市役所窓口と同居する駅

摺沢駅

大船渡線は一ノ関駅から気仙沼駅へ走っていく。
東へと延びた線路は途中、陸中門崎駅から大きく北にカーブする。
摺沢駅から南に向かい、千厩駅から再び東へ。
複雑な経過の末開通した線路は、その形から古くは「鍋つる線」、近年では「ドラゴンレール」の愛称で呼ばれている。

今回訪れたのは、この愛称の由来となった摺沢駅。
駅前で旅館業を営む藤野静枝さん(60)に案内してもらった。

1925年7月26日に開業したこの駅は、一ノ関駅から気仙沼駅までの区間のほぼ中間。
現在の駅舎は、市役所摺沢出張所・公民館・コミュニティセンターとの複合施設。
駅の隣には市役所窓口があるので利便性が高い。
大東町の玄関口として多くの人が集う場所であり、地域の文化創造拠点でもある。

2010年4月から駅長を務める小野寺良直(よしなお)さん(62)は「当駅の自慢は名古屋市から感謝状をいただいたこと」と胸を張る。
静枝さんの旅館に宿泊していた同市からの沿岸支援派遣職員の移動に協力したとして、河村たかし市長から贈られた。

新緑まぶしい季節。
摺沢駅を出ると上り列車は柴宿駅へ向かう。

柴宿駅へ向かう車窓から。県道一関大東線と並行する下りの列車は、摺沢の街を横切るように千厩駅へと向かう
左:柴宿駅へ向かう車窓から。県道一関大東線と並行する
右:下りの列車は、摺沢の街を横切るように千厩駅へと向かう

摺沢駅駅長 小野寺良直さん

小野寺良直さん
駅舎の清掃、植木の刈り込みや雪かきなどの作業を地域の皆さんに協力してもらっています。
地域との絆を強く感じます。
当駅のモットーは「明るく元気にあいさつ」。
地域に親しまれる駅を目指します。

案内人
富二屋旅館 藤野静枝さん

藤野静枝さん
駅前に住む私たちにとって、駅は生活空間の一部です。
かつては町のにぎわいの中心。
今も多くの人が集まる摺沢駅は、大東町の玄関口であり「顔」です。

広報いちのせき「I-style」6月1日号