバルは、すごくいいイベントですよね。アルバイトしたのですが、3日間さまざまな人が来て、大いににぎわいでした。あんなイベントがもっとたくさんあればいいのでは。

ふるさとに対する思いを これからも持ち続けて

市長 地ビールフェスティバルはいいイベント。お祭りは、全国に情報発信すべき祭りと、地域で絶やさずに守っていかなければいけない祭りがあります。地ビール、川崎花火大会、水かけ祭り、室根神社大祭などは全国にどんどん発信すべきイベントだと考えています。
一関は情報面が弱いと感じています。平泉が世界遺産登録になると、外国からお客さんがたくさん来ます。
どんな駅がいいかは、若い人たちに意見をもらった方がいいかもしれません。一方で駅だけに資源が集中すると、商店街に人が来なくなります。商店街活性化のためには、産業政策だけでなく文化面の政策が必要だと考えています。こだわりを持って、一関ならではのことをしていきたいですね。
一関をこんなふうにしたいとさまざまな話を聞き、とても参考になりました。生まれ育った地域に対する思いを、これからも持ち続けてください。辛口でもいいんです。それが地域が良くなることにつながればと思いますので、ふるさとを見捨てないでくださいね。
成人式では、それぞれの役割をしっかり頑張ってください。成人式企画実行委員会に携わったことが、この後の皆さんの人生のプラスになってもらえればうれしいです。

本日はありがとうございました。


二十歳の挑戦

自分たちの手で思い出の式に~成人式企画実行委員会~

教育委員会が募集した成人式企画実行委員に、24人で活動を開始。「自分たちの手で思い出残るものにしたい」とワークショップ形式で意見を出し合いました。
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成人式のテーマソングを作ろうと新成人から歌詞やフレーズを募集。本市にゆかりのある詩人の御徒町凧(おかちまちかいと)さんのアドバイスを受け、言葉を組み合わせて歌詞を作成しました。
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テーマソングの作曲は県内を拠点に活躍するシンガーソングライター、松本哲也さん。松本さんを招き、曲のイメージを伝えると「はじめはしっとり、途中からテンポよく」と曲調も決定。
テーマソングの作曲は県内を拠点に活躍するシンガーソングライター、松本哲也さん。松本さんを招き、曲のイメージを伝えると「はじめはしっとり、途中からテンポよく」と曲調も決定。
11月中に歌が完成し、委員も出来上がりに大満足。記念品として当日配られるCDも完成しました。CDジャケットにはふるさとの風景写真と、出身中学ごとの写真が添えられています。
11月中に歌が完成し、委員も出来上がりに大満足。記念品として当日配られるCDも完成しました。CDジャケットにはふるさとの風景写真と、出身中学ごとの写真が添えられています。

平成23年成人式

日時

1月9日(日)13時30分~

場所

一関市総合体育館

 (広報いちのせき 平成23年1月1日号)