【特集】農業を体験しよう 『憶』
修学旅行後、受け入れ農家に手紙が届いた。
2泊3日の旅を振り返った中学生のまっすぐな言葉。
本当の家族のように過ごした日々を振り返る。
*手紙は原文のまま掲載
修学旅行受け入れ中の3日間は、子や孫が遊びに来たかのように家の中が明るくなった。
元気な声が飛び交うにぎやかな食卓。
自然に気持ちが高揚し、腕をふるって料理を作った。
受け入れ農家が自ら楽しまなければ、「おもてなし」はできない。
互いに心から楽しんでこそ、真の交流は生まれるのだ。
嵐が過ぎたかのように、にぎやかだった家の中が一変。
農繁期の日常が戻る。
子供たちが帰った数日後、受け入れ農家に手紙が届いた。
一文字一文字丁寧に書かれた文章から感謝の気持ちがにじみ出る。
農作物を作る大変さを学んだ、食の大切さを知った、家族の優しさに触れた、田舎でしかできないことを体験した―。
生徒たちのまっすぐな言葉が心に染みる。
「来てくれて、ありがとう」
にぎやかだった日々が、昨日のことのように思い出される。
子供たちが生きる力を学んだ三日間は、大人たちが元気をもらった三日間でもある。
互いを大切に思う気持ち、一生懸命汗を流した経験と記憶は、来年参加する子供たちの道標でもある。
優しい気持ちに触れた3日間
過した全ての時間が大切な思い出
鈴木沙也佳さん
お元気ですか?
先日は、私たちの修学旅行で大変お世話になり、本当にありがとうございました。
三日間、はじめて農家で生活するということで、みなさんに迷惑をかけてしまうのではないかと心配でした。
だけど、いろいろな事を教わって体験させていただきすごく充実していました。
特に印象に残っているのは温泉にみんなで行ったこと、トラックの荷台に上がれたこと、それからやすこさんの手料理です。
やすこさんがつくるご飯はバランスもよくてすごくおいしかったです。
りんごの木の花つみは、りんごができるまでの工程を体験できてよかったです。
やすこさんのお家のみなさんも、やすこさんもとても優しく、私たち4人を温かく迎えてくれました。
みんなで囲んだご飯も、歌いながら花つみをしたことも全てが私の大切な思い出です。
私はこの三日間で人と人とのつながりや、一つ一つの作業の大切さを知りました。
やすこさん、農家のみなさん、お体に気をつけ、おいしいりんごやお米を作って下さい。
いつかまた会えるのを楽しみにしています。
本当に三日間ありがとうございました。
菅原隆男さん、やす子さん 花泉町金沢
●農業体験プログラム 「畑」(リンゴ)
いつも4人で歌っていて、とてもにぎやかでした。
リンゴの摘花を手伝ってもらいました。
のみ込みが早く、テキパキ作業をしてくれました。
おかげで今年のリンゴは大きく、おいしく育ちましたよ。
食事は「おいしい、おいしい」とたくさん食べてくれたので、次は何を作ろうかと腕に力が入りました。
帰り際、涙を流して別れを惜しんでくれた子供たち。
お礼の手紙を読んだら、思い出して涙が出そうでした。
きっと、また遊びに来てください。
自家製の物が食卓に並んだ喜び
食べ物をつくる人に感謝したい
重松彩乃さん
修学旅行のときは、色々とありがとうございました。
お蔭様でとても楽しい時間をすごせました。
食べ物がとてもおいしかったです。
普段食べる物は売っているものなので、自家製の食べ物が食卓に並んでいるというのが不思議な感覚でしたが、とてもおいしくて、嬉しくいただけました。
今までは、食べ物を食べるときは、あまり何も考えないで普通に食べていましたが、今回作業をさせていただき、食べ物をいただくことができるのは、それをつくってくださる人がいらっしゃるからだという、当たり前だけど今まであまり感じていなかったことに気付きました。
そしてそう思いながら食べると嬉しい気持ちになって、そしてつくってくださった方々に感謝したくなりました。
いただいたお米と野菜は家族みんなでおいしくいただきました。
飼っているセキセイインコにも大根の葉を少しわけてあげたら、普段市販の葉っぱは少ししか食べないのに、ムシャムシャムシャムシャ驚くほど食べていました。
お孫さんとチビはお元気ですか。
一緒に遊んだりできて、とても楽しかったです。
よろしくお伝えください。
色々とありがとうございました。
それではお元気で。
岩渕功さん、トク子さん 花泉町涌津
●農業体験プログラム 「畑の植え付け、出荷」
ピーマンの苗植え、トマトやキュウリの結い作業をしてもらいました。
元気な子供たちは「早く覚えなきゃ」という気持ちで一生懸命作業してくれました。
毎年、餅つきの過程を説明します。
つきたての餅をじゅうね餅などにして出します。
餅も他の料理も「おいしい」と残さずに全部食べてくれます。
最終日に「帰りたくない」と泣きついてきた子や修学旅行後に手紙や電話をくれた子や家族もいます。
その後も交流が続いていることがうれしいですね。
ごはんの味が忘れられない
農業体験糧に高校受験に力を注ぐ
中村祐太さん
先日は、自分たちの修学旅行で大変お世話になり、ありがとうございました。
自分たちにとって初めての農家での生活は、朝起きるのが早くて大変だったり、夜はカエルの鳴き声しか聞こえなかったりで楽しいだけではない三日間でした。
三日間で特に思い出になっているのは田植えをさせていただいたことです。
田植え機に乗らせていただいて運転させていただいたのと田んぼに入って手で植えたのが印象に残っています。
そして農家での生活で忘れられないのがご飯です。
ご飯がすごく美味しかったです。
自分はこの三日間でお米の大切さ、作る大変さを初めて知りました。
この体験は自分にとって大きな出来事だったと思います。
自分たちはこれから受験が待っていますがこの三日間がんばれたことに自信をもち精一杯努力していきたいと思います。
佐藤さんもお体に気をつけおいしいお米や野菜を作ってください。
佐藤さんの多幸を心から祈っています。
いつかまたお会いできることを楽しみにしています。
本当にありがとうございました。
佐藤正弘さん 花泉町油島
●農業体験プログラム 「田植え」「畑」
グリーン・ツーリズムで受け入れを始めて14年目です。
わが家に来る子供たちは孫同然。
冗談を言い合いながら接するので、すぐに仲良くなれます。
今回の作業は、豆まきと田植え。
田植えは、機械植えと手植えの両方を体験してもらいました。
糸を張った昔ながらの手植えは腰にきくと悲鳴を上げていましたが、「田舎の米はおいしい」とたくさん食べてくれました。
取れたての新米を家族で囲み、花泉の生活を思い出してほしいですね。
広報いちのせき「I-style」11月1日号