子どもたちを守るために続ける 「俺流」の応援―これからも。

小岩明美さん
小岩明美さん 狐禅寺

愛馬と共に通学路の除雪作業に励む狐禅寺の小岩明美さん。
長男の誕生を記念して「地域のために何かできることはないか」と始めたボランティアの除雪作業は43年になる。
「10センチ以上積もったら除雪している。今シーズンは4回くらいしたかな」とやさしく話す。
子供たちが安心して歩けるようにと登校前はもちろん、雪が多いときは下校前に除雪することも。
「科学や技術が進歩した時代に馬で作業するなんて時代遅れだが」と笑う。

除雪作業で活躍する愛馬は、体高約85センチ、体重約200キロの芦毛のポニー「小五郎(こごろう)」(牝、8歳)。
小柄でとても愛嬌がある小五郎は、昨年8月から明美さんのもとで暮らしている現役の「輓馬(ばんば)」。
輓馬レースで何度も優勝している力自慢だ。
愛らしくて逞しい小五郎は地域の人気者。作業中に子供たちと触れ合う場面も少なくない。
「とてもほほ笑ましい」と語り、「小五郎もうれしそうだ」と目を細める。

防犯協会に所属する明美さん。春から秋にかけては、小五郎に乗って登下校の見守りもしている。
「未来を担う子供たちを守りたい。大人の使命だ」ときっぱり。やさしく、ときに厳しく、年中見守り続ける頼もしい存在だ。

自他共に認める筋金入りの馬好き。愛馬のために、決して安くはない専用シャンプーを購入する。
「みんなに『きれい』と言われたり、振り返ってもらったりすることがうれしい」と、自慢の毛並みに磨きをかける。
また、削蹄(さくてい)したり、蹄鉄(ていてつ)を打ったりするなど、馬体の日常管理も全て自分で行う。
「馬の目を見れば健康状態が分かる。人が気付いてあげないと」愛情たっぷりに健康チェックを欠かさない。

本業は造園業。仕事を終えてからの小五郎の世話は深夜に及ぶことも。
「馬との暮らしは昔から続けてきたこと。これが日常」と話す一方で「家族の理解と協力があってこそ」と心から感謝する。

明美さんのもとには市内をはじめ、東北各地から祭りなどへの協力要請がある。
自らも県内外の輓馬競技大会に出場するなど、小五郎と二人三脚で人生を謳歌する。

雪解けを迎えた。春の日差しを浴びながら、「今年も無事に除雪を終えた。50年は続けたい」と小五郎の頭をなでた。

Profile

1941 年生まれ。創業50年「造園千歳」代表。
造園技術を生かし市教育委員会生涯教育講座で庭園・庭木教室の講師を務める。
一関地域防犯協会副会長、同協会狐禅寺支部長、一関地区防犯連合会副会長。
妻周子(ちかこ)さん、長男夫婦、孫の6人暮らし。 

 

 

 広報いちのせき「I-Style」 平成26年3月15日号