千厩の女性たちがつくる春の風物詩「せんまやひなまつり」
紡いできた「和」は人から人へと連鎖して今、古里を離れて暮らす避難者との「輪」も育んでいます


来場者を案内する渡部玲子さん(右端)と小山厚子さん(左端)

2月11日に開幕し、3月3日まで21日間行われた「第7回せんまやひなまつり」(同実行委員会主催)。
メーン会場の千厩酒のくら交流施設や商店街の各店舗には、段飾りやつるし飾りが展示され、訪れる人に季節感と安らぎを与えた。

期間中は各種イベントも目白押しで、千厩の商店街は連日にぎわった。今回のまつりでは、町内の仮設住宅や雇用促進住宅で暮らす避難者も、スタッフとして活躍した。

2月19日、千厩酒のくら交流施設―

ひっきりなしに訪れる来場者を笑顔でもてなす渡部玲子さん(67)と小山厚子さん(66)は、気仙沼市出身。
2人は、2011年4月から同町の雇用促進住宅で家族と共に避難生活を送っている。
「同郷だが知らない人がほとんど。閉じこもりがちだった」と当時を振り返り、「そんな私たちに、千厩の皆さんはとてもやさしくしてくれた。ほっとした」と感謝の気持ちを口にする。

千厩の人たちのやさしさに包まれ、穏やかな気持ちで暮らしを立て直す一方、「いつまでも被災者ではいられない」という思いも抱くようになった。

少しずつ恩返しを―

そんな気持ちで初めてスタッフを務めた2人の表情はやさしい。会場を訪れるお客さまを心からもてなしている。
女性たちがまちににぎわいを取り戻そうと頑張る姿に感銘し、「気仙沼に戻ったら、何か行動を起こしたい」と古里復興に意欲を見せる。
せんまやひなまつり昆野洋子実行委員長は「人を大切に思う気持ちはお互いさま。まつりに参加してくれてとてもうれしい」と感謝する。

ひなまつりから生まれた新しいコミュニティーに、ほっこりと春を感じた。

江戸から昭和初期に作られた段飾りひな人形や手作りのつるし雛が所狭しと展示された。
まつりの開幕を「大東大原水かけまつり」と同じ2月11日にしたことで相乗効果も抜群。
ひなまつり期間中は、県内外から訪れた親子連れなどでにぎわった。

 

 

 広報いちのせき「I-Style」 平成26年3月15日号