震災の経験と知見を共有
「防災の主流化」を推進

「世界防災閣僚会議in東北」は7月3、4の両日、岩手、宮城、福島の3県で開かれた。
会議には約80カ国の防災担当大臣や国際機関の代表など約500人が参加。
「防災の主流化」と「強靱な社会の構築」に向けた国際社会の政治的公約を表明した。

3歓迎のあいさつをする勝部修市長 2資料に目を通す参加者 1パネリストやコメンテーターの発表を真剣な面持ちで聞く各国の代表

                   4各国の代表、関係者など約120人が参加した世界防災閣僚会議一関分科会

1)パネリストやコメンテーターの発表を真剣な面持ちで聞く各国の代表
2)資料に目を通す参加者
3)歓迎のあいさつをする勝部修市長
4)各国の代表、関係者など約120人が参加した世界防災閣僚会議一関分科会

仙台で全体会合
21世紀型の防災を提案

会議には63カ国の外務大臣や防災担当大臣、14の国際機関の代表、国内外のNGOや民間セクターの代表など約500人が参加した。

初日の3日は仙台国際センターで全体会合が開かれた。
開会式であいさつに立った野田佳彦首相は「日本は震災で得た知見と教訓を世界各国と共有し、国際社会に貢献していく」と述べた。
続いて、大きな災害を経験した各国の防災担当大臣や外務大臣が基調報告やパネル討論を行った。
 
このうち「東日本大震災および最近の大規模自然災害の経験の共有」をテーマに基調報告した平野達男復興大臣は、被災の現状、政府が行った取り組み、震災の教訓と今後の課題などについて報告。
「東日本大震災は過去に例のない大災害だった。私たちは必ず復興し、支援いただいた皆さんに応えたい」と述べた。
 
今回の会議では、防災の重要性を国際的に再確認し、防災の主流化と強靱(きょうじん)な社会の構築に向けた国際社会の政治的公約を表明した。

具体的には、防災への投資、防災訓練や防災教育に力を入れることが災害に強い持続可能な発展につながると強調。
▼高齢者、女性、障害者などに配慮した安全保障▼ハード・ソフトの効果的な組み合わせによる対応▼国と地方、産官学などの違いを越えた範な連携―などが示され、「21世紀型の防災」が提案された。
 

一関で分科会
予防と減災を考える

4日は一関、石巻、福島の3市で分科会が、仙台国際センターでは市民団体によるワークショップやパネル展が開かれた。
このうち、ベリーノホテル一関で開かれた分科会には、日本をはじめとする24カ国と世界銀行など4国際機関の外相や防災担当ら約60人が参加。
パネル討論を通して、自然災害に強い社会構築の取り組み方について考えた。

分科会のテーマは「やがてくるその日のために―予防、減災」。
冒頭、津川祥吾復興庁政務官は「東北の経験や知見を世界が共有できることを願う」とあいさつ。
勝部修市長は岩手・宮城内陸地震と東日本大震災からの復興の取り組みや沿岸被災地への支援活動などを紹介しながら「東北を忘れないでほしい。必ず復興する」と呼び掛けた。

続いて、カンボジア、ブラジル、国土交通省、NPO法人遠野まごころネットのパネリスト4人がそれぞれの取り組みや課題などについて討論した。
リ・トゥイカンボジア国家災害対策委員会副委員長は「災害時には、正しい判断と迅速な対応が求められる。
国レベルでの強いリーダーシップが必要」と指摘した。
奥田健国土交通省副大臣は「各国の自然条件や社会状況に違いはあるが、大規模災害に対し、平常時から防災の取り組みを強化することの重要性は変わらない」と日常の備えを強調した。
多田一彦遠野まごころネット理事長は「人も団体も救助・支援を第一に動く。その本質がぶれない組織をつくることができれば強い社会をつくれる」と災害支援に当たる組織の在り方について述べた。
フェルナンド・ベゼーラ・ジ・ソーザ・コエーリョブラジル国家統合大臣は「ローカルな能力を高めることの大切さ、防災計画の立案・それに対する投資・計画の練り直しを行う勤勉さが大切ではないか」と提案した。
 
コメンテーターの今村文彦東北大教授は「被災体験を伝えていく防災教育が重要。過去の災害データをベース化しては」と提案。
防災教育の徹底と震災の経験や教訓をアーカイブに残すなど、新しい防災文化の必要性を強調した。

司会のマルガレータ・ワルストロム国連防災戦略、事務総長特別代表・防災担当は「30、40年先を見通したリスク管理が重要。限界を知ること、国際協力の力を信じることも大切」と締めくくった。

 5分科会終了後、一関遊水地を視察した奥田健国土交通省副大臣と勝部市長  6分科会会場前で開かれたパネル展。震災当時の様子を記録したパネルを見て各国の代表はその被害状況に驚いていた

 7パネリストの奥田健国土交通省副大臣  8リ・トゥイ副委員長(カンボジア)  9フェルナンド・ベゼーラ・ジ・ソーザ・コエーリョブラジル国家統合大臣 10冒頭あいさつをした津川祥吾復興庁政務官

11達曽拓也岩手県知事に代わりあいさつした佐々木幸弘岩手県政策地域部副部長兼地域振興室長 12コメンテーターの今村文彦東北大学教授 13司会のマルガレータ・ワルストロム国連防災戦略、事務総長特別代表・防災担当 14パネリストの多田一彦遠野まごころネット理事長

5)分科会終了後、一関遊水地を視察した奥田健国土交通省副大臣と勝部市長
6)分科会会場前で開かれたパネル展。震災当時の様子を記録したパネルを見て各国の代表はその被害状況に驚いていた
7)パネリストの奥田健国土交通省副大臣
8)リ・トゥイ カンボジア国家災害対策委員会副委員長
9)フェルナンド・ベゼーラ・ジ・ソーザ・コエーリョブラジル国家統合大臣
10)冒頭あいさつをした津川祥吾復興庁政務官
11)達曽拓也岩手県知事に代わりあいさつした佐々木幸弘岩手県政策地域部副部長兼地域振興室長
12)コメンテーターの今村文彦東北大学教授
13)司会のマルガレータ・ワルストロム国連防災戦略、事務総長特別代表・防災担当
14)パネリストの多田一彦遠野まごころネット理事長

広報いちのせき「I-Style」 平成24年8月15日号